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エルドウィス森譚〜私と猫と、ときどきドラゴン〜  作者: 川津 聡


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12/21

森へ届いた海の香り

本日、2話更新です。(2話更新の2話目)

読み飛ばしにご注意ください。

 海竜、ルミアスは、人間の生み出す「文化」と言うものに非常に興味を持っている。

 潮目のようにくるくると移り変わる流行。かと思ったら、人から人へ遠くまで運ばれていく文化もある。

 どの文化がどこに運ばれ、そこでどのように発展していくのか。

 海を渡ることができるルミアスは、さまざまな国へ行き、人の営みの流れを感じることを趣味としていた。


 その日も、ある港町へと訪れたルミアス。

 そこで思わぬ出会いをするのだった。


   ◇ ◇ ◇


 その日の朝、森に潮風の匂いが吹き込んできた。

 エルドウィスの森は内陸にある。その森に、海の香りが届くなど、本来はありえない。

 しかし、思い当たることのあるリオンは、コップを置き、かすかに笑った。


「今日はお客さんが来るようですね」


 キャスがソファの上で耳を動かした。


「また、あいつらか。どうせ、厄介ごとなんだろうな」

「そんなこと言わないで。ただ遊びに来てくれただけかもしれないでしょう?」

「厄介ごとじゃなきゃ、こんな森の奥に来ねーよ」


 キャスがそう答えた時、森の奥の湖に何かが落ちた音がした。

 思わず顔を見合わせる二人。


「どうしたんでしょうか」

「行ってみよーぜ」


 キャスがおもしろいことが起きそうな予感に、瞳を輝かせながら言った。

 リオンは外出用のコートを羽織はおる。


「手加減してあげてくださいよ」

「それは約束できないな〜」


 軽い足音を残して、二人は池に向かうのだった。


   ◇ ◇ ◇


 キャスは、猫の姿で森を駆けて行った。

 その後ろ姿を見送るリオン。


 リオンが湖のほとりについた時、キャスは湖畔で丸まっている物体を前足でちょんちょんつついていた。

 リオンはその南の方の海を思わせる鱗の色を見て、「ルミアス……さんでしたっけ」と呟いた。


 碧の塊から、むくりとドラゴンの顔が現れる。

 そこから現れたのは、以前、セルグラシアと一緒に来た若竜の一人、海竜のルミアスだった。


「リオン殿……た、助けてください……!」

「おわっ、あぶね!」


 ルミアスがリオンを見つけ、ザザザと近づいてくる。

 いくら細身の海竜とはいえ、人や猫と比べると巨体だ。

 それが一気に動くものだから、キャスは飛び退き、リオンは身構えた。


「ストップ! 話を聞きますから、止まりなさい!」


 リオンの突き出した手のひらにぶつかる直前、ルミアスは止まった。

 その大きな瞳から、涙が滂沱ぼうだと流れ落ちる。

 そして、その顔色――というか、鱗の光沢――が鈍いことに気がつく。

 ドラゴンの光沢が鈍くなるなど、よほどのことだ。


「何があったんですか」


 リオンがシリアスな顔で問いかけたが、その頭の上にはいつの間にかキャスがしがみついていた。

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