表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

煙草

作者: 淳平

「ちょっとそこまで散歩してくると彼はこの部屋から出て行った。

 とか言いながらで外で煙草を吸うだけだということを私は知っている。

 いつもそうだ。彼はいつも本音の一つ手前のことしか私には話してくれない。

 それは私にとってもある種の居心地の良さもあったけれど、はっきりしないこの関係を助長している諸悪の根源でもあった。

 きっとこれからもそうなのだろう。

 その度に私は心にモヤモヤとしたものを抱えていく。

 彼が外から戻ってきた。

 瞬間、外の冷気が部屋に入ってきた。

 そして私は抱きしめられ彼のパーカーに顔を埋める。

 微かに染み付いた煙草の匂いがする。

 ああ、と思った。

 この先も私はきっとわかっていないフリをするのだろう。

 そして彼はこの先もいい彼氏のフリをするのだろう。

 ただこうしてくっついていると不思議と落ち着いて、

「楽なんだよな」

「え、何か言った?」

「ううん、何でもない」と、私は彼のパーカーに顔を擦り寄せる。

 微かに煙草の匂いが消えた気がした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ