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#4 鏡の中の真実
その夜、ルナはキャサリンの就寝準備を手伝っていた。
「ルナ」
「はい」
「今日のことは…ありがとう」
意外な言葉にルナは目を見開いた。
「私はただ、キャサリン様が不当に誰かを責めることのないようと思っただけです」
キャサリンは鏡に映る自分の姿を見つめながら、低い声で言った。
「みんな私を恐れている。悪役令嬢だと陰で呼んでいるのを知っているわ」
ルナは言葉を選んだ。
「人々は理解できないものを恐れることがあります」
「あなたは恐れていないのね」
「キャサリン様は確かに…難しい方です。でも、悪意があるようには見えません」
キャサリンは鋭く振り返った。
「よくそんなことが言えるわね。ほかの使用人たちは、私がエリザベータをいじめる悪女だと思っている」
エリザベータ・フォレスター。16歳の子爵令嬢で、宮廷で人気の純粋な少女。キャサリンの婚約者であるルドルフ王子が、最近エリザベータと親しくしているという噂が広まっていた。
「エリザベータ様についてはどうお考えですか?」
キャサリンは嘲笑うような笑みを浮かべた。
「あの無邪気なふりができる女が?彼女こそが――」
言葉を途中で止め、キャサリンはベッドに向かった。
「もういい。退室して」




