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第14話 普段の日常はやっぱり落ち着きますわ!


 ~昼休み~

 魔法実習が終わり、いつも通りの日常に戻る。

 

 私とクロエが食堂に向かっている最中、ナッシュとフラメアに偶然会ったため、今日はナッシュとフラメアの二人を加えた4人で昼食をとることになった。


 「それにしても、セシリアとクロエは大変だったようだな?」

 「たしか、盗賊に攫われてしまったんでしたっけ?大変でしたね、、、」


 「ええ、確かにいろいろありましたわね、、、」

 「ほんと、それまでの実習で何をしたのか忘れちゃうくらい、捕まってからの内容が濃かったですもんね」


 私たちは、口々に実習のことを話すが、その話題の中心になるのが私とクロエが巻き込まれたあの事件についてだ。


 「私はハリアー様と一緒で常に胃が痛い思いだったが、そちらに比べれば全然大したことがない」

 「私も、マリア様とフィオナ様が基本的に対処してくれたので、サポートくらいしかやることがありませんでした」


 どうやら、ナッシュの胃が痛くなったくらいで二人とも私たちのような事件に巻き込まれたりはしていないようだった。まあ、そもそも学校の実習中に事件に巻き込まれるほうが明らかにおかしいのであるが、、、。


 二人の話を聞いていると、どうやら楽勝だったようだ。

 

 1年生は慣れていない森に3日間も連続で行くということから、3日目にはバテバテになるのが通例なのだそうだが、生徒会の役割をこなしながらも楽勝だったと言える2人の能力はきっと高い方なのであろう。

 

 「そういえば、お二人のところにはどのような魔物が出たのですか?」


 クロエがナッシュとフラメアに尋ねる。


 「ええ、と、私のところには主にウサギや蛇のような小動物系の魔物が多く出ましたね」

 「私も同じようなものだ。ただ、たまに中型の犬のような魔物が出たりもしたが、、、」


 「人よりも大きいサイズのカエルとかは出たり・・・?」


 「「いや、それはない(ありません)」」


 ――個人的にはあのカエルとはもう戦いたくはありませんわ


 表面がぬるぬるしており、また、気持ちの悪い舌で腕を絡められた時は正直最悪の気分だった。大型の魔物でも、もう少し獣の姿をしている方がこちらとしては戦いやすい。


 昼食を食べながらそのような話をしていると、授業が始まる予鈴が食堂内に鳴り響く。

 私たちは話を切り上げ、それぞれの教室に戻っていった。



 ◇

 ~放課後 生徒会室~


 「はあ、なんかこの雰囲気が落ち着きますわ~」


 私は生徒会室に入り、マリア様から出されたお茶を飲みながら、そのように呟く。


 「ふふ、セシリアとクロエはおととい大変でしたからね。お疲れ様です」


 私たちにお茶を淹れてくれたマリア様は笑顔でそのように答える。


 ――マリア様、、、天使ですの!?


 私はマリア様から後光のような光が差し込んでいるのがなんとなく見えた。


 「まあ、何はともあれ、二人が無事でよかった」


 ハリアー様が会長の座る椅子に座りながら、私たちに言う。


 「ほんと、大変でしたわ。まさか盗賊がいるなんて思っていなかったので、、、」

 「生徒会長はそのこと、知っていたのですよね?」


 私とクロエはジト目でハリアー様を見ると、「ぬ、、、すまんな。私もこんな事態になるとは思っていなかったのだ」と少し顔を逸らしながら答える。


 そういったやり取りをしていると、突然バンッ!と生徒会室の扉が開けられる。

 

 「よお、久しぶり!」


 私たちは驚いて扉の方を見ると、バラン様が生徒会室に入ってくる。、、、そういえば初めて生徒会室でバラン様を見た気がする。そう考えていると、ハリアー様が「もう少し静かに入ってこい」とあきれ顔でバラン様に伝えている。


 「いやあ、わりいわりい。いつもの癖でな」


 バラン様は笑いながらそのように言い、中央にある一人掛けのソファーにドカッと座る。


 ナッシュとフラメアは(誰だ、この人?)といった顔でバラン様を眺めている。無理もない。今まで生徒会の幽霊部員だったのだ。ナッシュとフラメアにとってはバラン様は初顔合わせであるのだ。


 「ナッシュ、フラメア。この方は一応生徒会のメンバーであるバラン様ですわ」


 「ちょ、セシリアちゃん、、、一応ってひどいなぁ」


 「私たちが入学して、初めて来られたのですもの。一応ってつけても問題ありませんわ」


 つーんっとした表情で私は答える。


 「あ~、セシリアちゃんから説明があったように、俺がバラン・オーギュストだ。たしか、ナッシュにフラメアちゃんだったっけか?これからよろしくな?」


 バラン様はそう言うと、空いている私の隣に座り、私の作業を眺めだした。


 ――なんか、距離が近いですの、、、


 私が行っている事務作業を近い距離から眺め、「ほう、結構まじめにやっているんだなぁ」と呟きながら見ている。


 「バラン様、ちょっとセシリア様に近づき過ぎじゃありませんか?」


 クロエがジト目でバラン様を眺めている。しかし、バラン様は特に意に返さず、そのまま少し近い距離で私の作業を見学し続けている。

 

 ――流石に、少し邪魔ですわ、、、


 それに、バラン様は美形ぞろいの生徒会の例に漏れず目鼻立ち整った美形であったため、流石にここまで距離を詰められると私も気恥ずかしくなってくる。


 「あの、バラン様、、、」


 「うん?どうした?セシリアちゃん?」


 「ちょっと距離が近いですわ、、、」


 「おお、わりいな。どんな風に作業しているのか気になっちまって」


 そういうと、ようやく少し距離を取ってくれた。

 それにしても、一体どうしたというのだろうか?もしかして、この前見せた私の姿から、私は脳筋でこういった事務作業ができないと思われて、作業の様子を見られていたのだろうか?


 ――もしそうだとしたら、少しイラつきますわね、、、


 私がそう考えていたが、ハリアー様が「おい、バラン。セシリア嬢に興味があるのは良いが、自分の仕事をしたらどうだ?ただでさえ今まで出ていなかった分が溜まっているというのに、、、」とハリアー様がバラン様に言う。


 ――興味とはいったい何なのでしょう・・・?は!もしかして、筋肉や筋トレに興味があるのでは!?


 ハッとした私は、バラン様に見える場所の上腕二頭筋に力を込め、筋肉をアピールしておいた。

 、、、伝わったのだろうか?いや、この顔は対して伝わっていないようだ。

 しかし、筋肉の同志ができたのかもしれないということに、私は少し嬉しさを覚えた。


 バラン様は少し名残惜しそうに「へいへい、分かりましたよ~」と言いながら、自身の椅子に座り、作業を始めた。


 「ふぅ、やっとどきましたか」


 私にしか聞こえないような小声で、クロエが少し安心しながらそのように言っている。

 どうやら、少しバラン様の場所を睨んでいるようだ。そんなにバラン様のことが嫌いなのだろうか、、、?私はそんなことを考えたが、まだ今日のノルマ分を終えてないことに気づき、再び事務作業の取り組んだ。

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