第4話 大蛇3兄弟
「神様の………バカヤロー!!!」
暖かな光が全身から消え、目覚めてみると、前に見た森がそこにあった。
町に置いてくれても良かったんじゃないかと思ったが、そこは百歩譲るとして…
「「「フシャァァァァ」」」
「あ…アハハハハ」
猫の威嚇ではありません。
蛇です。(多分魔物)
それにすごく大きいんだ。
3メートルはあるんじゃないか…しかも3匹仲良く俺を囲んでる。
色は紫に、緑の斑点をしていて、とても毒々しいです。
(神様…恨むぞ……)
次会った時はどうしてやろうかと考えている内に、ジワジワと近寄ってくるデカイ蛇共。
「…やってみるか」
神様がくれた能力(最強)を疑うわけではないが、いまいち実感がないので不安は募る。
(何もしなければ殺られるだけ…)
覚悟を決めて、囲まれた状況を打破すべくダメもとで跳躍する―――
びよーーーーーーーーん
「うおっ!?」
あくまで軽く跳躍をしたつもりなのに、あっという間に大蛇を追い越し…
10メートルは跳んだ。
(本当に身体能力上がったのか…よし、それならっ)
「浮かべっ!!!」
続いて短い単語を発すると、ふわりとその場に留まることができた。
「おぉ!こりゃすごいなぁ…」
取り敢えず、気味の悪い3匹の大蛇から距離を置くことが出来たので、ほっと一息つく。
ちなみに…
5メートル程下にいる大蛇3兄弟は、大口を開けて嵐が来るのを待っていた。魔力はないのか、魔法を使ってくることはなかった。
このまま無視して飛んで行っても良かったのだが、魔法が使えるという好奇心には勝てず、大蛇3兄弟には犠牲になってもらうことにした。
「君たちには悪いけど、ここで会ったが百年目ってことで!」
目を閉じ、火の玉が出てくるイメージをする。
すると―――
ボッボッボッボボボボボボ…ボォォォォッ
「あ、れ…?」
嵐の目の前には、大量の火の玉が出現していた。
その数約50。
「多いなぁ…いや、これが普通なのかもしれない」
―――レベルの高い魔術士にさえ到底出来ない芸当を、軽く使いこなしているなどとは…思ってもいなかった。
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「「「シャァァァ!!」」」
「よーし。飛んでけー」
緊張感の欠片もない声をあげても、指示通り大蛇3兄弟へ向かう大量の火の玉。
それらは的を外すことなく3匹の下へと降り注ぐ。
無論、抵抗も何もあったもんじゃない。
ドゴォォォオオオオン!!!!!
地響きを起こしながら出来た巨大なクレーター。
大蛇の姿は綺麗さっぱりなくなって―――
「………」
(何コレ…もし町中で魔物でも現れて、適当にぶっぱなしてたら…)
ツーッと嫌な汗が背中から流れてくる
「よ、よーし!制御するために歩いて行こう!!」
(今分かっただけ良かったんだ。うん)
これ以上考えても仕方がない。気持ちを切り替えて、まずはどうやってこの森から町へ行くか考えることにする。
「こういう時は地図が―――」
最後まで言い終わらない内に、突如嵐の頭の中に森から町までの地図(航空写真の様なもの)、が出現した。
しかもご丁寧に、近道のルートも記されている。
「…何でも有りだな」
―――こうして魔物に出会う度、巨大な焼け跡やらクレーターやら地割れやらその他もろもろを作りつつ、ようやく制御を覚えて町が見え始める頃には、既に日が暮れ始めていた。
(んー、途中地図に集落の様なものがあったけど、あれがエルフの住処だったのかな?…何時か会えればいいなぁ)
まだ見ぬエルフを考えつつ、嵐はマイペースに町へと歩いて行った。