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第1話 さあ、今日から筋トレを始めますわよ!

 ――私の名前は、「セシリア・アンドレス」。侯爵家の令嬢として生を受け、気が付いたら王立魔法学院に入学する、15歳となっていた。


 15歳までの私の生活は、一般的な侯爵令嬢と何一つ変わらない生活を送っていたように思う。

 ダンスなどの社交を学び、貴族としての教養を深めるために家庭教師から教育を受け、そして自らをいじめ抜くように筋トレに励む、、、。


 実は、こうやって説明している間にも、私は筋トレをしている。そう、ベンチプレスを、だ。

 筋肉はいい。社交界では誰もがキレイな嘘をつき、楽しいふりをしているだけだが、筋肉は決して私を裏切らない。

 鍛えれば鍛えるほど、それに応えるように筋量が増えるからだ。もう一度言うけれど、筋肉が私を裏切ることはない。あるとすれば、私が筋トレをさぼって筋肉を裏切ることだけだ。


 しかし、私の筋肉はもうこのあたりで限界らしい。後私に残された力は、ベンチプレス1回分のみだ。

 「んんっ!」最後の力を振り絞り、私はラスト1回分のプレスを行い、補助バーにバーベルを下す。


 「ハァ、、、ハァ、、、」私は今日もやり切ったのだ!

 ラスト1回分を態勢を崩すことなく上げきることができた・・・!

 確実に昨日の私よりも成長している・・・!


 その達成感だけで、今日という日が頑張れそうな気がしてくる。


 私がその余韻に浸っていると、コンコンッと私の部屋をノックする。私付のメイドである、マリーが


 「お嬢様、そろそろご準備をされないと、、、て、もしかしてまた筋トレしてたのですか!?」


 「あら、マリー。おはよう。勿論です。筋トレは”人生”だからね」


 私はマリーにそう答えるも、マリーは「お嬢様、本日学院の入学式ということを忘れられてませんか?」と私に問いかける。


 「あら、忘れてないわよ?だからこうやって気合を入れているんじゃない」


 「はあ、、、。お嬢様が筋トレバカだとは知っていましたが、まさかこんな大事な式の直前まで、、、」

 「ある意味尊敬致します、、、」


 何か失礼なことを言われているようだが、とりあえずマリーには右親指を立て、グッ、、、とサムズアップをしておいた。


 そこから急いで湯あみを済ませ、学院の制服に着替えた。学院の制服を着てみると、胸のあたりが少しきつく感じたが、これはきっと筋トレでパンプアップした結果だろう。その事実が嬉しく、私は自然と笑みがこぼれた。


 「お嬢様、、、?まさか筋肉が成長して喜んでいません?」

 マリーがジト目でこちらをじーっと見ている。


 「い、いえ、そんなことはありませんわ!それよりも、早く朝食を摂りましょう?」


 私がそういうと、相変わらずジト目のマリーは「ほんとですか~?まあ、いいですけど」と言いながら私の部屋のドアを開けてくれ、私は朝食を食べる部屋にむかった。


 そこには私の父親である、「マーカス・アンドレス」と母親の「イリス・アンドレス」が座ってご飯を食べていた。


 「ああ、セシリア、おはよう」

 「おはようございます。お父様、お母様」


 「、、、あなた。もしかしてまた筋トレをしていたのではないでしょうね??」


 私はお母様にそう言われ、「嗜む程度ですわ」とだけ答えた。


 「はあ、、、一体どうしてこうなってしまったのか、、、」


 お父様とお母様は私を見て、軽くため息を漏らす。

 

 「で、でも、筋トレのおかげで私はプロポーションを保つことができているのですよ!?」

 私はその場をくるっと周り、スタイルの良さを強調する。


 「いや、お前はついやりすぎることがあるからな、、、」

 「もう私は諦めていますけどね」


 お父様とお母様は口々にそのように言う。自分で言うのもなんだけど、私は他の令嬢とは比べ物にならない程の美貌を持っていると自負している。目鼻立ちが整った顔やきれいに切りそろえられた腰まであるブロンドの髪、そして鍛えたことにより引き締まったプロポーション。そのどれも、私が今まで培った筋トレによるおかげだと信じている。

 なのに、なぜお父様とお母様はそのことを認めて下さらないのでしょうか、、、。


 「、、、まあいい。ほら、早く朝食を食べなさい」

 そう言われ、私は並べられた朝食を食べる。鶏肉のささ身など、タンパク質が比較的多めだが、脂質、炭水化物といったPFCバランスのしっかりとれる朝食である。

 私は筋肉が喜んでいるのを感じながら、朝食を食べた。


 「王立魔法学院は文字通り”魔法を学ぶ学院”ですからね?筋肉を学ぶのではないのですよ?」


 お母様はため息をつきながら、私にそう話しかける。いくらなんでも、そのくらい私も知っている。

 

 「ええ、もちろんですわ、お母様」


 私はそう答え、自室にカバンを取りに戻る。

 

 自室に戻った私は、普段勉強をしている机の上に置いていたバッグを掴む。そして、自室から出ようと部屋の片隅にふと目を向けると、ダンベルがこちらを見ているような気がした。


 「フフッ、心配せずとも、帰ったらしっかり使ってあげますからね」


 私はダンベルに微笑みかけ、今日帰ったらダンベルを使ってスクワットをしようと心に決めた。


 どうやら、表にはもう既に魔法学院に向かうための馬車が待っているみたいだ。私は足早に馬車まで向かい、乗り込んだすぐ後、馬車は学院に向かうために自宅を出発した。



 





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