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駄文集

Raindrops

作者: 川柳えむ

 私は空をじぃっと見つめていた。

 雨が降る。雲が大粒の涙を零している。

 さーっと流れる。過ぎ去る時のように、雨粒が生まれては消えていく。

 私はそこに立っていて、雨音を聴いていた。

 弾けては消えていく雨粒が、まるで命のようで。一瞬の輝きのために生きているのが悲しくなった。

 ――けれど。

 雨粒は歌い出した。

 まるで、それは励ますように……。

 雨は私の体を優しく包んで、ゆっくりと、涙とともに流れていった。


 私は雨です。

 落ちる地面には、一人の女の人が立っていました。

 彼女は憂鬱そうでした。

 しかし、私たちはただ歌うだけ。その一瞬のためだけに生きることしかできません。

 だからせめて――

 私たちは歌いました。精いっぱい、歌いました。

 彼女は泣き出しました。


 ――しばらくして……私たちは消えていきました。

 けれど、消えるかわりに、空に七色を描いていきました。

 最期に見たのは、彼女の笑顔でした。


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