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心と体を解き放て~決意のスタートライン~

「次の出番まで、まだ時間があるわね。」

と郁美の姿が見えなくなってから、僕は言った。

恭子は頷き、彼女と一緒にトラックを走り始めた。風を感じながら、心拍数が上がる。これからの挑戦に向けて、少しずつ自信が湧いてくる。一通り走り終えると、体もあったまってきた。僕と恭子は、トラックの隅の待合のベンチのところに行った。

「ジャージを脱ごうかな」

と口にすると、恭子は驚いたように目を大きく開いて尋ねてきた。

「どうしたの、急に?」

と戸惑いを隠せない一方で、その表情は真剣そのものだった。

「このままだと、いつまでたっても読書部が運動部と同じようにはなれないと思うんだ」

と、僕は心の中の葛藤を素直に打ち明けた。

「他の選手たちが半袖と短パンで自分をさらけ出し、全力で競技に臨んでいるのに、僕だけジャージを着て走り回っても、運動部の仲間たちと同じように扱われることはない。それに、50メートル走でのビリを取り返したい気持ちもあるんだ」

と、僕は続けた。

「じゃあ、勇気を出してみるのもいいかもしれないね」

と恭子は微笑んだ。彼女のその言葉に、僕の心は少し軽くなった。恭子も自分の不安を乗り越えようとしているのだろうか。周囲の目を気にすることなく、自分らしくありたいと思う気持ちが伝わってきた。

僕は頷いて、花紺色のジャージのファスナーをゆっくりと下ろし始めた。上着が脱げると同時に、心地よい風が肌に触れてきて、思わず深呼吸した。続いて、ジャージのズボンも脱ぎ捨て、体操服の白い生地に紺色のトリミングが施された半袖の上着へと姿を変えた。さらに、同じく紺色の短パンに履き替えると、五月の爽やかな風が肌を優しく包み込むのを感じた。

「恭子、どうかな…?」

と、恥ずかしさを抱えながら自分の姿を見せると、彼女は目を輝かせた。

「すごい、意外と似合うね。これならいい記録が出そうね」

恭子の言葉に、僕は少し照れくさくなった。彼女の笑顔が、緊張を和らげてくれる。

「ありがとう、恭子。これなら自信を持って走れる気がするよ。」

急に軽やかな服装になり、新たな気持ちが湧き上がってきた。

「恭子は50メートル走でぶっちぎりの一位だったから、ジャージのままで全然問題ないよね」

僕は背が高くてスタイル抜群の恭子が着こなす臙脂色のジャージを見つめながら言った。

「そんなことないわよ。私も同じ読書部の一員よ。尚人と同じスタイルにならないとね」

恭子は僕の目を見て力強く答えた。

「それにさっき、郁美さんから、覚悟はあるのって聞かれたでしょ。その覚悟を見せるためにも、彼女と同じスタイルで臨まないといけないわね!」

恭子の言葉には強い決意が込められていた。彼女は少し躊躇いながらも、ジャージを脱ぎ始めた。

恭子は意を決した様子で、首元まで上げたジャージのファスナーに手をかける。緊張した面持ちで、ゆっくりとファスナーを下ろしていく。恭子の顔はほんのり赤く染まり、彼女の心の高鳴りが伝わってくる。ジャージの上着が肌から離れると、そこには臙脂色の縁取りが施された、清潔感溢れる白い半袖体操服が姿を現した。続いて、彼女はジャージのズボンに手を伸ばし、静かに下ろしていく。その瞬間、すらりとした脚にしっかりとした筋肉が見え、濃紺のブルマーに包まれたヒップが際立つ。脱ぎ捨てたジャージは丁寧に折りたたんで、ベンチに置いた。

半袖体操服とブルマーは、恭子のスレンダーな体型を際立たせ、彼女のアスリートとしての魅力を一層引き立てている。今までジャージに隠れていた彼女の体は、実はしっかりとしたアスリート体型であり、体育会系の女子選手にも引けを取らない素晴らしいスタイルを持っていることがわかった。

女子生徒たちは夏場の体育の授業中は、こうした姿になることが多いが、男女が別れているために、同じ学校の女子の体操服とブルマー姿を目にすることは、実はあまり多くないのだ。今、目の前にいるのは、セーラー服かジャージで見慣れていた恭子だった。

ジャージを脱いだ恭子の姿は、まるで別人のように輝いて見えた。半袖体操服とブルマーは、恭子のスレンダーな体型を際立たせ、彼女のアスリートとしての魅力を一層引き立てている。

僕は恭子の姿の変化に驚き、思わず息を飲む。彼女は自信に満ちた笑顔を浮かべ、まるで新たな自分に生まれ変わったかのようだった。体操服のシャツをブルマーに入れながら言った。

「私も尚人と同じスタイルになったわね、これで私たちも運動部の仲間になれるわね!」

恭子の言葉に、僕は嬉しさと共に彼女の変貌に感心した。

「どう? これが私の本当の姿よ!」

恭子はポーズをとりながら言った。その姿は、まるで新たな決意を秘めたアスリートのようだった。僕はその変貌に感動し、

「恭子、本当にかっこいいよ!」

と声をかけた。彼女はニッコリと笑い、

「これなら、12分間走でも負けないわね!」

と明るく言った。心の中で、僕も彼女の力になれるよう全力を尽くす決意を固めた。



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