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第6話 筋トレは目的でもあり、手段でもありますわ!


 ◇

 ~クロエ視点~


 放課後、私はセシリア様と帰宅するルートが途中まで被っていたため、セシリア様と帰ることにした。

 そこでハリアー様が私たちに近づき、「生徒会に入らないか?」と勧誘をされた。


 この流れは、、、ゲームでプレイしたことがある!ゲームをプレイしたうえで言うと、生徒会イベントは欠かすことができないイベントだ。私とセシリア様、両方が誘われたのは少し違う点だが、まあそんなのは誤差の範囲だろう。

 むしろ私はセシリア様と一緒に生徒会を行えることに、安堵感と嬉しさを覚える。


 ――けど、勉強の時間も減ってしまうってことだよね、、、


 幸い、算術等の基礎的知識は転生前の知識で十分だが、魔法に関する知識はこちらの世界で初めて学んだため、知識としては物足りない。

 私は平民出であることから、他の貴族たちを牽制する意味でも人一倍勉強をし、学年首席の地位を維持していかなければならないと考えていた。

 そこにやってくる生徒会の業務、、、正直少し不安だ。


 そのような事を考えていると、「見学だけでも、、、」とハリアー様が生徒会に招待してくれた。

 生徒会に案内されると、そこにはゲームで見たことのある見知った面々が並んでいた。やはり、男女問わず美形ぞろいである。

 淹れて頂いたお茶を飲みながら談笑していると、マルケス様がセシリア様に模擬戦を挑んでいる。

 セシリア様はその模擬戦を受け入れ、私たちは模擬戦を行う闘技場の観客席にて二人の戦いを見守った。


 魔法の展開スピード、手数ともにマルケス様はとても優れた魔法使いであることが分かった。けれども、セシリア様には遠く及ばない。

 セシリア様はマルケス様の攻撃をすべて躱しきったばかりか、瞬く間にマルケス様を闘技場の壁に吹き飛ばしてしまったのだ。


 セシリア様のその戦いぶりに、私の胸がキュンっと動くのを感じた。やっぱりセシリア様は美しく、かっこいい。

 自分の部屋に戻ってからも、私はそのことを何度も思い出していた。


 

 ◇


 ――朝、ですわ、、、!


 私はいつもと同じ時間に目を覚ます。今日は学院に通ってから初めての休日だ。

 休日の朝イチはいつも行っているルーティーンがある。そのため屋敷の外にある、建物に向かう。

 

 「おや、お嬢様、おはようございます」


 「ええ、セバスチャン。おはようございますですわ」


 私はセバスチャンに挨拶をすると、建物内にある更衣室に向かい、上は胸までを覆うタンクトップ型の服装に着替え、下はロングスパッツを着用する。


 着替えた後、セバスチャンの下に行き、一緒に動的ストレッチを行う。


 「お嬢様。先週に比べ、筋肉が成長しておりますね」

 「あら。気が付いたのですね?今週は頑張りましたから、、、」


 セバスチャンが私の筋肉を褒めてくれたため、私はつい嬉しくなった。


 10分ほど動的ストレッチを念入りに行った後、セバスチャンが「では、始めましょう」と私に伝える。


 私はバンテージを装着し、その上からグローブを装着する。さあ、準備は整った。


 そう、今日はセバスチャンと組み手をする日なのだ。

 セバスチャンは白髪が目立ってきた初老の執事なのだが、格闘術に関しては私の師匠である。

 

 「では、私から行きますよ!」


 セバスチャンがそういうと、およそ3mほどの距離から一瞬で私まで距離を詰め、左のジャブを繰り出してくる。

 私はそれをパーリングではじきながら、セバスチャンの動きを見極める。

 

 ――今ですわ!


 私はセバスチャンが見せた一瞬の隙をつき、セバスチャンの頭に向けて思いっきり廻し蹴りを放ったが、「まだまだ甘いですね、お嬢様」とセバスチャンは意図も簡単にその蹴りを避け、私の軸足に蹴りを入れる。


 「く、、、っ」私はその蹴りにうまく対応することができず、体勢を崩したところ、セバスチャンは距離を詰め、私の顔面に向け右ストレートを寸止めする。


 「勝負あり、ですね。お嬢様」

 「ええ、、、私の負けですわ」


 私は息を切らせながらそう答える。

 

 「お嬢様、失礼ながらお嬢様の攻撃は直情的過ぎます。打撃を繰り出すスピードこそありますが、見切られると今回みたいに途端に組み崩されてしまいますよ?」


 そう、それが私の弱点なのである。スピードにモノを言わせて攻撃を繰り返すのは良いが、今回のように見極められた瞬間に負けてしまう、、、。


 「ええ、セバスチャン。わかっていますわ。なのでもう一戦お願いしますわ!」


 「分かりました。、、、では、参りますよ!」


 その後も5回ほどセバスチャンと組み手を行ったが、セバスチャンに有効打を与えることなく、結局私が負けてしまった。


 

 「お嬢様、以前に比べ格段に強くなってまいりました。だけど、私に勝つにはまだまだ鍛錬が足りませぬな」


 ハハハッとセバスチャンが笑いながら私に言う。


 「む~、次こそは一撃を入れて差し上げますわ!」

 私は捨て台詞を吐くが、セバスチャンに一撃を与えられるのはいつになるのだろう、、、と少し遠い気持ちになった。


 「楽しみにしております。それでは、今日の鍛錬はここまでと言うことで」

 「分かりましたわ。セバスチャン、またよろしくね?」


 私はそういうと、着替えるために更衣室に向かった。

 

 ――今日も勝てなかったですわ、、、


 でも、諦めず鍛錬と筋トレを続けていたら、きっとセバスチャンを倒す実力が身に着くだろう、、、。私はそう信じて、今後の筋トレもしっかりと取り組んでいこうと改めて決意を固めた。


 ここからは何の筋トレをしようか、、、今日の訓練でインナーマッスルに課題があったから、今日はインナーマッスルを中心に鍛え上げていこう、、、。


 ――ああ、それと明日から本格的に始まる魔法に関する予習も行っておかないといけませんわね


 魔法に関する勉強は、詠唱できない私にとっては正直あまり意味がないものだと思っているが、勉強を行ったことによって成績を下げる訳にはいかない。

 

 ――学生としての本分も果たさないといけませんし、、、


 私はふぅ、とため息をついた後、まずは筋トレの準備をした。

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