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第6話 地味?な嫌がらせ




固まったままの少女を困惑した目でみる嵐。




当の少女は―――






(かっこいい…)


見惚れていた。



「?」





今まで一度も見たことがない黒髪に黒瞳。形の良い眉に優しげな目元、すっとした鼻筋と口角の上がった薄い唇、スラッとした長身。

非の打ちどころのない男の人だった。


(こ、こんな綺麗な人初めて見た…)


女装なんかしたらとんでもない美女になるに違いない―――――






そんなことを考えていた為に、声を掛けられていることさえ気付いていなかった。




「えっ…あのー大丈夫ですか~」



まさか自分について考えているなど思いもしない嵐は、少女の顔の前にブンブン手を振るも反応がない。

それを訝しく思いつつも、まぁ大丈夫だろうと勝手に解釈しておく。






「テメェっ…俺達をシカトすんじゃねえよっ!!」


「兄貴ぃ~こんなガキさっさとやっちまいましょう」


「逃げられるのは今のうちだぜ?ヒヒッ」



どうやらアホ面その1が親分らしい。

誰が親分だろうと毛ほども興味ないが、それさえどうにかすれば他は逃げるだろう。

そう結論づけ、取り敢えずアホ…親分らしき男に目を向ける。




「男3人で行動しなきゃ女の子に声も掛けられないの?いい年して情けないね」


「「「なっ!!!」」」



嵐の挑発に面白いように引っ掛かる男達。茹でダコのように真っ赤になる顔を見て、ここまで顔色は変わるんだなぁと妙な所に感心していた。

そんな嵐を置いて我慢できなくなったのか、親分自ら殴りかかってきた。




「こんの生意気な餓鬼がぁっ!!!」


それなりに喧嘩慣れしているのか、まぁまぁ速い拳が飛んでくる。

しかし可哀そうなことに、嵐にとってはスローモーションで殴りかかってきた様にしか見えなかった。




ぱしっ





「え…」


「「兄貴っ!!?」」



避けるのがめんどくさかった嵐は親分の拳を片手で受け止めていた。

試しに力を籠めてみる。


「グッ!」


「うぇ~…」

(感触きもちわるっ)



ミシミシという音が微かに伝わる。人間相手に暴力を奮うのはいくらアホな相手でも抵抗がある。

どうしようかと、何気なく痛みを堪えている親分の顔を見て…閃いた。





(イメージして…)







※※※※※※






「ぶふっ!!」


「ぷっ!」


思わず吹き出してしまった。

後ろにいた少女も、親分を見た途端に吹き出した。




「ほいよっ」


軽々と親分をアホ面その2、3へ放り出す。

慌てて親分をキャッチした2と3は、怯えながら嵐を見、何が何だかわからないまま親分に目を向けて―――





「あっ…ああああ兄貴っ!!」


「兄貴の、ま…まままっ!!」







「「眉毛がぁぁぁっ!!!」」







―――あのね、

親分の眉毛が、とぉーーっても薄かったんだ。

だから特別にプレゼントしました。



ぶっとい眉毛を。



普通の眉毛じゃつまらないから、M型の眉毛にしといた。



両津〇吉もビックリなフサフサ眉毛さ。


ちなみに抜いても剃っても生えてくるんですねー一瞬で。





「お、お前ら何言ってやがる!眉毛が、何だって!?」


そこへスッと手鏡を差し出す嵐(もちろん魔法で)。



「……」


戸惑いながらも、嵐から受け取った手鏡に自分の顔を写す親分。

瞬間、これでもかってくらい目を見開いた。



「な」


「な?」





「何じゃこりゃあああああ!!!」



今までで一番の大声だ。

さっきから既に声を抑えて話していなかったので、そろそろ誰かが来るだろう。

これ以上面倒事になるのは御免だ。





「さて、そろそろ行こうか」


「へっ?」




親分は眉毛の事しか頭にないらしく、嵐達を完全に忘れている。他の二人も親分を落ち着かせるためにこちらに注意が向いていない。



ポカンとした少女に苦笑しながら、少女の手を取り歩き出す。






それほど大事にしていたのか、俺の毎日のお手入れがぁぁと叫ぶ親分の声や、大丈夫っす!無くなるよりマシじゃあないっすか!!、最先端いってるっす!!など、背後から聞こえてきた。









―――後日、


涙を流しながら除毛剤を探すM型眉毛が筆頭の、三人組が歩いていたとかいないとか。










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