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尚人の紺色、恭子の臙脂!体力測定大作戦

⑤閉眼片足立ち

アイマスクをつけ、手を腰に当てて、片足を上げてそのままの姿勢を保つ。まず、僕からやってみた。僕はアイマスクをつけ、片足を上げる。周囲の音が遠くなり、心の中に緊張感が広がった。

「大丈夫、集中して」

と自分に言い聞かせる。体が揺れないように必死にバランスを取る。恭子の応援の声が耳に残り、心強さが湧く。彼女も同じように挑戦する姿を思い浮かべ、再び気合いを入れた。次の瞬間、体がふらりと揺れ、足を下ろしてしまった。悔しさがこみ上げるが、

「次は絶対に成功させる」

と心に誓った。

「大丈夫、次はもっと上手くいくよ!」

恭子が優しく励ましてくれた。彼女の言葉が心に響く。

「ありがとう、恭子。君の応援があれば、きっとできる気がする」

と僕は答えた。彼女も挑戦する準備をしながら、微笑んでいる。次は彼女の番だ。

「見ててね!」

と意気込む恭子の姿を見て、僕は彼女の成功を心から願った。競技の緊張感が、二人の絆をより一層強くしていく。

「行くよ!」

恭子は気合いを入れ、アイマスクをつけて片足を上げた。周囲の視線を感じながらも、彼女は一瞬の静寂に包まれた。

「私、できる!」

その声が響き渡る。体が揺れることなく、彼女は見事にバランスを保ち続けた。僕はその姿に感動し、心の中で応援する。

「やった、恭子!」

彼女が足を下ろした瞬間、ほっとした。




⑥全身反応時間

板の上に立つ。前方に置かれた信号が突然点滅すると、瞬時に反応し、力強くジャンプする。着地の際の重みが全身に響き渡る。この動作を五度繰り返す。集中力と反射神経が試される。全身の筋肉が最大限に活性化され、全身反応時間を競うこの試験に、僕たちは全力で挑んだ。緊張の中、信号が光る。僕は一瞬の迷いもなく飛び上がった。隣で恭子も同様に反応し、彼女の目には決意が宿っている。互いに目を合わせ、無言の応援を交わす。跳ぶたびに、部活の存在を証明するための思いが強くなる。

「これ、意外とできたかもね!」

恭子が笑顔で言った。僕も心の中で期待を膨らませる。彼女の言葉に応えて、僕は心を決めた。今度こそ、運動部に負けない成果を見せるのだ。

最後のジャンプを終え、息を整えながら、結果がどうであれ、僕たちは一歩前に進んだ気がした。



⑦垂直飛び

体育館の壁面に立ち向かう。指にはチョークが塗られ、その白い粉が空中で輝く。少し体を屈めてから、力強く跳び上がる。重力に逆らうかのように、身体が軽やかに浮かび上がる。空中で手が壁に触れ、その瞬間、達成感が全身を駆け巡る。着地の際、膝が少し曲がり、重力に引き戻されるが、その重みも心地よい。このシンプルな動作の中に、力強さと優雅さが融合しているのだ。

「やった!跳べたね!」

恭子が目を輝かせて言った。彼女の声は、周囲の雑音をかき消して、僕の心に響く。

「次は私の番だよ!」

彼女は勢いよく前に出て、深呼吸をしてから同じように跳び上がった。彼女の身体が空中で描く美しい弧を見て、僕は思わず息を飲んだ。彼女も、この瞬間を楽しんでいる。

「軽いものは以上のようだけど、それでも連続だと、いい運動になるわね」

垂直飛びを終えてから恭子が言った。

「種目の数としては半分以上、こなしたわけになるけれど、その分、残りは時間もかかるしハードになってきそうだね」

「初級編はこれにて終了。次は中級へと進みますかっ」



⑧反復横跳び

体育館の中央に広がる競技場は、熱気に包まれていた。各校の運動部員たちが、それぞれ鮮やかなユニフォームを身に纏い、熱心に競い合う姿が目を引いた。

10人一斉に行われるこの反復横跳びの競技では、体育館の中央に白いラインが1メートル間隔で3本引かれている。選手たちはそのラインの中央に立ち、笛の合図とともに右、中央、左のラインへと素早く跳び移る。20秒の間に、どれだけ多くのラインを跳び越えられるかを競う。

記録を重ねるごとに、選手たちの息遣いが激しくなり、必死の表情が浮かび上がる。観衆の歓声が体育館に響き渡る中、選手たちは自己ベストを更新すべく、全身全霊を込めて競技に取り組んでいる。

その集団の中に、紺色のジャージの僕や、臙脂色のジャージの恭子も、読書部の一人として身を投じることになる。今までの競技では、あまりほかの生徒と一緒になることはなかった。「ドキドキするわね」と恭子が言う。

「大丈夫、恭子。みんなも緊張してるから」

と僕は笑顔で返す。彼女の不安を少しでも和らげたくて、心を込めて言った。

紺色のジャージの僕と、臙脂色のジャージの恭子は、他校の運動部の生徒とともにラインのン中央に立った。

笛の音が響き渡ると、選手たちは一斉に跳び始めた。恭子の目は真剣そのもので、瞬時に右へ、中央へ、左へと体を動かす。僕も負けじと力を込め、体を前に進めた。周囲の選手たちの動きが速く、緊張感が漂う。心臓が高鳴る中、僕は彼女に声をかける。「焦らずに、リズムを掴んで!」彼女は一瞬、こちらを見て頷いた。

彼女の頑張る姿を見て、僕も力が湧いてきた。ジャンプするたびに、周囲の生徒たちの声援が背中を押してくれる。時間が経つにつれ、疲労感が増してきたが、恭子の真剣な眼差しが僕を奮い立たせた。終盤に差し掛かると、彼女の動きが少し鈍った。「もう少し、頑張れ!」と叫ぶと、彼女は再び力強く跳び始めた。その瞬間、心の中で彼女と一緒に勝利を掴む想像が膨らんだ。

終わってから恭子は息を切らしながら言った。

「さすが、中級編ね。一気にレベルが上がったわね」

「でも、まだまだこれからよ!」

僕は笑顔で応じた。

「次の競技も一緒に頑張ろう。」

恭子は頷き、少しだけ自信が戻った様子だった。周囲の選手たちも互いに励まし合い、会場は熱気に満ちていた。この瞬間、僕たちの読書部の仲間としての結束が、運動部員たちにも負けないほど強いことを感じた。次の挑戦が楽しみだった。


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