第三話 スキル習得
俺がそういうと、
「もちろん俺からだぜ!!」
とノーマンが女神の像の前に立ち、目を閉じて、両手を握りながらその場で跪いて、
「ええっと、たしか…….あっ、そうだ、女神シルフィナ様、5歳になった俺に女神の祝福の加護をお与えください」
そう唱えると、なんと、像が急に光り出した。
そしてその光はノーマンの中に宿っていき、光はノーマンを包み込んでいった。
「………ノーマン、大丈夫かい?」
「おっ、おう……なんか変わったのか?おれ?」
するとどうだろう、ノーマンの目の前に、
ピコンという音と共に『スキル『無限体力』に覚醒しました』という表示が現れた。
まるで、ゲームの能力習得画面みたいだ。
「えっ?何その表情、ゲーム画面?」
というと、二人は首を傾げながら、
「?なに、そのげぇーむって?」
「どこの国の言葉だ?それ?」
「えっ……あぁそっか、いやごめん、なんでもない」
そうだよな、剣と魔法の世界なんだからゲームなんて概念ないよな。
「ところで、どんなスキルだったんだい?」
「おっと、そうだった、えぇと何々?」
ノーマンが空中に浮かぶ文字のような表示を覗き込んで読んでみる。
「スキル『無限体力』はどんなに動き回っても疲れない。無限に動くことができる…ちぇ、なんかものすごく地味だなぁ…」
ノーマンが少しがっかりして肩を落としている。俺はフォローするかのように言った。
「ノーマン、よく考えてみなよ、無限に動いても疲れないって、結構、いやものすごくいいスキルだよ、だって重い剣を持っても疲れないんだからいくらでも剣を振れるってことだよ、ものすごく自警団にも重宝されるよ」
というと、
「…….おぉ、よく考えてみたら確かにそうだよな……よっしゃ!!そうと分かればめっちゃテンション湧いてきたぜ!!ありがとなケイン!」
ノーマンが俺の背中をバンバン叩きながら喜ぶ、現金なのか、単純なのか、まっ、喜んでくれたら何よりだ。
「それじゃあ、次は私ね」
今度はリジィが先程ノーマンがやってみせたように跪き、目を閉じて唱えると像が光、光がリジィの中に入ってリジィを包み込んでいった。
そして現れたスキルは、
『スキル「百発百中」を取得しました。』
「えっと何々、自分が放ったものが必ず的に当たる能力、えぇ~もっと可愛いのが良かったのにぃ~」
リジィが半ばべそをかきそうになったので、俺も改めてフォローした。
「いやすごいよリジィ!それってつまり言うとだよ、的に必ず当たるから魔法使いや弓矢使いに向いてるって事だよ!めっちゃラッキーだよ!」
そういうと、
「……そうかな?……」
「そうだよ、だからそうがっかりする事ないよ」
「……うん、そうだよね!よし、決めた!私!魔法使いを目指す!!」
そういうと、リジィは目を爛々と輝かせる。よかった、二人とも前向きに自分のスキルに向き合って安心した。
「よし、最後はケインの番だな」
「いいスキルが出るといいね、ケイン」
俺の肩をポンと叩き、後押しするノーマンとリジィ。
……よし、不安だけど、ここまで来たらあたって砕けろだ!!
俺はさっき二人がやっていたように、その場に跪き、目を閉じ、両手を握りながら、
「女神シルフィナ様、5歳になった自分に女神の祝福の加護をお与えください」
すると、どうだろうか?
さっきの二人より強く、像が光り出して、その光が俺の中に入っていき、俺を強く包み込んだ。
「ケっ、ケイン?」
「だっ、大丈夫?」
二人が心配そうに俺に寄り添う。
「あぁ、大丈夫だよ」
そう言って立ち上がると、ピコンと表示が出る。
はてさて、俺のスキルは…
『スキル《生成魔術Lv.1》を取得しました。材料と魔力量次第でイメージした物が具現化する能力』
生成魔術、つまりイメージした物を材料さえあれば作れる魔法のスキルって事か?魔力量も必要って書いてあるけど、どうやって確認するんだ?
というか、Lv.1って事はさらに上のレベルがあるって事か?
「ケイン、生成魔術ってなに?」
リジィが聴いてきたので。
「簡単に言うと材料があれば何でも作れる物作りの魔法、らしい」
「おぉ!いいじゃねぇかケイン!じゃあ、いつか俺専用の武器とか作ってくれよ!」
「ずるいノーマン、じゃあケイン、私は杖を作って」
ノーマンもケインも俺のスキルの事を祝福してくれてるみたいだ。
「まぁ、そのうちね」
◇
その後、俺達は解散して、ウチに帰ると、
「あらぁ、生成系魔術だったのね」
「うちの村にも前にいたんだけど、木材から何かつくるくらいしかできなかったんだよなぁ~」
最初はありゃ~って感じだったが、
「でも、もしかしたら将来は村一番の生成魔術使いかもな!」
「あらあら、あなたったら、気が早いですよ、でもよかったわねケイン」
すぐに父さんも母さんも俺の祝福してくれたし、二人とも喜んでくれた事が素直に嬉しかった。
そんなこんなで、今日の夕食は、野菜くずのシチューと硬いパン、そして肉……
「えっ!?肉!?」
「えぇ、と言っても塩漬け肉だけどね」
「いやいや、ものすごく高かったでしょ!?どうしたの?」
「今日はケインの誕生日でしょ?だから少し奮発してね」
「まぁ、あの行商人の態度は相変わらずだったけどな」
そんな、俺のためにそこまでしてくれるなんて、前世の親は誕生日を祝うどころか、おめでとうも言ってくれなかったのに……
「……ごめん、父さん母さん、俺の為にそこまで」
俺が泣きそうになると、二人は俺に寄り添い、優しく両側から抱きしめた。
「何言ってるの、可愛い息子のためですもの」
「そうだぞ、子供がそんな遠慮することなんてないんだ」
……ものすごく心地よい、前世の俺では感じられなかったぬくもりが伝わってくる。
俺も二人を優しく抱きしめた、後から聞いたけどその時は、俺、自分でも気づかないくらい号泣したらしい。
その日、初めてこの世界に来て初めて食べた肉は、涙のようなしょっぱい味がした。




