起きてくれ
次の日
夜が明けて朝日が見える頃、俺は目を開けた。重い瞼を開けて閉じかけているがなんとか起きる。時計を見ると6時12分。6時おきの予定だったので普通に寝坊…少し起きるの遅かったか…
「目覚まし……鳴らなかったのか?」
体を起こそうとするも何か重い。自分の体が重くなったのか…いや、そんなわけがない。自分の体の重さが1日で大きく変わることはない。人体の構造上あり得ないことだ。
ならば答えとしては誰かのスキルか誰かが乗っているのかの二択…ん?誰かがやってる?
「ふわぁ〜…そんなわけがないわな…」
確か、夜に夕食を食べて王女は別れた。その後に会ったのは管理人とか廊下で通り過ぎた生徒くらい。俺の部屋を把握して襲撃するような人はいないはず…いるとしたら…
誰なのかは分からないな…重いから体を動かすこともできない。だから、顔を見ることすらできない。相手の顔を見ることができずこの状況。圧迫感はある。なぜ寝ている自分は気づかなかったのだろうか。それが分からない
力で動かそうとするもできない。
すう〜すう〜と寝息が聞こえるが…誰だろうか?しかし、この匂い…無意識に嗅いでしまうがどこかで嗅いだ…いや、ないか。誰かの匂いを嗅ぐような変態じゃないし、抱きつかれるような距離感のあるような友人はいな……友人?まさか…!
かろうじて見えるのは銀髪。顔は隠れているようだが誰なのかは予想できる。重い瞼から解放されたこの瞬間、俺は大きく目を開く。隠れている顔が少し見えた。
その顔は
メイ・フォン・アクトだった
なんで俺の部屋にいるんだよ!!!おかしいだろ!
「なんでいるんだ…」
この王女は距離感どうなっているんだ??呆れてしまうどころの話ではない。このまま誰かに見つかったら変な誤解を招く未来が見える。そうなると俺は殺されるだろう。それだけは嫌だ
動かして離れさせることに成功した。寝ながら誰かを動かすなんて作業は大変だったがなぜいるのか分からない。しかも服装はパジャマ姿だ。ということは一度城に帰っているのか使用人の誰かから荷物をもらったかの二択だろう。
「どうやって侵入したんだ?」
いや、昨日のように管理人から鍵でももらったのだろう。問題は俺が寝ているとは言え、人が入ってくる気配に気づかなかったこと。相手が自分よりスキルレベルが高いからという理由ではない。
隠密能力とスキルレベルは関係ない。能力が隠密能力ならば納得できるが多分違う。なぜか、違うという自信が自分にはあるが確証はないし、証拠もない。
それはいい。今はどうしてここにいるのかについて知りたい。この疑問は解消しないといけない。人の部屋に入ったことは本来、犯罪だが王女の場合、罰されるのは俺になるだろう。それほど、王族という権力は高い。
本当にヤバい状況なのだ。見える先は処刑されるか刑務所に入るか。それは絶対嫌だ。何度も言うが嫌だ
「おい、起きろ」
寝ている王女の肩を掴んで体を起こして揺らす。ただ、全然起きない。なぜか幸せそうな顔をしているがそんな顔をしている場合じゃない。
「どうやって起こすんだ?」
揺らしても起きないとなると寝相が悪いのかいいのか分からないな…どうしたらいいのか分からない。しかし、もう6時15分…あっ20分になってる。
「不味い不味い…!」
確か、ホームルームが8時半からは始まる記憶がある。まだ時間があるし、この部屋から学園の校舎までは10分もかからない。食堂もあるがキッチンがあるため、自分で飯を作れるなら時間はーいや、作るより食堂に行くほうが早く済むか。
「なら起こさないといけないな…!」
起きろ!!肩を揺らして起きないのかよ!?もういい加減にしてくれ!
「ん…」
おっ起きたか?さて、どうして俺が寝ているベットの上にいるのか説明させてもらいましょうか。
「…アレ?ここは…」
「起きたか。王女」
「あっ……ユリ…」
王女は欠伸をして目を擦って俺を見る。驚く様子がないことから無意識で入ったとかじゃないようだ。いや、無意識だったら怖いな
「起きたんだ…」
「起きたんだ…じゃないわ!なんで俺の部屋で寝てんだよ!?」
「言ったでしょ?泊まるって」
「有言実行するな!?なんでよりによって俺の部屋に泊まろうとしているんだ!?」
「友達なら普通にあるんでしょ?」
「いや、あると言ったが初対面の日に泊まる人とかいないから!順序を持って交友してからだから!」
距離感おかしいのは昨日で理解したけどここまでなのか!?常識ってもんがないのか!?おいおい、マジで勘弁してくれ…
「夢であってくれ…」
一体、王族の教育ってもんはどうなってるんだ?文句を言いたい気分だ。庶民が王族に文句を言うのは不敬罪に相当するだろうがこればかりはクレームしないとこれからの学園生活で俺の人生が終わってしまう。
彼女がやってることは友人ならば犯罪なんて関係なく、グイグイと来るストーカーのようなもの。メンヘラとかヤンデレのようなやべえことをしているのかと言われたら近いかもしれない。
俺の認識では近い。違うかもしれないが近い。答えはわからないが…
「なんで夢?もしかして私のこと嫌になったの?ねえ、なんで??」
ハイライトのない目で俺見ないでください。怖いです。
誰か助けてくれ…!!!
するとコンコンと扉に叩く音が聞こえた。そして、扉を開ける音が聞こえた。うん、なんで??鍵閉まってるんじゃないの?まさか、この王女、鍵をかけずに放置して開けたままと言うのか!?
「何をしてるのかな」
「なんで王子がいるだよ」
現れたのはアルベルト王子。だから、なんで王族は人の部屋に入るんだよ。どう考えてもおかしいだろ!
「鍵閉まっていたよ」
「それが普通なんだわ。っで、なぜ王女がここに?」
「メイって呼んで」
「はいはい。それでメイがなんでこの部屋にいるんだ?城で寝ているんじゃなかったのか?」
「いや、君が寝た頃に部屋に入って侵入したようだよ。どうやら、友達と一緒に寝たかったようだ」
「だから、それがわからん」
お前、言ってることがどれくらいヤバいのか分かって言っているのか?やってることが非常識だと分かるだろ?人が許可していないのに勝手に侵入は普通に犯罪だろ、止めろよ家族として
「すまないね。俺では止めることはできない」
「謝罪する以前に話があるだろ…」
「話?」
「俺捕まる?死刑にされない?」
王子は驚いた顔をしていた。真面目な話だ。捕まるのか捕まらないのかこの質問に対して王子たるあんたの答えを聞きたい。法律に詳しくないからではなく、お前の常識からしてだ。侵入した王女と部屋の主である庶民の立場からして後者が不利だ
ということは捕まる可能性は俺にある。理由を適当につけて捕まる可能性は大いにあるからな。冤罪で捕まりたくないが相手がそれをできるほどの権力と金がある。勝てる要素が全くない
さあ、答えはー
「ないから安心して」
「そうか…ふぅ〜…」
良かったと言うしかない。捕まらないなら安心できる。
「ねえ、私を無視しないで」
抱きつかないでくれない?胸当たってますよ!?
「全く…メイ。ユリが困惑しているだろう?離れたらどうだい。どう考えてもお前に非がある。」
「黙って…今聞いているのはユリだから」
ハイライトのない目で微笑むメイ。怖すぎる。何度も言うが怖い
「はぁ…ここまで依存となると友愛なのか分からないね…」
「メイ…あのな。いきなりこんなことをされると俺はびっくりするから…」
「…だって一緒に寝たいもん」
「我儘が通じるほど友人関係は深くないよ」
「そんなことをしていたら誰かに襲われるぞ…俺ならまだしも…他の生徒じゃ襲われるって」
「…ユリなら信頼できる」
それを信頼してどうするんだよ!?俺って男として見られないほど男らしくないのか?え?泣くよ…
「ってことで俺でも制御できない。襲っても仕方ないことをしているが…子供は作らないでね」
「他人事か!!?」
なんだこの姉弟は!!!
どうもルセイです
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