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プロローグ
——あの時、どんな言葉を持っていたら、運命を変えられただろう。
どんな言い訳を持っていたら、気を引けただろう。
喧騒の街からほど遠く離れた草原の丘の上で、静かに標石を見つめていた。
何食わぬ顔で耳元を通り過ぎる風。
と、
パァン
微風の中に破裂音が混じった。刹那、頭をふっと傾ける。なにか鋭い熱さが耳元を掠めて駆け抜けた。
殆ど反射的、その動作に感情は無い筈だった。
だが違和感を覚える。
そんな筈はない。
目線を先頭にゆっくりと振り返る。
ありえない姿がそこに在った。
銃口をこちらに向けて立っている男。
眼光の代わりに真っ黒な炎が宿っている。彼の瞳は静かに言った。
「久しぶりだな」




