3. 君は才能がある
そして、まっすぐナースステーションへと向かった。
「ここの患者の中に、イトウ・ユイという人はいませんか?」
「どういったご関係で?」
「一緒に事故に遭ってここに運ばれたんです。知人です」
「うーん…申し訳ありませんが、ご家族の方でなければ、病院の方針でお教えすることはできません」
「いや、でも…」
とん。
その時、肩を掴む手つきを感じて振り向くと、昨日会った防衛庁の隊長がいた。
「朝から元気そうだな。健康そうで何よりだ。とりあえずここで騒がず、二人で昨日の話の続きでもするか」
「…はい」
「来る途中で見たら、外にいい場所があった。風にでも当たりに出よう」
途中、院内にあったカフェで抹茶ラテを注文した。
「気分が良くなかったり、頭がごちゃごちゃしている時は、うまいものを食うのが一番だ。そうだろう?」
「そうですね」
ズズッ。
抹茶は好みではないが、金を出してくれる人がくれるものは飲むべきだろう。ベンチに座って飲むと、それほど悪くもなかった。
しばらく互いに無言で抹茶ラテを飲み干し、半分ほど飲んだ頃だろうか。
「昨日お尋ねしましたが、僕と一緒に車に乗っていた人たちは死んだとおっしゃいましたよね?」
「そうだな」
「一緒にいた女の子はどうなりましたか?」
「ここにいる」
僕と同じ病院にいるという。
「看護師に聞いても家族じゃないからと、どこにいるか教えてくれなかったんですが、今会いに行けますか?」
「ふむ…ダメということはないが、今すぐ行くのか?」
なんだかユイの状態が良くないという口ぶりだった。
彼の言葉に不安が押し寄せてきたが、僕ですらこうなのだから、一人残されたユイが今どんな気持ちでいるのか、想像もつかない。
知らぬふりはできない。
「はい」
「そうか。本人が望むならな」
飲み干したカップをゴミ箱に捨て、僕は彼の後を追った。
到着したのは、重症患者が入院する病室だった。
ドアを開けて入った。
ベッドには人が横たわっていたが、包帯で顔を覆われており、ベッドの前に名前がなければ誰だか分からないほどだった。
ベッドのそばへ寄り、そっと彼女の名前を呼んでみたが、ユイの声は聞こえなかった。
彼女が植物状態だと診断されたという衝撃的な知らせと、
合同葬儀の前に火葬を行うという言葉以外は。
◇
防衛庁の隊長に会ってから、多くの話を聞いた。
彼の名前はサトウ・マサヒロ。
日本の東京支部、人類防衛庁の隊長で、外勤を終えて防衛庁に戻る途中で事件が発生し、彼が自ら動いたという。
そして、僕に運が良かったと言った。
本人でなければ、現場に隊員が到着するのが遅れて死んでいただろうと。
その言葉に、もっと早く来ていればレンの家族は助かっただろうと言いたかったが、それは子供の駄々だと分かっていたので口には出さなかった。
そして。
「お前、才能があるな」
「才能、ですか?」
「怪物を殺す才能だ」
ドキ、ドキ。
「家ほどもある奴とぶつかって、一般人なら死んでいる衝撃だ。俺が到着した時、お前は覚醒したようだった。そこに寝ている子もお前のおかげで助かったようなものだから、あまり気を落とすな。治療を受ければ目覚めるんじゃないか。心の整理がついたら、忘れずに防衛隊を訪ねてこい」
だから今、僕はレンの最後の姿を見るために火葬場に来ている。
どれだけ多くの人が死んだのか、すでに多くの遺体が火葬炉に入っていた。
レンの家族が火葬された場所には、粉砕された骨だけが残り、生前の姿は見えなかった。
いよいよレンの番だ。
職員が棺を運ぶ。
ガタッ。
レンの遺体が入っている段ボール製の棺が動いた。