表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/6

*プロローグ4


 草原に突如、現れた強敵モンスターをどうにかして倒そうと、スキル『空気砲エアキャノン』を持つ男――ボス達は、果敢に挑んでいた。


 ボス、といってもラスボスとかの意味ではなく、愛称でもなく、ただの名前だ。強そうな名前ではあるが、決して特段強いわけではない。ボスは暴力系主人公ってかんじ。


 何でも力で解決すればいい、と思っている。


「なあ、ボス。リーフドラゴンを貫通させてくれないか? 生憎、槍や剣を持ってる奴がいないんだ」


 このパーティーには武器/槍、剣を持ってる人がいない。みんな、拳の打撃だったり、弓だったり、盾だったりを持っている。そして、武器を持っていない回復役ヒーラーの女の子。

 メンバーの一人が弓で攻撃してみたりもしたが、全くびくともしなかった。

 どうも、拳で攻撃したり、盾でダメージを跳ね返したりしても、敵のHPが減らない事が分かった。敵の皮が硬いのだ。


「分かったよ。やればいいんだろ、やれば」


「スキル『空気砲エアキャノン』!」


 風を切るように、ボスが所持している武器から、空気砲が放たれた。かなり大型の重たい強敵――リーフドラゴンは軽々と宙を舞って、吹っ飛んだ。そして、塀に激突。


「おお!」


 と他パーティーメンバーから歓声が上がる。


 だが――。


「おいおい。俺は《《貫通》》させろ、と言ったんだ。吹き飛ばせ、だなんて言ってないし、全然ダメージ与えられてねーじゃねーか」


 そう、吹っ飛ばすだけじゃ、敵にダメージを与えられない。硬い皮の中を攻撃しないと相手は死なない。


 ちょっとこのパーティー、バランスがおかしかった。


「そんなに言うなら、お前が貫通させれば良かっただろ」


「ああ゛? 俺の武器で貫通なんて出来るわけねーだろ。そんな簡単な事も分からないのか」


「ムカつくなぁ、おい。俺の空気砲でお前を吹き飛ばしてやろうか」


「け、喧嘩はやめてください!」


 パーティー内での回復役ヒーラーのフィーナが制止する。全くその通りだ。早く敵を始末しないと、また敵が復活してしまう。


戦闘バトルに戻ろう」


「うん」


 戦闘を開始したが、なかなか倒せなかった。


撤退リタイアするか?」


「いや」


「何でこの俺様がリタイアなんてしなきゃいけないんだ」


「弱いからだろぉ?」


「ああ゛?」


 この二人は放っておくと、喧嘩する。



 ――そして、遂に敗北の時が来た。


「草木の疾風/リーフ・トルネード!」


 リーフドラゴンから受けた竜巻攻撃。防げる者は誰一人いなかった。全員GameOver。お決まりの地へと戻される。


 お決まりの地で五人は考える。

 勿論、敗因についてだ。


「なあ、誰が悪いと思う? 俺はボスが悪いと思うぜ。空気砲っていう強いスキル持ってるのに、貫通させられない所がよ」


 残念な事にボスと敵対している、この男――ルインこそがこのパーティーのリーダーなのだ。だから、追放なんて言われたら、それに従わなければならない。


「俺は勿論、そういう事言ってるルインが悪いと思うわ。だって、強ければ拳で一撃で倒せるはずなのに、俺に丸投げして、ただ突っ立ってるだけの存在が一番たち悪いだろ」


「喧嘩、やめて下さ――」とフィーナが言いかけた刹那。


「今日でボスをこのパーティーから追放する」


「ああ゛? 俺の何が悪いって言うんだよ。ふざけてんのか? 、てめえ。殴るぞ」


「そんなに喧嘩するなら、私が辞めます。私を追放して下さい」


 フィーナは気づいていた。リーダーのルインがパーティーのバランスを調整したいことに。


「フィーナ、お前は必要だ。ヒーラーがいなくなったら、パーティーが崩壊する。それだけは勘弁してほしい」


「フィーナちゃんが辞めるなら、私も辞めます」


 そうのたまうのは弓使いのニルだ。弓攻撃で貫通出来なかった子。美人なお姉さんタイプでとても優しい。パーティー内では『女神』と言われている。


「お前なら辞めていいぞ。あと、盾役タンクも要らん。回復役で充分だ」


「えぇ……」


 タンクの男の子も突然の追放にびっくりする。そして、ニルも間を置かない、容赦無い「辞めていい」という言葉にショックを受ける。


「それだと、残ったのはルインだけですね。一人でパーティー頑張って下さい」


「お、おい。フィーナだけは――」


「さようなら、ありがとうございました」


「フィーナちゃん、行こ」とニル。


「こんなパーティー、解散だぁ、解散!」とルインが当たり散らす。


 そうして、ボス達のパーティーは結果的に解散となった。


「俺、これからどうすればいいんだろ……」


 ボスはこれから先の未来に不安を抱いていた。





*あとがき

ここまでお読み下さり、ありがとうございます。作者の篠宮しのみや時乃ときのと申します。

2話のあとがきになるのですが、速読術、羨ましい。

このエピソードでプロローグは終了です。

さて、今後なんですが、『もふもふ集め』のアンナを主人公にしたストーリーが始まります。あとの三人もその章が終わったら、順番に主人公として出てきます。アンナ→ヒイロ→リック→ボスの順番で。この構成で本当にいいのか、と悩みに悩んだ末に決まった構成でした。本当は追放された四人がパーティーを組んで、冒険しつつ、スローライフしつつ、っていうかんじにしたかったのですが。四人がパーティー組むのは、4章が終わった後になるので、結構先です……。

期待させて、すみません。

※あと、月・火・金は仕事があるので、毎日更新出来るかは分かりません。

今後ともよろしくお願いします。

※カクヨム版のあとがきになっておりますが、ご了承下さい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ