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JeiGiIt  作者: Bluena
8/10

第七話 覚醒


 「…………せよ」


「……?」

微かに声が聞こえた。

「殺せよ」

コウヤが項垂れていた顔を上げてニヤリと笑った。それを見てシュンキは冷笑を浮かべる。

「はっ、なんだよ?死に際の悪あがきか?」


「殺してみろよォ……俺を」


はあ?

なんでこいつはこんなに自信ありげなんだ?俺に殺されるところだってのに。どう見てもこいつに勝ち目は無い。

よく分からない。

でもそんなのはどうでもいい。こいつさえ殺せば、俺の願いは——


……ん?

トリガーが鉛のように重い。引けない。撃てない。

これを引けば全てが終わる。はずなのに。

「なァ、かかって来いよ」

剣を握りしめたまま血反吐を吐いて笑う。()が狂気に満ちている。こんな空気に負けるわけにはいかない。

「シュンキ。俺を殺せ」


俺は——トリガーを引いた。



パァン


目の前には、何もなかった。

消えていた。

居なくなっていた。

と、



ザシュッ



左腕に痛みが走った。

気づくと斬撃の傷が出来ていた。

痛い。

とてつもなく強い斬撃だ。

いつ喰らった?

この一瞬で俺が見逃すはずがない。

それとも銃が暴発したのか?

一体どういう——



ザシュッ



また喰らった。

今度は右脚。

どうなってるんだ?


……落ち着け。

気配を読め。

どこから来るか予測しろ。


「…………そこだ」



パァン

キィンッ




銃弾がカラン、と地面に落ちる。シュンキは目を見開いた。彼の目の前には、剣を下段に構えたコウヤが立っていた。

「お前っ……どうやって……?」

顔を上げた彼は相変わらず笑っている。まるでこの状況を楽しんでいるかのように。戦闘狂、まさにその言葉通りの姿だった。

「なんやろなァ、何故か力が湧いてきてん」

「どういうことだ……あれほど俺の攻撃を喰らっておいて!!」

「俺にもよォわからんけど……これが“覚醒”ってやつか」

シュンキの目尻がさらに吊り上がり、瞳孔がより一層細くなる。そこには怒りとともに焦燥が表れている。それを悟られまいとさらに怒鳴った。

「お前が覚醒したとて状況は同じだ!!俺がお前を殺すんだ!!!」

炎を纏わせ弾が限界まで込められた銃を乱射する。火の勢いとスピードはそれまでの比ではなかった。轟音とともに標的めがけて飛んでいく。しかしコウヤはひょいひょいと身体をいとも容易く躱し切った。

「……っ?!」

「おおすげえ。弾の動きめっちゃ見えるわ。……これなら戦えるなァ」

チッ、と強く舌打ちをする。怒りの頂点がすぐそこまで近づいているのが自分でも分かった。しかしコウヤもおそらく長くは持たない。

「ゲホッ、ゴホゴホッ……ぐっ……」

コウヤが突然咳き込んだかと思うと、口から大量の血が噴き出した。すでに内臓にまで裂傷が広がっているため、もう彼のヒールでは到底治せない。そんな中、

「俺の弱点、教えたろか」

口元から血を吐きながら言った。シュンキは険しい表情のまま答えない。

「俺の弱点はメンタルを傷つけられて、思っきりボコされて、心も身体もズタボロにされることや」

「はっ、それじゃ今が最大のピンチじゃねえか」

「……でもなァ」

剣身を上げて中段の構えを取る。目線をゆっくりと標的の方へ上げ、切先越しに笑った。



「弱点は、最強になるための条件なんやで」



刹那、コウヤの姿が消えた。シュンキは一瞬呆気に取られたがすぐさま気を集中させた。しかし目を凝らせど耳を澄ませど、何の気配も感じない。

(セグメン)(タル・)(リーフ)

耳元で囁き声がした。振り向く間もなく、視線が追いついた頃には遅かった。そのまま左腕に強烈な斬撃を受けた。

「ぐっ……!!」

反射的に銃を向けるがもうそこには居ない。今度は背後から脚元に接近されていた。

シュパァン

刃筋とともに大量の葉が舞う。先程までの攻撃速度の比にならない。次々と現れては消え、現れては気配もなく斬り、気づけばシュンキの身体には無数の切傷が刻まれていた。

「ど、どういうことだ……!!焔舞華撃(ブラスト・スターマイン)!!!」

相手にペースを握られまいと反撃の爆破弾を撃つ。しかし爆発地点に人の姿はない。それでも必死で銃を乱射する。

カチッ、カチッ

と、装填していた銃弾がここで切れた。舌打ちをして空のマガジンを投げ捨てる。一旦間合いを取ろうと煙手榴弾を手にした。が、投げる前に一瞬で切り刻まれてしまった。

「くっそ…………お前ぇ、どうなってやがる!!!」

ボウッッッ

怒りが爆発的な炎となり周囲を焼き焦がした。彼に属性魔法は使えないはずだが、窮地に立たされた状況が不可能を破っていた。拳に紅蓮の炎が宿り燃え盛る。そして前方から近づいてきた微かな気配に対して殴りかかった。



焔豪怒拳(インフェルノ・パグナス)!!!」

聖樹翠斬(ラウルス・ジェイド)!!!」





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