2/6
#2 悪役令嬢との出会い
キャサリン・ヴァンデルフォートの私室は、彼女の美しさと同じくらい圧倒的だった。
天井まで届く窓からは手入れの行き届いたバラ園が見渡せ、室内は最新の家具と豪華な調度品で埋め尽くされていた。
しかし、そこにはどこか冷たい空気が漂っていた。
「あなたが新しいメイドのルナね」
キャサリンの声は鈴のようで美しかったが、その目には氷のような冷たさがあった。18歳とは思えない威圧感が部屋を満たす。
「はい、キャサリン様。これからお世話になります」
ルナは丁寧にお辞儀をした。大学で心理学を学んだ月本華の観察眼が働く。キャサリンの姿勢、表情の微細な動き、声のトーン――すべてが「完璧な令嬢」を演じるための計算された振る舞いだと感じ取れた。
「まずは私のドレスの整理から始めて。昨日届いた新作をクローゼットに掛けておいて」
「かしこまりました」
ルナが作業を始めると、キャサリンは窓辺に立ち、バラ園を見下ろしながらため息をついた。その背中には、18歳の少女とは思えない重荷がのしかかっているように見えた。




