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ユールヴィング領の攻防(3)

 異形の放つツタの刃がログに迫った。

 それでも彼は構わず、引き抜いた魔法剣を異形に突き出す。

 それは寸分の狂いもなく異形にめり込んでいた鞘へと差し込まれた。

(これで――)

 ログは躊躇うことなく魔法剣を起動した。

 その瞬間、異形とログの間で閃光と爆発が生じる。

 ログにも衝撃が襲った。

 爆風を受けたログは吹き飛ばされる。爆風と共に自身を狙うツタの間をすり抜けた彼の身体は転がるように地面に落下した。

「……クッ」

 上体を起こそうとしたログの身体が悲鳴を上げ、地面に血が滴り落ちる。

 爆発の衝撃で全身を強く打ち、ツタの包囲を抜ける際にも刃に切り付けられていた。

(……奴は……)

 ログは異形の姿を確かめる。

『ゴアアァアア……アアアウアアッ!?』

 異形の姿は変貌していた。

 腹部を吹き飛ばされ、全身に絡まる鋼のツタの隙間からも煙を上げている。上半身が不自然に傾き、辛うじて繋がっている下半身が倒れるのを支えている。さらに全身から火花が散っており、苦悶に呻くような異形の姿から再生も止まっているようだった。

 彼に残された手段――それは対生成機関の鞘に輝力を集め、それに差した魔法剣を起動させる事で、輝力と魔力を衝突させたのだ。

 輝力と魔力の衝突は破壊力となって四散する。異形も内部に刺さったままそれを受けては、ただでは済まなかったようだ。

(……ここまで……か……後は……閣下が……)

 ログは地面に倒れた。

 もう彼にも立ち上げる余力は残っていなかった。



 エレナ=フィルディングは手を翳していた。

 彼女は王都の外れに鎮座する“機神”へ命令を送り、その力を行使しようとしている。

 その手は宝石を幾つも付けた革手袋に包まれ、その革手袋から伸びたコードが背後に立つ《グノムス》に接続されている。

 機体にはリファが搭乗しており、彼女の持つ魔力を《グノムス》が引き出して革手袋の宝石に注ぎ込んでいた。

 この宝石全てがエレナの制御信号を増幅する装置だ。命令実行に必要な魔力と共に“機神”に送信しているのだ。

「……エルマ博士、貴女はこうなる事を考え、このような装置を用意していたのですか?」

 “機神”との交信を試みながらエレナは尋ねる。

「いえ、必要に応じてそこらの装置を組み合わせただけですわ。それがうちらに求められている役割ですからね」

 エルマが答える。

 やがて制御信号を受信した“機神”側からの応答が始まった。

 不安材料だった例の男の気配もない。

 エレナは目を閉じた。“機神”の機能を通して知覚を遥か遠くのユールヴィング領にまで伸ばす。そして探った。

 世界中の機械と応答して魔力を配分する超弩級魔力炉だった“機神”の能力は、辺境にある一つの機械を感知した。

「――見つけました。博士の予想通り、向こうで“門番”を用意していたようです」

「やっぱり考えている事は一緒だったわね。それで掌握できますか?」

「……これは!? 他の何かが“門番”を掌握しようとしている。まさか、すでにあの化け物が――」

 エレナは振り向くが、現地に妹と部下がいるはずのエルマは努めて冷静でいた。

「落ち着いて。まず異形から支配を奪うことはできますか?」

「できます。ですが向こうも同じように支配権を奪い返そうとしている。このままでは堂々巡りになる」

「もう一つ。転移装置は接続されてますか?」

「……いえ、よく分かりませんが転移装置の起動に失敗しているようです」

「やはり、人工知能と転移装置を切り離しているのね……いいですか? そのまま、奴と掌握の綱引きを続けて下さい。きっと向こうにいる妹たちが転移装置と接続してくれます。その瞬間に手筈通りに――きっとあの子たちなら上手くやってくれますわ」



(――ログ副長!?)

 マリエルたちの前で最後の抵抗を試みた副長は異形の動きを止めたが、自らも地面に倒れた。

 彼女たちもすぐに救援に駆けつけたかったが異形はまだ停止していなかった。

 異形は全身から火花を散らしながらもゆっくりと動き出している。動きが緩慢なのは、おそらく爆発に利用した輝力が内部に入り込んで機能を阻害しているからだ。しかし、それも元に戻るのは時間の問題だろう。

 マリエルは“門番”を乗せた荷車の近くに身を隠すアードたちを見る。

 しかし、二人は待機したまま動かない。

 予想される姉たちからの応答がまだ来ないのだ。

 倒れた副長を守ろうと城壁から弓兵たちが矢を射かけようとする。

「ガアアァアアアアッ!」

 敵意に反応するように異形がいちだんと大きな咆哮をあげた。

 顔の甲殻から真紅の光線が放たれ、城壁を薙いだ。

 城壁の崩壊と逃げ遅れた弓兵たちの悲鳴が木霊する。

 さらに異形は首を巡らし、今度は街側の家屋を光線で薙ぎ払った。

 怒りに我を忘れたように異形は周囲の建造物を手当たり次第に破壊する。

 マリエルの頭上にも光線が横切り、倒壊した屋根の破片が降り注いだ。

「うわッ!?……クソ、所長さん、無事か!?」

 サルディンが声をかける。

「うちは大丈夫――!?」

 マリエルも大した被害はなかったが目の前の建物が崩れており、その近くにいたはずのアードたちの姿がなかった。代わりにその近辺は瓦礫に覆われていた。

 光線を撃ち終えて周囲を静かにさせた異形が倒れたログの方へヨロヨロと歩き出す。

 自分にここまで歯向かった副長だけは自らの手でとどめを刺すつもりのようだ。

「……隊長さん、あなただけでも逃げて」

「所長さん!?」

 サルディンの制止を振り切り、マリエルは駆け出した。

 異形も瓦礫の中を進む彼女の姿に気づく。

 マリエルは懐から銃を取り出すと異形に向けて発砲する。しかし、それは異形の表面で火花を散って弾かれるだけだった。

 異形が右手を指鉄砲のようにしてマリエルに向ける。

 その人差し指から真紅の光弾が放たれ、マリエルの手から銃を弾き飛ばした。

 さらに動こうとしたマリエルの足許に光弾を撃ち、彼女をその場に足止めする。

 まるで銃の腕前を誇示するかのようだった。

 異形の前でマリエルは動きを封じられる。

 銃声が鳴り、異形の体表に火花が散った。

「……てめえ! その不細工な面で姐さん代理に手ェ出すんじゃねえぞ!」

 荷車の下から銃を手にしたウンロクが出てきて啖呵を切る。

 同じくアードも隙間から抜け出してきた。

 二人は慌てて駆けつけ、異形からマリエルを庇うように立つ。

「二人とも無事だったの!?」

「ええ、やばいと思って荷車の下に避難してたっす。心配させて、すみませんでした」

「いやあ、姐さん代理に心配されるとのも悪くはないですな」

 マリエルは両拳を握って震わせると、自分を庇う大男と小男の頭に鉄拳を喰らわせた。

「バカッ! 隠れてたのならそのまま隠れてなさいよ! 何で出てきたのよ!」

「え、ええッ!?」

「い、いやあ、俺たちは姐さん代理を助けようと思って……」

「要らないわよ! ここで三人ともやられたら誰が装置の接続をするのよ!」

「そんなぁ、今更言われても……」

「この期に及んでさすがに理不尽過ぎませんかい!?」

 揉める三人の前に異形が近づいて来る。その全身が再生を開始していた。

 身構える三人だが、急に異形の動きが止まる。

 異形が瓦礫に覆われた荷車に注意を向けた。

 同時にマリエルたちも荷車の下から浮かぶ微かな光点に気づいた。

 “門番”の起動を知らせる接続装置の点灯だ。

「姉さんからだわ」

 起動を知らせる点灯は窮地に陥った彼女たちにとって希望の光そのものだった。

 異形は荷車の方をじっと睨んでいた。

 点灯表示が目まぐるしく明滅している。

 おそらく異形とエレナ=フィルディングによる“門番”の掌握合戦になっているのだ。

 やがて業を煮やしたのか、異形が荷車の方へと動き出した。

 もし“門番”を破壊されてしまったら本当に終わりだ。

「……ウンロクさん、こうなったら最後の手段っす」

「ああ、そうだな」

 二人が身を寄せて耳打ちする。

「最後の手段? 二人とも何か策があるの?」

「ええ。ですから所長代理、装置の起動はお願いします」

 アードたちは互いの顔を見るとうなずく。

 そして――

「たあああ!」

「てはああああ!」

 二人は謎の奇声をあげながら異形に向かって走り出した。

「……こ、このバカァッ! それのどこが策よ!!」

 マリエルは呆気にとられそうになるも、すぐに気を取り直して反対方向に走り出した。

 二人の身を呈した時間稼ぎを無駄にはできなかった。

 二人が覚悟を決めて異形に体当たりするが相手はビクともせず、逆に二人は頭を思いっきり鷲掴みにされて持ち上げられた。

(お願い!)

 マリエルは地面を蹴って荷車の下に滑り込むと、その下に隠してあった装置を手にした。

(姉さん! お願い!!)

 装置を動かし、“門番”の人工知能と転移装置を接続した。

 その瞬間、異形の足許に真紅の円陣が浮かび上がった。

『ゴアッ!?』

 異形が驚く素振りを見せるが、次の瞬間にはその姿が転移陣と共に消え失せていた。

 持ち上げられていた二人が地面に落ちる。

 マリエルはすぐに荷車の下から抜け出すと倒れた二人の許に駆け寄った。

「しっかりして! 生きてる!?」

「え……ええ。どうやら副長の攻撃が効いていて弱ってたみたいっすね」

「何とか頭割られずに済みましたわ」

 二人とも仰向けに転がる。どうやら命には別状ないようだ。

 マリエルが安堵の息と共にその場に崩れ落ちるが、すぐに立ち上がって今度はログに駆け寄る。

「副長! 大丈夫ですか!?」

 身を伏せて安否を確かめるマリエルに反応し、ログが顔を上げる。

「……無事とは言い難いが、何とかな」

 ログが答えた。負傷は酷いが意識はしっかりしているようだ。

「すぐに手当てをします」

 マリエルがログに肩を貸して助け起こそうとする。

「待ってくれ、所長さん。手を貸すぜ」

 やって来たのはサルディンだ。彼もその場に残っていたらしい。マリエルと一緒にログに肩を貸して立ち上がらせる。

「まったく、副長も会う度に無茶してよく身が持つもんだ。まったく真似できませんよ」

 サルディンが苦笑する。

「……それよりも奴はどうなった? マリエル?」

「姉さんたちが“門番”の能力を使って、あの化け物を別の場所に転移させました。あの化け物の脅威が消えた訳ではありませんが、少なくとも男爵が戻るまでの時間は稼げるはずです」

「そうか……良くやってくれた」

「副長のおかげですわ。副長があの化け物を食い止めてくれたおかげです。それに礼を言うなら――」

 マリエルが顔を上げる。その先では異形の恐怖から解放されて地面に倒れたままのアードとウンロクの姿があった。

「あの二人に言ってやってください」



「――成功です。奴を跳ばす事ができた」

 エレナの報告にエルマはうなずく。

「それで跳ばした場所は――」

「遠くまで跳ばすことはできませんでしたが指示通り。変動によって“聖域”の影響下から外れている地点を探し、そこに跳ばしました。これで良いのですね?」

「ええ。ありがとうございました。後はアイツらに任せましょう。敵の敵は味方理論で何とかしてくれたら――」



 転移させられた異形は見知らぬ場所に立っていた。

 周囲はなだらかな丘陵になっており、周囲には建物の姿もない。

「転移の反応があって来てみれば――その姿、まさに《アルターロフ》の分身と言ったところだな」

 異形が振り向く。

 その先には鎧に身を包んだ狼頭の戦士が立っていた。

「わざわざ俺たちが出て来れる場所に自分から現れるとはな」

 別の声がして異形はそちらを向く。

 外套から覗くのは宝石の瞳と針葉樹の葉のような耳を持つ“森人”の姿だ。

 狼頭が右手を構え、指を折り曲げる。

「我々と戦うために来たか――あるいは戦わせるために仕向けられたか」

「あの“狼犬”を名乗る連中の仕業か」

 森人も両手にくない型の宝石を握る。

「どちらにせよ、この“闇”を放置はできません」

 頭上から少女の声がした。夕映えの空に光の“翼”を広げた少女の姿だ。

 他の二人からも“翼”が広がる。

 異形は気づいていた。

 この一帯は現在、“聖域”の不安定化によってその効果が消失しており、強力な輝力を持つ“天使”たちの行動範囲であることを――

「消滅か、できなければ封印を試みます」

 少女天使が異形の目の前に降り立つ。異形と彼女を取り囲むようにして、輝く円陣が地面に出現した。

「ドラゴ、どうやら貴様の見せ場のようだな」

「フン、足だけは引っ張るなよ」

 黒き異形を取り囲む三人から更なる輝力が解放される。

 敵意を感じ取った異形の全身から鋼のツタが周囲に放たれた。

 狼頭と森人の天使は浮上して退避する。

 しかし、少女天使はそこから動かず、両手から光輪を出現させて投げた。

 二つの光輪が少女天使の周囲を飛び交い、彼女を狙うツタの群れを次々に切り払う。

 それでも全ては切れず、残ったツタが襲うが、少女天使は紙一重でことごとく避ける。

 全ての方向に目がついていて、それを同時に見ていなければできない動きだった。

 攻撃をしのいだ少女天使が二つの光輪を飛ばし、異形の両腕を斬り落とした。

 しかし両腕と胴体がツタで繋がり、すぐに再生する。

「やはり、再生が早い――ドラゴ!」

「任せろ、クーラ!」

 異形の背後に森人の天使が降り立つ。

 異形の全身からツタが蠢くが、光輪がツタを切り落として攻撃を阻止する。

 森人天使の手から輝力の糸が放たれた。

 それは意志を持つように異形に絡まり、その全身が光糸で拘束される。

『ゴアアァアアッ!』

 異形の咆哮と共に全身のツタが波打つが、がんじがらめに巻き付く光糸が異形の攻撃を妨害する。

 困惑する異形の頭上に影が迫った。

「これで――ッ!」

 狼頭天使が輝く右手で異形の顔を鷲づかみにして地面に叩き付けた。

 その威力で地面がひび割れ、異形の身体が地にめり込む。

「――締めだ!」

 狼頭の輝く右手が異形の顔を握り潰した。



「……手応えはあった」

 異形を仕留めたファウアンはそのまま身体を持ち上げる。

 異形は頭を握られたまま、動こうともしなかった。

 クーラも油断なく近づく。

「……動きを止めたのですか?」

「奴の再生は思念に残る肉体の幻肢を基にしているようなのでな。その思念ごと頭を握り潰してやった」

 ファウアンは答える。

「単にバカ握力で握り潰すだけじゃないって事か」

 ドラゴも異形を見張りながら言った。

「俺の右手が掴めるのは物質だけではないし、掴んだ物の情報もある程度は読み取ることもできてな。動きは封じたが奴の思念はどうも特殊だ。手応えはあったが全てを握り潰せた訳でもない。いずれ活動を再開するぞ」

「チッ、跡形もなく消滅させるしかないわけか」

 ファウアンはクーラの方を見る。

「どうする? 俺はこのまま待つ事を提案する。気づいているだろうが例の黄金の強化装甲がこちらに向かっている。狙いはこの化け物だろう。奴に始末させるのが得策と判断する。あの武装ならこの闇も消滅させられるだろう」

 ドラゴがしかめ面をする。

「畜生め。ウェドの最大火力ならこいつも火葬できただろうに、そのウェドの仇に頼らなければならないのか」

「……ドラゴ、気持ちは分かりますが、今はこの“闇”の始末が先です」

「分かってるさ。クーラ、あんたの決定には従うさ」

「では、こいつはしばらく――!?」

 ファウアンの目が驚愕に開く。

「どうした!?」

「こいつは――下がれ!」

 天使たちが一斉にその場から離れた。

 異形の全身の甲殻が真紅に輝き、次の瞬間、周囲を閃光と爆風が包んだ。

 天使たちは“翼”で身を守りながら爆風を逃れて空へ飛ぶ。

「クッ……ファウアン、どういう事だ!? 奴はしばらく活動を再開しないんじゃなかったのか!?」

「確かに奴の思念は握り潰した。だが、別の意思が流れ込み、奴の思念に成り代わって奴の身体を乗っ取ったようだ」

 土煙が消えた時、地上には地面を抉る爆発の痕跡しか残っていなかった。

 おそらく逃げたのだ。

 異形はあの甲殻から純粋な魔力を放出し、ドラゴの光糸――輝力と反応させて爆発を生み出したのだ。本来なら文字通りの自爆行為だが、無尽蔵の再生能力を持つ異形なら拘束さえ解ければ再生は可能だろう。

「別の意思? どういうことだ? まさか魔女どもか?」

「いえ、魔女たちの反応は感じませんでした。別の何かの気がしますが、はっきりとは――」

 クーラが答えた。

「奴らとは別の何かが異形に干渉しているというのか?」

「分かりませんが、その可能性は否定できません」

 天使たちが周囲を見渡す。

 そして遙か先にある村の姿に気づいた。

 その村は直前に襲撃を受けた形跡があり、そこから避難したであろう村人たちがこちらを見ていた。

「あの村は?」

「この辺はあの“狼犬”の領地だ。その村の一つだろう。異形は通り道の村や街を襲撃していたらしいからな」

 遠目から見ても村人たちの反応が様々だ。

 怯えている者、黙って呆然と見ている者、そして光の翼を広げるクーラたちを救い主と思ったのか、祈りを捧げる者と様々だった。

 クーラはその村人たちの姿を見つめ続ける。

「どうした、クーラ? 何か気になる事でも見つけたか?」

 ドラゴが訝しげに彼女を見る。

「……彼らが祈っているのはわたしたちへだけなのでしょうか?」

「どういう意味だ?」

 天使たちの“翼”が揺らぐ。彼らを地上に留めていた“聖域”変動も元に戻りつつあった。

「クーラ、ドラゴ、時間のようだ」

 ファウアンは告げる。

 ドラゴも煮え湯を呑まされたように舌打ちする。

「奴はまた南に向かったようだな……例の尖兵たちが居た城か」

 天使たちは微かな異形の存在を感じていた。

 魔力を放たない異形であるが、“光”の力を身に宿す彼女らは“闇”である異形の存在をある程度は感知できる。

 その異形は居場所を突き止められないように気配を抑えていたが、間違いなく城のある南に進んでいた。

 あの怨嗟に満ちた悪意も復活している。

 同時に、あの独特の“鎧”の波動が城に迫っているのも気づいていた。

 どちらが先に城に辿り着くかは分からないが、間違いなく戦いになるだろう。

「……後はあの戦乙女たちの戦い。わたしたちはここまでです」

 クーラの言葉と共に天使たちは消えた。

 残されたのは光と闇の姿を遠くから祈っていた村人たちだけだった。


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