夜空を駆ける赤と黒
「聖夜の夜は星が綺麗に見える。それは何故だと思う?」
こんな問いを若いサンタはブラックサンタに聞いていました。
「そんなもん決まってる。お前の仕業だな!」
「ピンポーン!」
「お前さんあんま勝手してると神様やら星の国からドヤされるぞ。」
「平気だよ!なんせ一晩だけのイタズラだからな!」
サンタと言ってもまだ若いサンタでした。そのサンタはお酒をちびりちびり飲みながら話を続けます。
「それでお前さんは何をしてるってんだ?」
「そりで空の大掃除ってのをやってるんだよ。」
「はぁ?なんだそりゃ?」
「日本という国では除雪機というのがあってな。それを応用して空気中のチリとかをそりに乗って掃除してるのさ!」
ブラックサンタも酒を半分くらいまで呑んでまた返します。
「そりゃーおめー、イタズラじゃなくてただの良い事じゃねぇか!」
「星達からしたら嫌だと思うぞ。なんせ普段は見えない星も見られちまうんだからな。さぁて明日のプレゼントの最終チェックだ。ブラックサンタは明日はどうするんだ?」
「俺はいつも通り悪ガキどもを閻魔大王の元へ連れて行くだけさ。」
そして2人はサンタが集うバーを後にした。
「さぁ、今年もよろしく頼むぞ相棒たち!」
そうして4頭のトナカイたちと共に若いサンタは夜空へと飛び立ちました。
「今年は早く雪が降ったなー、おかげで掃除が出来ないぞ。」
そんな愚痴をこぼしているとキラキラと光るのが見えました。
「あれは……星の国の王子様と……人の子か?やるじゃねぇかあの王子も!おっ、あっちにはブラックサンタに捕まった連中がいるなぁ……あっちは……何だありゃ!?オーロラで何か作ってるのか?帰りに寄ってみるかー!」
それぞれが聖夜の仕事をする中、若いサンタも子ども達の靴下にプレゼントを配っていきます。
そして最後の一個を配り終えると先程のオーロラの場所へ向かいます。
「何してるんだ?」
「あっ、サンタさん!」
そこには天使達が居ました。そして何やら困っていたのです。
「実はオーロラがなかなか伸びてくれないのです。」
「オーロラがか?」
「ええ、早くに雪が降ってしまった為に空気が澄んでしまったんです。これは神様から人々への贈り物なのですが……これでは多くの方には見せられません。」
「ふーん……オーロラは見ると何かあるのか?」
サンタは天使達に尋ねました。
「はい!神様が来年も頑張れる様にとおまじないを掛けてくれてます。それを世界中に広げるのです。その為に必要だったのが空気中のチリだったのですが……」
「去年のならあるが?」
「……はい?」
天使達の目は一瞬点となり首を傾げます。
「いや、俺趣味で聖夜の夜に空の掃除してたんだわ。だからこれいるならやるよ。」
そう言うと若いサンタは改造したソリの蓋を開けてパンパンに入った空気中のチリの袋を渡しました。天使達は泣いて喜びました。しかしまだ問題が残ってました。
「でも、出来たとしても明日までに全ての人々、動物、植物までにオーロラを広げられるかしら?」
しかしそこはサンタさんです。すぐに解決してくれました。
「そんなの簡単だ!この俺のソリなら地球の裏側まであっという間に向かえるぞ!」
「でも、1人でなんて……」
「そこは任せておきなよ!」
そう言うとサンタさんはソリに付けてた電話で誰かに電話をかけました。その相手とは……
「おい……なんで俺のソリに電話が付いてるんだ?」
繋がった先はブラックサンタでした。
「いやー、終わった後寂しいから電話を付けさせて貰った!まぁ罵詈雑言は後で酒でも飲みながら聞いてやるから手伝ってくれないか?」
「悪ガキでも居たのか?」
悪態をついていますが電話を切らないのはブラックサンタが優しいからでしょう。
「たまには善行でもしてみないか?」
「……切るぞ。」
「まぁ待て待て、」
「善行なら一昨年ブラックサンタ総出でした。やるつもりはない。」
「あー、あれは俺たちサンタも神様たちも総出だったな……懐かしい。まぁそれは置いといて手伝ってくれないか?」
ブラックサンタはため息を吐くと話を促しました。
「何をするんだ?」
「オーロラを広げるんだ!」
プチ……ぷーぷー……
サンタは再び電話をかけます。
「いきなり切るのは酷くないか?」
「やると思ったか?」
「一杯奢るから!天使様達がよ!」
「なんだ、天使様の頼みか……仕方ない。天使は嘘つかないからなぁ。やってやるよ。」
いきなりの事なのにやってきてくれるブラックサンタは実は優しいのではと思う天使様達でした。そしてブラックサンタはすぐに到着しました。
「つまり二手に分かれて星全体にオーロラを広げると?」
「そうだ!お前と俺なら出来るだろ?」
「だとよ、相棒たち……行けるか?」
ブラックサンタの質問にトナカイ達は頷きました。
「相棒たちが行けるって言うならやってやるか!その代わりコイツらにも何か奢れよ!」
「最高級の星草をあげよう!」
星草はこの時期だけに生える不思議な草です。キラキラした雑草でとても美味とトナカイ達の間では有名なほどでした。
「じゃあ俺は南をそっちは北をお願いな!」
「おう!任せな!」
そうして空を一気に駆けていくトナカイとサンタさんたち。瞬く間に空をオーロラで埋め尽くしてしまいました。
「本当にありがとうございました!」
天使達にお礼を言われて照れる2人に1人の天使が何かを持って来ました。
「これはお礼です。どうぞ使って下さい!」
中にはキラキラと輝くお星様でした。
「こりゃ……」
「あれしかないな!」
2人は笑い合いながら家に帰りました。そしてトナカイ達に星草をあげた後部屋に入ります。
「やっぱりこれだよな。」
「これ以外ないだろう!」
2人はグラスにワインを入れてクリスマスツリーの上に先程のお星様を飾りました。
「じゃあ一杯!」
「おう!お疲れ様!」
サンタとブラックサンタはカチンとグラスを合わせて飲みました。空にはオーロラが今もあります。そして朝になると消えて無くなりました。しかし世界中の人が元気になったのは言うまでもありません。そしてその影の功労者は……こちらも言うまでもありませんね。
ここまで読んで頂きありがとうございました!
サンタさんのお話は絶対書きたかったから書けて良かったです!メリークリスマス!




