#8国境
2047年 6月 世界政府加盟国・ドイツ
国境線に向かっている途中にリーナが話しかけてきた。
「なぁ、噂なんだけど君って元大統領の子供なのか?」
「そうだけど...」
「やっぱり!」
「でも、昔の記憶がなくて、お父さんがどんな人だったのかもわかんないんだ。」
「そうなのか...でも、そのうち思い出すって!」
「思い出したらお父さんの話聞かせてよな。」
「うん、わかった。」
小学生のころを思い出した。
「アラン君って偉い人の子供なんでしょ?一緒に話そうよ!」
「ちょっと、私が先に話しかけたでしょ!」
嫌な気持ちだった。
偉い人の息子とか、身分で比べてくるのが。
「ど、どけて!」
「何あいつ...偉い人の子供のくせに。こっちは優しく接してやってるのに!」
こんな明るく話しかけてくれる人なんて嫌な思い出しかない。
待てよ...
小学生?小学生だったのか?俺が?いつ?
すると長官が話し始めた。
「妙だな...国境警備隊がいくら小規模とはいえこれほどまでに少ないとは...」
そこには10人ほどの兵士しかいなかった。
なので光学迷彩を使い、兵士に近づくと話し声が聞こえてきた。
「そういえば、お前んとこの子供もう生まれるんだろ?」
「はい。おかげさまで。予定日も明後日なんですよ!」
「それはよかったな!俺にもお祝いさせろよ!」
仕事なんだ。
やるしかないんだ。
敵国の兵士だぞ。
何を考えているんだ。
躊躇なんていらない。
「うわあああぁあぁぁぁあぁぁぁぁ!!!!!!」
ドドドドドドドドド
「おい!アラン何をしてる!?」
目の前の話していた敵国の兵士どもは死んだ。
騒ぎを聞きつけたほかの兵士もやってきた。
「なんだ!?おい!!どうした!!返事をしろ!!」
「くそ!光学迷彩か!」
すると長官が言った。
「敵が密集している!今だ!」
ドドドドドドドドド
国境警備隊を撃破した。
「おい、アラン何であんなことをしたんだ!」
「なんでって、敵でしょ?倒さないでどうするんですか?」
「お前一回休め。らしくないぞ。」
「わかりました。」
今回は調子が悪かった。
なぜだろう。急に自分の気持ちを押さえつけられたような感じになった。
そのあと、簡易的な救護室が作られ、看護兵から手当てを受けていた。
「大丈夫?」
リーナが話しかけてきた。
「ああ、もう大丈夫だ。早くいかないと。」
「だめ!まだ休んでて!疲れてるだろ?」
「わかったよ...」
さっきのようなことがまた起きたら責任が取れない。
今は休むとしよう。