第十六話 どうもバイ菌らしい
ちょっと、遊びすぎてるナァ…
まぁ、いっかw
リースロット姫とエリン姫は微笑みで朝食を食べ
リーナ姫とエレシア姫は、じーっと予定表を眺めている。
「陛下と毎日の様に寝所を共にしていた時は
こんなに苦しいとは思いませんでしたが
いざ我慢を迫られると、ここまで体が疼くとは…」
言って二人はよよよと泣く。
それに比べると、他の二人は満面の笑みだ。
「不思議ですねぇ姫…
陛下と寝所を共にしてないというのに
何故か、こう…一体感というか…」
エリン姫がそうリースロット姫に言う
「そうですねぇ…何なんでしょうこの不思議な感じ
あ、ちょっとエリン姫、よろしいですか」
「何ですか?ロット姫…」
そっとロット姫がエリン姫のお腹に手を当てた
「え?ロット姫?」
「精霊魔導の力が上がったのか
精霊の声を聞く力が上がってまして…
最近は、生命の精霊の声が良く聞こえるんです」
「え?」
その言葉に驚くエリン姫
「こうやって手をかざすと
そう…まだ完全な命の始まりではないけれども
確実に、エリン姫以外の命の伊吹が感じられて…」
「まぁ!」
そのロット姫の言葉に顔が明るくなるエリン姫。
「私も陛下に濃く注いで貰ってからというもの
どうしてか、自分以外の生命を自分の体に
少しずつ感じて…」
言ってロット姫は頬に手を当て頬を赤らめる。
「では、陛下と寝所を共にしてなくても
不思議に寂しくないのは、もしかして
もう…」
「かもしれません…いえ、きっとそうですよ!」
言って二人は手を取り合って微笑む。
それを妬ましそうな目で見る、他の二人。
「リーナ姫、次は貴方の番なんで
あっち側に一回で行って下さいね…」
そう言ってエレシア姫は年長者なのに
自分が一番最後なのーーと予定表を見て
よよよ、と泣くのだった。
リーナ姫は、近づいている自分の日に
頑張らなければと拳を握りしめる。
ああ…
もう、そろそろ、なっちゃうんだなぁ…
僕は、親に…
そう思うと、
なんだか妙な身震いを感じてしまった。
秘密研究所にて
「ビンゴでした、陛下」
オールドがタラスと一緒にそう言ってきた。
「ここに緊急で、デルゼン陛下に作って貰った
2重レンズとレンズ位置可変の装置…
まぁ原始的な、と陛下は言われてますが
その顕微鏡の試作で、”晶石”の表面を見ると…」
そう言ってオールドは、その試作顕微鏡で
”晶石”の表面を僕に見せた。
「うわ、なんだコレ…
なんか微細な文字が…」
そこにはオパールの表面の上に微細な文字が
沢山書き込まれていたのだった。
「驚きました…、
まだまだ観察して書いてある内容を、
書き出さないといけませんが
”晶石”の上に書かれているのは、
魔導の言語文字…
そしてオパールはミスリル銀と同じ
マナを集める性質を持つ石…
いや、それはミスリル銀に比べれば
微弱ではありますが…
どうも、魔導言語文字の並びを見ると
我々が今までは知らなかった
文字並びが…文章並びが
沢山記載されておりまして…
文字列そのものは、知られている物が多いのですが、
呪文で知られている文章並びとは、
根本的に違うのです。」
「という事は、未知の呪文の様な物?」
僕はその説明で、なんとなくそう理解した。
「簡単に言ってしまえば、そうです」
タラスは僕の言葉を肯定した。
「そっかー、
顕微鏡で見るとそんな事も分かるんだねーー
顕微鏡ってそういう風に使うイメージ
無かったから…」
僕はそのオパールの表面を見て
ただ驚くしかなかった。
「どういう事じゃ?」
その僕の何気ない言葉に首を傾げるデルゼン陛下。
「いやー、僕があの世界で知ってる
顕微鏡のイメージって、プレパラートの上に
細菌とか乗せて、微生物を見るってイメージだったんで
こういう石の表面を見るっていうのは
新鮮で…」
僕はそう言ってテレビとかで不意に流れてた
研究所の実験風景とかのニュースで
顕微鏡を使って、細菌とかを見ている研究者や、
細菌の様子とかの映像を思い出して、漠然とそう言った。
「プレパラート? なんじゃいそれは?」
デルゼン陛下がそれを尋ねる。
「ああ、こんな小さなガラスを作って
その上に、細菌とか乗せるんですよ…
植物の葉っぱとかでもいいのかな…」
僕はそう言って、理科の実験か何かで
先生が顕微鏡で葉っぱの観察とかを
みんなに回して見せてくれてたのを思い出した。
そういや、そんな事してくれてたよな…
顕微鏡で…。
「はぁ…ガラスの板のう…
お前さんが描いてくれた、
あの構造図の真ん中に乗せる奴か…
あれは、プレパラートというんかい…
それは一応、似た様なのを作ってはみたがの…」
そう言って陛下はガラスの切り出しを取り出す。
「ああ、そうそう…
これの上に、泥水とかを
ちょっと乗せて、それでこの顕微鏡で見るんですよ」
そう言って僕はふと考え
自分の皮膚をむしっては、そこに乗せる。
「他にも、人間の細胞とか、生き物の細胞とか
そんなのを見たりとか、テレビでしてたなぁ…」
そう言ってそれを、試作プレパラートの上に乗せた。
そして、それを試作顕微鏡の前に持って行く。
そんな僕の皮膚細胞の拡大図を見て驚くみんな。
「なんじゃいこれは…
これが人の皮膚の微細な姿というんか…」
その拡大図を見て声を上げるデルゼン陛下。
その光景に息を飲んだのはタラスだった。
突然そこで、呪文を唱え出すタラス
「え?」
あまりに突然の事に、驚くみんな。
「『ビジョン』」
タラスは呪文を唱え終わった後にそう言った。
それは自身の視力を上げる魔法といってた奴だ…
それはタラスにしか分からない光景だ。
タラスの自分の目の中に写っていた物に
本人が驚いていたようだった。
まぁ、この顕微で見える物を更に
拡大してるようなモンだしね…
じゃ、これ以上の微細を見てるのか…
と思った時、タラスは何か妙な顔になり
そうなった次の瞬間に更に呪文を唱えだした。
「え?」
2重詠唱が始まった事に、やはり驚くみんな。
「『センス・エネミィ』」
タラスはそんな呪文を唱えた。
「タラス?」
僕はそんなタラスの呪文の重ねかけを
呆然と問いかけるしかなかった。
「こっこれは!?」
タラスは自身の目に写っている光景に
かなり驚嘆するしかない様だった。
「こんなに敵意を持つ更に小さな物が…
こんなに小さな世界に、沢山いるのか!」
タラスは思わずそう呟いた。
「敵意?」
僕はタラスの言葉に首を捻る。
「貴方…センス・エネミーという魔法は、
敵意を持つ物を見分ける魔法なんです…」
と言語魔導を鍛えているリース姫が言ってくる。
すると、またタラスが呪文を唱えだした。
「ほえ?」
3連続呪文詠唱に驚くみんな…。
「『クリエイトイメージ』」
タラスはそう言うと、
そこにみんなに見える幻像を生み出す。
「これは、今、私がこの目で見た光景の写しです…
私には、こんな光景が見えました…」
タラスがそう言って
彼が見た光景をそこに映像を作って見せてくれる。
それは僕の細胞の上に、沢山、
赤い色で点になっている光景だった。
「陛下の皮膚の表面に、何か動いている物が見えたので
そして、それが何か攻撃的に動いて見えたので
センス・エネミーをして敵意を見たのですが…
すると、それだけではなく
敵意を持っている物が、巨大なのではなく
こんなに小さなものまで、沢山に…」
そう言ってタラスはおののいた。
「あーー、それってバイ菌じゃないかなーー」
そのタラスの言葉で僕は、この赤く点になっている
点々が何か理解出来てそう言った。
「バイ菌?」
僕の言葉をタラスが尋ねる。
「うん…世の中には、こういう微生物とかバイ菌とか
小さな生き物たちが居て…
それが病気の元になるんだよ…
そりゃ、まぁ敵意と言えば敵意持ちかー
病気にさせるんだもんなーー、その相手を…」
そう言って僕はハハハと笑う。
「は?陛下…
こんな小さな世界の、こんな物が病気の元だと?」
僕の言葉にタラスが代表してそれを尋ねる。
「うん、そうだよ…
これがバイ菌とか微生物…
病気は、こういう、小さな世界の生き物が起こすんだよ。
ペストやコレラだって、
こういう菌で、こんなのが空気中とか
周囲にいっぱい居るから病気になるんだよね…
病原菌ってのは、こんな風に、沢山居るんだ…
でも、凄いな…
センス・エネミーって魔法を使えば
そういうの、こんな風に、見分けられる様になるんだ…
へーー、魔法って便利だなーー」
僕は何気なく、あっちの世界での、あっちで教育される
普通に普通の常識をそこで語った。
そして目の前の光景の、バイ菌だけを選別して、
色付けしてくれる様子に、
ただ魔法の便利さに唸るしかなかった。
その時、僕は、ただその様子に驚くだけだった。
ただ自分の見たままの光景を口にするだけだった。
その時、僕はまだ全然気付いていなかった。
『魔導顕微鏡』なる抽象的なモノが、
どうあれば、あっちの世界よりも、
恐ろしい顕微鏡になるのか…
あっちの世界では、だからこそ苦労したという事が
こっちでは、あまりにも容易に…
目視選別が出来るのだという事に
その意味に、何も気付けなかった。
そして多分、そこの全員も
これはこういう風に使う事が出来るのだなと
最初から僕の言葉で刷り込まれてしまった。
恐らくタラスに見えたのはノミの様な
微生物の細胞攻撃だったのだと思う。
それをよく見る為に使った『センス・エネミー』が
とんでもない光景を拾う事までしてしまったのに
その意味に、誰も気付けなかった。
あっちの世界では、『敵』だけではないが
『選別蛍光をさせて細胞観察する』という事の達成で
ノーベル章が出た大技術が、
こっちの世界では、魔法で『敵性』のみとはいえ
あっさり達成されたのだという、その事が
どれほど、時間を飛び越えた技術跳躍なのか
僕を含む誰も、分かりはしなかった。
ただ顕微鏡に呪文書を3種携帯し
”晶石”を沢山並べて駆動しさえすれば
勝手に観察対象の方から『敵意』の
その存在場所を、自己発光で知らせてくれる顕微鏡。
それは最初から、そう生まれてしまった。
「そういうモノなのだ」という概念で、
それは最初から、そう生まれてしまったのだった。
まぁそんな事は、僕は凡人だしー
だから分かるわけも無いし、それがどんな凄い事で
どれだけ時間を加速させてしまうのかなんて
その時代の僕には、分かるわけもなく…
順調に進む進捗状況を見守る
ただのパトロンでしかなかった。
それよりは、暫時、みんなに大事な
『魔導活版印刷』の呪文書をカールスントに
安定に渡せて貿易できる方が重要だった。
そこら辺、タラスとオールドが、
魔導学園からかっぱらってきた、
いえいえ、永久貸与させて貰った
言語魔導の古文書を調べていると
『アナライズド・エンチャントメント』
という魔法アイテムの魔力強度を調べる
呪文の記述が見つかり
それによって、高位僧侶が作る
『キュア・ディシーズ』の呪文書の
呪文強度が調べれて、
不安定さがかなり低減した。
とはいっても、
『アナライズド・エンチャントメント』の
魔法がレベル6の魔法であり、バンバン使える
魔導師がゴロゴロしているわけじゃない。
となると、だんだん”晶石”の必要性が
どんどん、どんどん、強くなるのだった。
陛下がどんどんやる気になって
顕微鏡の改良が進んでいけば、
”晶石”の表面解析も、どんどん進む。
「増幅呪文という言い方しかありませんな」
オールドが前に立ち、
タラスがクリエイトイメージでそこに写す映像での
”晶石”に書かれている文章をそう説明した。
「増幅呪文?」
陛下がそれを尋ねる。
「オパールには元々マナを溜める性質があります。
ただしミスリル銀の様に、極めて強いモノではない。
そこで、その石のにこの呪文の書き込みを行うと
石の持つマナを集める性質が増幅されるのです。
検証の為、
我々の大きさで呪文書に同じ文章を書いてみましたが
その文章の追加は、呪文や性質の強化を促すモノ。
『フィジカル・エンチャント』という人の能力を
瞬時的に強化する魔法があるのですが、
この呪文は、それを対象無差別にして
性質強化するという、そういうモノだったのです。
そう、この呪文文字列は、マナを集めて性質強化する
能力強化の呪文、『増幅呪文』というモノになります。」
オールドがそう答えた。
「ほう、それでは、ミスリル銀にそれを書き込めば
ミスリル銀ももっと強力なマナ集めの金属に
なるって事かの?」
陛下はそれを聞いて、そう尋ねてみた。
「原理的には、そうなるハズです。
ただ問題なのは、この文節が書き込まれている
回数というか文量が尋常ではないというか…
多重書き込みとしか言いようがないんですが
同じ効果の文章を、びっしり書いているんです。
大きな呪文書で実験しましたが
同じ事が起き、書いた文章量が増えれば増えるほど
その性質が強化されることが分かりました。
だた100回とか書き続けて、
ようやく増幅効果が見えてくるという
尋常じゃない文量が必要な、
そんな呪文性質なので、
この文節で、呪文書強化を目指すなら、
同じく微細に活版する技術を作らないと……」
「ほう…」
「それが恐らく増幅呪文の特性であり
表面に微細加工しなければならない
所以なのでしょうが…
しかし、こんな密度で書くというのは
我々の方法論では…」
言ってオールドは項垂れた。
「ワシ等の技術でも、そこまで細かく書くのは
無理だのー」
陛下もそれに唸った。
そして僕の方に視線が向けられる。
ええ、だろうと思ってましたよ…
辞書さーん!
辞書
フォトリソグラフィ
写真の焼き付けの応用で
大きな原版マスクシートを作り
それを特殊な光で照射。
光の通過とマスク防御で
形状パターン光を作り
これを縮小レンズで絞り込んで
光形状パターンをマイクロレベルで縮小化。
照射物に目的塗布物質と
感光物質を2層で塗っておき
縮小形状パターン光で
感光物質を吹き飛ばして
感光物質の「溝」を作る。
こうやって照射物に
マイクロなパターン溝を作って
そこに更に、
ケミカルエッチング
(あるいはウェイトエッチング)
と呼ばれる
例えば酸等を使って
感光剤と下の目的物質を除去。
感光物質と目的物質は
どちらも酸等で溶かされていくが
作った「溝」により
パターンで残された感光物質が
目的物質の溶解をマスクし
適度量の酸等の溶解で
マイクロパターン形状の
目的塗布物質が表面の上に作られる。
場合によっては焼き鈍し等して
目的物質と基盤との結合力を
強めるなどもある。
微細加工技術の代表格。
電子回路部品でコンピューターの
IC等はこの方法で作られる。
とか言われた…
ううっ!わからん!
ともかく、その図面を
みんなに紙の上に書いて、下手な図面で説明する。
何度も辞書に同じ事を聞いては
ともかく図面にする。
「ほぉぉぉ、どうやってそんな微細なモノを
作るんかと疑問じゃったが…
光とレンズをとことん使えば
そんな事ができるんかい…
その後の塗布物質のマスクで酸の2層除去とか
そういうのは、金細工で金を王水を使って
模様を作るとか、そういうので
やるのがおるがの…
工法価格が高すぎてキワじゃがな…」
と流石の職人王も、
微細加工への光とレンズの応用に
舌を巻いていたようだった。
その説明を聞いて、じーっと考え込むタラス。
「これは…強い光を使って
模様を彫り込むとかは出来ないんですかね?」
タラスはそう言った。
「彫り込む?」
僕はその言葉を尋ね返す。
「ええ、”晶石”の表面を見るに…
書かれているというよりは、”彫られている”と
傷がついている感じなんですよ…」
「言われてみればそう見えるの…」
「だから、光を使って、小さなパターン光を作り
それでオパールの上に、彫り込みを入れるとか…」
「レンズ集光を使っての熱で彫り込むとかか?」
そのタラスの言葉に陛下が返す。
「ええ、なんとなくですが…」
とタラスは言う。
「太陽の光で焼き切るとかでもあるまいに
太陽光でモノを強く焼くなら
どんだけ大きなレンズを作ればええんじゃよ!
レンズは巨大になればなるほど
作るのが難しいんじゃぞ…」
言って陛下は自身が作った巨大レンズを元に
レンズで湯を沸かそうと頑張って
ある程度までしか出来なかった事を話して
巨大レンズの制作難度の高さに腐る。
「なら鏡使って太陽光を集めれば…」
僕は不意にそう呟いた。
その時の僕は、辞書を漫然と読んだり
ここで学者や職人達との話を聞いたり
面接で学者達の「やりたい事」などを
聞いたりをしたせいで、
僕自身の学者スキルが無意識に上がっており、
そのせいで
あの世界で漫然とテレビを見てては
ニュースとかで話題になっていた施設の事が
昔より簡単に思い出せるようになっていた。
だから『太陽光集光発電装置』として
大きな空間に鏡を並べて光を集めたり
とかいったニュース映像や、
他にはガン○ムのアニメを見てた時の
ソーラ○イで、ソロ○ンを焼き尽くすなど
鏡を使って太陽光を増幅するのを
不意にそこで口に出せたのだった。
「鏡を使って太陽光を集光?
それをレンズに?」
とタラスが口にする。
「なるほどの、それは盲点じゃの…
鏡を使って太陽の光を
集めるというのも手かの…」
と陛下が呟いたその時…
「『ベルグンドの遺跡』…」
そうタラスが呟いたのだった。
「ベルグンド遺跡? 我が国にある
あのベルグンド山にある遺跡ですか?」
その言葉に、リースロット姫が声を上げた。
「ん?何その遺跡…」
僕はその言葉にポカンとする。
「えっと、ジキスムントの山岳で
ベルグンド山という山にある、有名な古代遺跡です…
遙か昔に冒険者に荒らされて、
中にあったろう財宝は全て無くなってる、
ただの廃墟遺跡なんですけど…」
そう言ってリースロット姫は首を捻った。
「あの遺跡の、魔導記録を調査する為に
昔、調べに行ったことがあったんですが…
不思議な大広間があったんです。
『鏡の間』と呼ばれる、広間が…」
そう言ってタラスは物凄い顔になった。
「ああ、『鏡の広間』は有名ですね…
あの部屋は、あの遺跡でも特徴的な場所で、
観光名所的になってますけど…
今はもう、ほとんどが壊れたり無くなったりしてますけど、
傷だらけになって使えない何枚もの鏡が置いてある…
恐らく、広間の半分に全て
元々は鏡があっただろう広間で…」
と言った時、リースロット姫も、
ハッとした様だった。
「もしかして…
あの鏡の広間と、ベルグンド遺跡は…
古代魔導国家が”晶石”を
そのフォトリソグラフィーで作っていた
”晶石”製造施設だったのでは?」
そう言ってタラスは、その可能性に震えた。
その言葉を聞いて、その場の全員が騒然と成る。
そこで、急遽、ベルグンド遺跡に、
王族関係の秘密研究員のみんなで
調査に出かける事に、なったらしい…。
けれども、まぁ、そんな調査に出る準備の前に…
夜のベッドの上。
はい、今日の計画妊娠の相手は
リーナ姫ですか。
そうですか、そうですか…
ええ、もう、ええ、吹っ切れましたよ!
ええ。
嫁愛してますんで!
子供欲しいってねだる嫁に
ヤダヤダ言うのは、良い亭主じゃないですよね
ええ。
よっしゃ、子作り、頑張るよ!
だって、可愛い嫁さんですし!
ええ!
「あの、陛下、その…」
とまぁ何時もの様に顔を赤らめてリーナ姫。
いや、うん、その‥
なんかこう、”頑張って身籠もるぞ!”って
勝負服か何かなの!?
みんな…毎回…
ドン引きだよ
賢者モードの僕は
もう、いきり立ちまくりだよ
お母さんに埋まり込みたい僕のムスコは
ええい、このマザコンが!
あっちの世界だったら
ロリコン指定される年齢やぞ!姫は!
マザコンのロリコンの愚息か!
もうそれなら、どうしようもねぇな!!
まぁそんな自分への愚痴はともかく…
ビキニアーマーはねぇだろ!!
ビキニアーマーはよ!!
それ、絶対に、本当の戦闘では
使い物になりませんよね!
それで戦いがなんとかなるって
ありえませんよね!
子作りに興奮させる為の
不思議衣装としか考えられませんよね!
そんな扇情的な衣装っ!!
つか、なんでそんなチョイスなの!
リーナ姫!!
「いえ、私、お国柄は軍事国家ですし…」
みたいな微妙に冷静なツッコミ。
ああそうですね!
そのお国柄の流れなら、
姫騎士とかそういう不思議職業でも
おかしくなかったですよね!
でも確か、
得意は言語魔法の魔導師だった様な!?
「魔法使いのローブを纏った姿じゃ
陛下に喜んで貰えないと思ったんで
ちょっと、こういうので頑張ってみました」
「頑張り過ぎだよ! なんていうかもう!」
嫁の頑張りに涙が出てきた。
僕が思っている以上に
国民に期待されての妊娠って
重責感重いのかなぁ…
「でも、嬉しかったんですもん」
とリーナ姫は全裸同然の半裸で寄ってくる。
「う、嬉しかった? 何が?」
もうこのまま押し倒して
問答無用でぶち込みたくなるのを
我慢して、それでも尋ねる。
「私、国が国なんで、勝ち気だし…
だから、エリン姫みたいな
”ああ、姫だなぁ”って思う人に
本当は勝てる気がしなかったし…
私が男だったら、
私でもエリン姫の方選ぶなぁって
自分でも思ってたんで…」
そう言って、よよと泣くリーナ姫。
「ちょ、第1話の前って、
そんなに精神ヘビーな状態だったん!?
さらっと両方嫁にしちゃったんで
そんな事さえ気付かなかったよ!」
と、ただ、
”美人が二人、ハーレムだったらいいのになぁ”
という、分かり易い下心で、口から出た言葉で
結果的にこんな事になった、その軽さに
自分でも驚くしかない。
「だから嬉しかったんです!
一緒にいると、エリン姫が好きになれて
でも、どっちかしか選ばれなくて
きっと私は、気が強いから
選ばれないだろうって
毎日、不安で…」
言ってリーナ姫が泣いてくる。
そんな重要なキャラ付け、
今更になって言わんでくれや!!
散々5Pで絞られまくって
ロクに寝かせてくれんかった1人やがな!
ハーレムになったのが嬉しかったって
そんなん有りか!!
「だから陛下、私は…」
と潤んだ瞳で僕を見上げるリーナ姫。
それもその手を取って自分の
ビキニアーマーの胸に当てる先制攻撃。
「いいよ!もう!
リーナ姫は明るくて元気で
笑顔が素敵で頑張りやさんで
卑屈になる所、何にも無いから!
こんな可愛い姫、嫁に貰えて
ベタ惚れされて嬉しくない男がいるかい!
自信持って!
無茶苦茶犯したいくらい
大好きだから!ね!」
「本当ですか!」
「もういいよ!
そんなにそれでも不安なら
これから安心をお腹の中に
ぶち込むから!!
黙って俺の子供、身籠もれや!!」
言って僕はリーナ姫にキスをする。
「陛下…嬉しい…
滅茶苦茶にして…
陛下だけで、私を満たして!!」
と、姫も僕を強く抱きしめる。
何この傾国の美女っぷり!!
ああ、3人目も、やっぱり
確認してみると、傾国の美女ですか!
そうですか!
まぁ、流れ的に4人目もそうだろうけど
既に3人の嫁姫、傾国の美女確定ですか!
マジで、
なんでこの国、滅亡しないんだろう!
僕は、もしかして、凄い王なんじゃね?
って錯覚していいですか!
凄いぞ賢者モード!
お前だけが、この国を支える
全てだ!
戦え、賢者モード!
でも今は要らん!
この最愛の…、
って4人もいて、何が「最」なんか
よーわからんけど、
最愛の嫁の1人を
ボロクソに幸せにしてやらにゃ
男じゃねぇな!
よし、愚息、暴れるがいいさ!
っていうか、まぁ、計画に沿うように
適度に暴れて下さい。
はい。
ってなわけで、
おい、名も無き神よ!
ちゃんと、ルール補正してきたんやろな!!
(うーん、まだ、色々、問題あるけど
補正はしてきたよ。ルール『アレ改Ⅱ』
そこそこ、面白くなってきた)
あんたが面白くてどうすんだよ!
(いやー、こういう所で楽しまないとサー
ただねーー
やっぱ、ダメージが爆発するのと
ラブポイント200の設定数値低すぎなんで
そこら辺がちょっとなー
もう、全員200振り切ってるんで
ダメージ減少、0なんよねーー。
これがどう作用するのかわかんない。
まー、この数値振り切ってる
状態でテストするしかないな)
いいよもう、かかってきやがれ!
(あー、そう、じゃぁファイト!
それとエレシア姫は、
おっぱい補正で+5にしたけど
他の姫は+4な。
魅惑の肉体補正は他の三人は+4で)
高ぇな!他の姫もその補正値!
流石は傾国の美女って所か!!
リーナ姫 魅惑の肉体補正 +4
僕
アレ技能+知力ボーナス 6+3 > 9 => 2d6+9
リーナ姫
アレ技能+知力ボーナス+ビキニアーマー(+1と評価)
4+2+1 > 7 => 2d6+7
その衣装設定って、そこに補正かかってたの!
(うん)
僕 敏捷値 17
リーナ姫 敏捷値 19
常時先行リーナ姫
リーナ姫、行動速度早ぇな!
-----------------------------------
ラウンド1
姫攻撃 2d6+7 > 7+7 = 14
僕回避 2d6+9 > 5+9 = 14
同値攻撃有利成功
手段:ちゅっちゅする (3/19)
ダメージ 10(12)+3(4)+4+3-10+10(200/20) = 20 (20/22)
「ちょっと待って下さい!
初撃クリティカルとか、やめて下さい!
死んでしまいます!
なんで20点とか出してるんすか!
ビキニアーマーの悪魔!!」
「次は、合体でお願いします…
まさか、ちゅっちゅで1撃必殺なんて…」
「ち、ちくしょう!」
僕攻撃 2d6+9 > 5+7 = 12
姫回避放棄
手段:合体 (24/22)
ダメージ 6(12)+1(4)+6+2 = 15 (18/19)
「くそ、奇跡的にクリットしたのに足りなかった!
レーティング10じゃきつい!!」
「えええ、もう最大目的は達成!?
ええええええええ」
精神力最大値超過
気絶判定発生
気絶判定値ベース 5+3-2 = 6
僕気絶判定
2d6+6 => 4+6 =10 > 7
絶頂:気絶回避
精神力 -2 (精神力上限 22 > 20 へ)
僕累計ラブダメージ 15+10 = 25
「ふふふ、学者スキルレベル5まで上げたんで
そうそう簡単には気絶しなくなりましたぞ…」
「陛下、早い…」
「そんな事、言われても!!
あんたの攻撃がおかしいんや!!」
------------------------------------------------
ラウンド2
姫攻撃 2d6+7 > 7+7 = 14
僕回避 2d6+9 > 5+9 = 14
同値攻撃有利成功
手段:合体継続 (22/19)
ダメージ 7(7)+4+3+4-10+10(200/20) = 18 (18/20)
「魅惑の肉体で補正+4とか卑怯やろ!!
一撃で18点とか、なんやねん!!」
「あ、愛してるので…」
「次、自動攻撃なんよ!」
「回避放棄はしますんで!」
「男は、問答無用で精神点 -4 ですよ!」
僕攻撃 2d6+9 > 6+7 = 13
姫回避放棄
手段:合体 (22/20)
ダメージ 2(6)+6+2-10+10 = 8 (30/19)
「ちょっと、これ、おかしいやろww
まだ2ラウンド目なんですけど!!
「陛下、オーバキル気味です!」
精神力最大値超過
気絶判定発生
気絶判定値ベース 5+3-2 = 6
僕気絶判定
2d6+6 => 3+6 = 9 > 7
絶頂:気絶回避
精神力 -2 (精神力上限 20 > 18 へ)
僕累計ラブダメージ 18+10 = 28
「早々、気絶せんぞ、学者レベル5なら!
3とか、危なすぎたけど…
ゾロ目出てたら死んでた…」
「陛下、速射過ぎ…」
「わーーーん!!
魅惑の肉体の悪魔ぁぁぁ!!」
精神力最大値超過
気絶判定発生
気絶判定値ベース 4+3-11 = -4
姫気絶判定
2d6-4 => 6-4 = 2 < 7
絶頂:気絶
精神力 -2 (精神力上限 19 > 17 へ)
姫累計ラブダメージ 8+10 = 18
「ああ、でもやっぱり陛下素敵です!
ZZZzzz」
「これどういう状況で、気絶した事になるんや!」
援軍が現れたが…
「いやー、2ラウンドで2回も
陛下を凹ったのに、それで援軍とか
贅沢じゃないですかね?(エレシア姫)」
「惨敗だよ…
目的も達成されたし、もうこれでいいよ!!
わーーーん!!」
「ダイスに頼ると、ロクな事になりませんね…」
エレシア姫は無双したリーナ姫を起こさず去って行った。
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戦闘終了
最終累計ラブダメージ
僕ラブダメージ 25+28 = 53
姫ラブダメージ 18 = 18
抵抗ロール
僕達成値計算 7+2+5 =15
姫達成値計算 7+1+2 =10
僕 2d6+5+3 => 8+5+3 = 16 > 15 抵抗成功
姫 2d6+4+2 => 5+4+2 = 11 > 10 抵抗成功
「今日のこれは、内容的に累積するのは
微妙ですね…抵抗拒否でもいいですど
これは抵抗するしか(リーナ姫)」
「もう累積ポイント振り切ってるから
別にいいんじゃないかナー」
「じゃぁ累積なしで」
「こっちもこの敗北感なら累積できねーよ!」
累積加算無しで
集計終了
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「恐ろしい姫になったモノだ…
マジで傾国の美女!
マジで傾国の美女!!
”ビキニアーマーの悪魔”の称号を贈るしかないな…」
僕は幸せそうに気絶している姫を見つめて
そう呟いた。
(防御点がゼロになってるかんなー
こればっかりは、素食らい状態なんで
どうにもならんなー)
いや、そこどうなんよ!
素食らい状態って、お互いが一撃必殺状態やで!
やっぱ、鎧の防御点とか
その判定も要るんじゃないの!
いやマジで!
(でも、相思相愛のカップルなら
防御力0になるってのは、
説得力あると思ったんだがな…
初撃でクリティカル出されたのが致命的やな)
いやまぁ、ダイスの神が暴れたのは事実やけど
合体時レーティング30はダメやろ!
ファイヤーボールのレーティング
よく見たら20やったで!!
ヴァルキリージャベリンやで!
レート30って!
ヴァルジャベを素食らいで飛ばし合うんじゃ
そりゃ、普通の戦闘でも直ぐに終わるわ!!
オーバーダメージで簡単に死ぬわ!
冒険者レベルでのダメージ低減しないと
話にならんよ!!
(うーん、冒険者レベルで低減なぁ…
そうすると、高レベル冒険者には、
常時「カキーン」になって、
ダメージ、通らなくなるんだよね…
通常戦闘みたいにサー…
ゴブリンの攻撃は全部
「カキーン!」ってアレになー
相手が高レベル冒険者だと
ファンブル素食らい期待するしかないって
絶望的な戦いになるけど、それはどうよ?)
そうかーー
じゃ、レーティング20で
再調整で様子見る?
(せやな…)
うーん、まぁ、分かる人には
「そんな顕微鏡、卑怯やろwww」
って笑って貰えればww
センス・エネミィがそれに効くとかいうのは
チートといえば、チートで、GM判断でも迷うんだけど
まぁタグで「チート」入れてるし、それならチートでいいよね。
キュア・ディシーズの通常ルール規定での効果の凶悪さを思えば
センス・エネミィも凶悪でもいいかなと
ビジョンは、ルールブック的には遠視のみなんだけど
まぁお話しの都合で、近視もいけると、そんなGM裁量で
ここはどうか1つ
しっかし、低レベル魔法って、使い方次第だと
めっちゃ使えるな…
高レベル魔法、攻撃性しかなくて話にならん
唯一、話のバランスを壊しかねないのは
レベル10魔法「インテグレート(何でも考えたモノを作る(永続)」か
これなー
使えるんなら、使いたいのもあるんだけどなー
今の進行でも十分、ラストまでの準備は出来てるし
さてさて、ててて…