7. 初実戦
今の私たちの実力で現場に投入されたら死ぬだけだって。
人並みにやれるくらいになるまで教育してやるって言ってた。
レンは防衛庁から剣を一振りもらった。
モンスターと戦う時は心臓と頭を守れと言われた。
そうすれば少なくとも死ぬことはないだろうと。
「俺には何かないんですか?」
「何がだ?」
「レンは武器をもらったのに、俺には何もないじゃないですか。」
「能力は何のためにある?」
俺のような能力のタイプは想像力が重要だそうだ。
あえて武器を使う必要はなく、必要なら持ってもいいが、そのレベルまでいくようでは戦闘要員として不適合だと、想像力を鍛える訓練をしろと言われた。
「どうやってですか?」
「どうしても分からなければ、映画や漫画でも観てみろ。」
その言葉を聞いた俺は結局…超能力やヒーローが出てくる映画を探して観た。
最初はこんなことでいいのかと思ったが、驚くべきことに成果はあった。
伊達に何百、何千億もかけて映画を作っているわけではない。
集合知は最高だ。
「そう来るか?ウハハ!お前も考えるってことをするじゃないか!」
念力を両拳にまとわせた。
俺の手を保護すると同時に、破壊力も得る方法だった。
勢いに乗って精密に使ってみようとしたが、
やはり手のように繊細な作業は難しかった。
今後、練習が必要そうだ。
俺が得意な肉弾戦でいこう!
単純にキリのように鋭く尖らせたり、
ハンマーのように丸めて鈍器にしたりした。
効果は絶大だった。
手は二本だけなのでコントロールも容易だった。
キリの形にした念力でコンクリートの壁を殴ると、ずぶりと入った。
「よし、そろそろ実戦に投入してもよさそうだな。」
「大丈夫でしょうか?」
「まだもっと学ぶべきことがあるんじゃないですか?」
「モンスターがお前たちが会ったやつだけだと思うのか?」
レオ班長の判断のもと、俺たちは初の実戦に臨むことになった。
俺たちはモンスターを探して東京近郊の山に登った。
郊外で発生したやつで、一定の領域から出ないという。
「俺が他の班に、お前たちの教育用に使えそうなやつがいたら殺さずに放っておけと言っておいたから、お前たちのレベルに合ったやつが出てくるはずだ。」
そんなやつをまたどうやって見つけたのか。
茂みの中から何かが現れた。
丸々と太った熊だった。
「班長、あれは違いますよね?」
「なぜだ、戦ってみるか?」
「熊は人を引き裂きますよ。」
「まだ無理かもしれないな。」
「モンスターは危険じゃないとでも?」
正直、モンスターでもないのに、
生きている命を殺す覚悟なんてできていなかった。
熊も俺たちをざっと見回すと、
興味がないというように、そのまま通り過ぎていった。
その後も俺たちはしばらくモンスターを探して山をさまよった。
あまりに時間がかかるので、しびれを切らしたレンが口を開いた。
「レオ班長。もしかしてモンスターがどこにいるかご存知ですか?」
「いや。この山のどこかにいると聞いただけで、俺もどこにいるかは知らん。」
やはりレオ班長も知らなかったのか。
「やつの図体が家のように大きくでもない限り、山が広くて見つけるにはかなり時間がかかりそうですね。」
「そうだな…何かがおかしい。本来、こうして縄張りを持つやつなら、自分の領域に人が入ってきたのを敏感に察知するはずなんだ。普通なら今頃、そいつが姿を現しているはずなんだが……」
グオオォー
その時。
遠くない場所から熊の鳴き声が聞こえた。
「行ってみるぞ、ついてこい。」
レオ班長を先頭に、
俺たちは声がした方向に走った。