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桜の季節  作者: 松尾 春
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初めての連載です!メタらないように頑張りたいと思います…!



ぶわぁーっと桜の花びらが視界一面を埋め尽くす。ふと思い出したのは、私よりも私の命を願ってくれた、キラキラした宝石みたいなあの人の笑顔だった。





暖かかな陽の光がさす部屋の中、白衣を着た女性と肩を緊張させた女性が向かい合っている。


「かすみさんは中枢性の希石化症候群です。希石化症候群の中でも中枢性のものは少し治療が難しい症例でして……。こちらとしても手は尽くしていこうと思っているのですが」

「どういうこと、ですか?希石化症候群はもう治療法が確立されていて怖くない病気なんじゃないんですか?」

「末梢性のものはそうですね……」

「そんな!?治らないってことですか……?」

「成人まで生きていられたら奇跡かと」

「なんで、なんでかすみが……?そんな、何かの間違いですよね?」

「残念ながら」


片方の口から嗚咽が漏れる。病名を告げた白衣を着た女性の眉間にも皺が寄っている。清潔感のある白い部屋には似つかわしくない重苦しさが漂う。


「かすみには、なんて言えば……」

「正直に言うことは酷ですが、伝えない訳にはいかないでしょう。言葉で伝えなくてもご両親の雰囲気から察してしまう部分はあるでしょうから。私から伝えることもできますし、お母様の言葉で伝えたいということであれば、そうすることもできます」

「私には、無理です。私から、かすみに、そんな、そんなこと……」

「では、また明後日、土曜日にかすみさんとこちらへ来てください。その時に私からお伝えします」

「すみません、先生。すみません」

「いえ、私もお母様に厳しいことを言ってしまって申し訳ありませんでした。今日はこれで終わりですので、お家に帰ってゆっくり休まれてください。治療にはご家族のご協力も必要になりますから」

「……はい」


項垂れながらも一礼をして出ていった女性にこちらも一礼を返し、背中を見送る。


扉が閉じ、足音が遠ざかっていくのが聞こえ、やっと息をつく。


「ふぅー。やっぱりキツイねぇ」


先程よりも声が響く空間でひとりごちる。


病名宣告は、重たい。死の可能性が近い、未来のある患者に対しての宣告は特にだ。


「13歳だもんなぁ。若すぎるって。……あの子と、同じ年か」


風など入る隙間のない部屋なのに、さらりと頬を風が撫でた気がした。





お読み頂きありがとうございました!

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