第0話 目の前には老人
ピチチーピチチチーピチチー…
「ん……」
いつもよりおかしな鳥の囀りで目が覚める。
「いてて…なんだか背中が痛いなぁ」
上体を起こして背中に着いた砂や草を払う。心地よい風が、頬を撫でる。
空を見上げれば雲ひとつない晴天。
「…朝ご飯…作らなきゃ……」
彼はどこか遠い目をしながら辺りを見廻す、
そこは辺り一面の、森、森、森…
ピチチーピチチチーピチチー…
「ん……」
いつもよりおかしな鳥のさ『いい加減に、現実を受け止めんかぁぁぁぁ!!』
「!?」
突然、頭の中に響いた声に飛び起きれば、いつの間にか我が家でもなく、さっきの森の中でもない、真っ白な空間に彼はいた。
そして目の前には老人が1人。
『お主がいつ現実に目を向けるかと待っておれば、10回も同じ事を繰り返しおって……まぁ、よい。さて、お主を呼んだわけじゃが「あのー何がなんだかわからないんですけど」』
『あ、あぁ…そ、そそそうじゃな。手っ取り早く、お主が死ぬ直前の記憶をみせようかの……』
「えっ?」
いや、そもそも誰?というか…ここどこ??しかもなにどもってるのこの老人…ん?…俺が、死んだ…?
様々な疑問が頭の中をぐるぐる回っている彼をおいて、いきなり老人の手が黄金に輝いたかと思うと、彼の目に手をかざした。
その瞬間、彼の記憶が巡りだす
「っ!!」
(あぁ…思い出した……)
俺、死んでる。