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電波は届かないよ

電波は届かないよ

時代は終わったんだ

さぁ土を食べるんだ

内側からかえるんだ


電波は届かないよ

こんな田舎の山奥には

君は学校には戻れないんだ

夜の屋上には戻れないんだ


狂乱する君はとても美しかったけど

そんな時代は終わったんだ

君を狂わせていた紫色の毒電波は

澄んだ空気の中に霧散してしまった

狂乱する君はとても美しかったけど

毒電波は消えてしまったんだ

もう君は狂えないんだ


僕は古朽ちた天狗だから

昔も今もこれからも

何も無い

この田舎の山奥にしか

君を連れ去ることができない

千年経とうが同じ場所

あらゆるものから圏外の場所

だけど……だけど……


電波は届かないよ

ずっと変わらないこの山奥には

さぁ土を食べるんだ

内側からかえるんだ

犯して狂乱させてきた毒電波は

もしかしなくても君の癒しだった

だけど時代は終わったんだ

もう学校には戻れないんだ


星よりも輝くビルの街にそびえ立つ

夜の学校の屋上へ忍び込び

君は脳から心臓から性器まで

全身で毒電波を浴びては

感情を吹き飛ばし喜んでいた

白眼むいて 失禁して 痙攣して

毒電波にあらゆるを犯されて

君は恍惚としていた

だけどそんな時代は終わったんだ

君は土を食べるしかないんだ

制服を脱いで

裸になって

その上に蓑を着て

風しか通りすぎない田舎の山奥の

枯葉散るこの土を食べるしかないんだ


こんな田舎の山奥には

確かに電波は届かないけど

僕は古朽ちた天狗だから

ここにしか連れ去れなかっただけなんだ

だけど……だけど……

僕は天狗だからこそ

ここにしか居ることができないからこそ

ここにいつか君がかえってくると信じていた

天狗は猿田彦にかえり

ここがついに導くべき場所となって

ここへ君を導ける日を待ち続けた


電波は届かないよ

時代は終わったんだ

土を食べて

かえっておいで

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