第5話 ステータス
どこからか声が聞こえた。
《『ユニークスキル:無断転生』が発動します》
この声は、ドラゴンだった時によく聞いた声だ。
機械の自動音声に近い声。
たしかこれも『スキル:アナウンス』というスキルだったはずだ。
レベルアップなどを逐一教えてくれる、少しウザいが便利なスキルだ。
……そんなことを思っていると、徐々に意識が薄れていく。
まるで深い水底に沈んでいくような感覚――次の瞬間、すべてが真っ暗になった。
ふと気がつくと、俺に身体があった。
目はほとんど開けられないが、水中にいる感覚がする。
目の前をスキルで鑑定すると、ある程度予想通りの結果が出た。
【基本ステータス】
名前:霧島綾乃
種族:人間
年齢:24歳
性別:女性
【能力値】
体力:37
魔力:48
スタミナ:29
筋力:23
知性:56
精神力:45
【スキル】
操水Lv2
称号:無し
【状態】
妊娠中
この鑑定結果を見る限り、母親は人間。
つまり、俺も人間の赤ん坊ということだ。
正直人間に転生したのは、複雑な気分だった。
なんせ、前世では生きる希望であった母を人間に殺されたのだから。
だが、復讐は果たした。
人間と一口に言っても、様々な人間がいる。
特に罪もない人を『人間だから』といって恨むのは筋違いだ。
俺は今、人間としての生を受けた。ならば、人間として精一杯生きるのが筋だろう。
というか、自分のステータスはどうなったんだ?
そう思い、自分も鑑定してみる。
【基本ステータス】
名前:???
種族:人間
年齢:0歳
性別:男性
【能力値】
体力:680
魔力:720
スタミナ:590
筋力:560
知性:730
精神力:890
【スキル】
竜語理解Lv4
ステータス鑑定Lv3
飛翔Lv5
竜の息吹Lv6
威圧Lv4
無断転生
転生者
アナウンス
【称号】
神の許可なき転生者
【状態】
出産前の赤子
……まずいな。
前世では死ぬ間際だったから、深く考えずに『ユニークスキル:無断転生』を作成した際に「ステータスを引き継ぐ」という効果を入れたが、これはまずいことになった。
俺のステータスが高すぎて、このままだと母親の腹を内側から蹴る、なんて可愛らしい動作で腹を突き破りかねない。
そんなことをしたら、栄養や酸素の供給が絶たれて自分まで死んでしまう。
……仕方ない、今回の人生では力を抑えるか。
そう思って『ユニークスキル:転生者』で『ステータスを操るスキル』を獲得した。
《『ユニークスキル:ステータスコントロール』を獲得しました》とアナウンスが流れた時、俺はまだ気付いていなかった。
『ステータスを操るスキル』がこの世界で何を意味するのかを。
この後ヒロインを登場させる予定なのですが、ヒロインは挿絵が欲しいと思い、今イラストレーター様に依頼しています。
また、定期的に挿絵を入れることにしました。
その関係上、イラストレーター様にのみ先にこの作品を読んで頂く必要があります。
その諸々の都合を鑑みて、2024年内は『無断転生』を更新しないことにしました。
いわゆる書き貯めをします。
楽しみにしてくださっている皆様には大変申し訳ございませんが、お待ち頂けますと幸いです。