1、ん?
.....。
生き別れってのは誰にでも経験するんじゃないだろうか。
寧ろ経験しない人なんて居るのだろうか、って思ったりする日々だ。
俺、長宮広大もそうだった。
でも17歳になった歳の事だ。
何故か神様の縁か知らないけど幼馴染と再会した。
「初めまして。二宮祭です」
「「「.....おー。イケメンだ!」」」
まさかの事だった。
それは男子高校生になった俺の幼馴染。
当時.....近所で一緒に遊んでいた男だった。
先生に指示されて動く祭。
俺は目を輝かせる。
こんな高校で再会するとは、と思い。
俺は小さく手を振った。
だが。
「.....っ!」
何故か知らないがその幼馴染はスルーして他の男子の所に腰掛ける。
後ろの方の席に行ってしまった。
俺は目を丸くしながらも、ま、まあ.....そういう事もあるかな、と思いながらそのままホームルームを過ごす。
後から声を掛けよう、と思いながら。
☆
「祭。久々だな」
「.....そ、そうだね.....」
久々の事で嬉しくなった。
でも何故そんなに恥ずかしがっているのか分からないが。
祭は変わらず俺に俯きながらも笑みを浮かべる。
そして、広大。久々だね、と。
俺は何故か.....その祭の笑顔に!?と思ってしまった。
それはかなり女の子の様な笑みをしていたから。
ってそんな馬鹿な、と思う。
「広大ー。そいつと知り合いなのか?」
「.....渡。知り合いだ。俺の幼馴染の祭だ」
「祭です」
「.....へえ。祭くんか。宜しくな。俺は遠野渡だ。宜しく。そこの中学時代からのダチなんだ」
「よ、宜しくね」
渡ははにかみながら祭を見る。
祭は恥ずかしがりながらも運動部の渡と握手した。
すると渡は?を浮かべる。
何だか華奢だな?手が、と。
「ああ。昔からなんだよ。コイツの手は」
「そうなのか?かなり女子の手に似ているな」
「女子じゃないよ?僕は。アハハ」
またはにかみながら祭はそう言う。
俺はその祭を見ながら、なあ。また一緒に遊ぼうぜ、と言ってみる。
すると祭は、うん。大歓迎だよ。.....あ。さっきはゴメンね、と言ってくる祭。
俺はその言葉に、気にすんな、と笑顔を浮かべた。
「.....本当に仲が良いんだなお前ら」
「そうだね。僕達は昔から。小学校時代から.....仲が良いよ」
「そうだな。懐かしいよなあの頃は」
「だね。本当に6年ぶりだね」
「.....そうだな。6年も経ったんだっけ?」
「そうだね」
そうか。6年か.....。
その間色々あったけど。
でも何時だってコイツの事を忘れた事はない。
コイツは.....祭は。
俺にとって最高の幼馴染だったからな。
「なあ。祭くん」
「何?渡くん」
「君は部活とか入るのか?」
「.....僕は.....そうだね。入らないかな。.....身体が弱いから」
「そうなんだな。せっかくだから俺の部活に案内しようと思ったんだが」
「そ、それはマッチョは.....僕には厳しいかも」
だよな。アッハッハ!、と渡は爆笑する。
俺はその姿を見ながら苦笑いを浮かべつつ祭を見る。
するとチャイムが鳴った。
先生が入って来る。
俺達は、ヤバい、と言いながらそのまま椅子に戻る。
祭りに挨拶をしてから、だ。
すると背後からこう聞こえた気がした。
「本当に変わってなかった。嬉しい」
その様に、だ。
ん.....気のせいか?、と思いながらもほとんど気に留める事はなかった。
焦っていたのでそのまま椅子に腰掛ける。
それから授業準備を始める。
何もしてなかったから危なかった。
.....。