16
私 「…」
目を覚ます
体を起こすといつもみたいな重さはなかった
私 (ねむ)
隣に昨日一緒に寝たコンは居なかった
時計を見る
07:12
私 (喉乾いた)
ベットに腰掛けて伸びをする
私 (というか今日は一緒に寝ないんだ)
昨日ランとリンは目が覚めると狐の姿で一緒に寝ていた
しかし今日は三人は私の上に居なかった
私 (二人にちゃんと謝らないと)
部屋を出る
リン 「ご主人おはようございます」
リンは私の部屋の前で待っていた
ニコニコと目を細めて私を見下ろして挨拶する
私 「え?」
メイド服を着たリンが部屋の前に居た
私 「なんでメイド服?」
リン 「着たかったんですよ」
私たちはキッチンで朝ごはんの用意をする
私 「ランとコンは?」
リン 「ランは寝ててコンは朝の散歩って出かけてましたよ」
リンはフライパンに卵を入れて目玉焼きを作る
私 「ウインナーは?」
リン 「いります」
私はリンにウインナーを渡す
リンは黒の下地を基調としたメイド服を着ている
スカートはくるぶしまである長いスカート
幅も少し広いため少しキッチンの幅が狭く感じる
肩まである髪を赤いリボンで結んでポニーテールにしている
私 「随分本格的なやつだね」
リン 「昨日行った店で売っててサイズぴったりなので買ったんですよ その代わり身長高くしないといけないんですけどね」
リンの今の身長は175cmくらい
私より少し大きい
私 「身長昨日も高かったよね」
リン 「昨日はスーツのサイズ的にこのサイズだったんですよ モールで買った服は全部175cmに合わせたのでもうこのままにしますね」
リンは焼けたウインナーと目玉焼きをさらに盛りつける
そして別のさらにピザを並べる
私 「ごめんね」
私はラップを探しつつリンに謝る
リン 「何がです?」
リンはさらに視線を向けてこちらを見ないで返事を返す
私 「昨日一緒にご飯食べれないで」
リン 「…」
私 「これからはちゃんと時間取るし向き合うよ」
リン 「…」
リンの返事は無い
私 (だめかな)
リンの方を見る
リンは目を見開いてこちらを見ていた
私 「え?」
リン 「びっくりしました」
私 「何に?」
リン 「素直に謝るんですね」
私 「え?」
リン 「てっきり謝らないでふんぞり返るのかと思いました」
私 「そんな事しないよ」
リン 「ですね」
リンは再び皿にピザを盛りつける
リン 「まぁ正直寂しかったですよ」
私 「ごめん」
リン 「また変わんないんだって少し不安でした」
私 「変わんないって?」
リンとコンの食事が乗っている皿にラップをかける
リン 「前みたいに人に裏切られるというか期待してたのにダメかなって」
私 「あー」
リン 「さっきも何も無いように話しかけてきていたので」
私 「驚いたのとタイミングがつかめなくて」
リン 「まぁメイド服のペットが寝起きにいたらビビりますよね」
リンはニヤニヤとこちらを見る
私 「脳が追いつかなかったよ」
リン 「正直驚くかなーって思ってやったので」
リンは目玉焼きとウインナーとチキンとチーズがたっぷり乗ったピザを乗せた皿を私に差し出す
リン 「一緒に食べましょ」
私 「いいけど朝から重くない?」
リン 「昨日ご主人が食べなかった分です」
私 「あー」
私は昨日の晩飯は車の中でランから貰ったハンバーガーで済ませている
私 (だとしても朝からか)
リン 「最悪昼に回してもいいので」
私 「そうするよ」
私とリンはリビングに移動する
リン、私「いただきます」
リビングのソファーに横並びで座って手を合わせる
そして朝食を食べ始める
私 「テレビつける?」
リン 「お願いします」
リンはナイフとフォークを使ってソーセージを小さく切り分けて食べる
私 (食べ方綺麗だな)
横目にリンを見ながらニュース番組を見る
「本日の天気は晴れ!!雲ひとつ無い晴天です!!」
お天気キャスターが両手を広げてオーバーリアクションで天気を伝える
私 (晴れか)
ピザを片手に持って大口を開けて食べる
私 「っ!!」
チーズが思ったより暑く口の中を火傷しそうになる
リン 「暑いので気をつけてくださいね」
リンはニヤニヤとこちらを見つつ目玉焼きを切る
私 「もう少し早く注意してくれると助かるかも」
リン 「それは失礼」
リンはひと口目玉焼きを口に入れてからテレビのリモコンを手に取る
リン 「朝って何見ます?」
私 「基本ニュースで天気とか見てあとは適当かな」
リン 「ならアニメ見ても?」
私 「アニメ?いいけど」
リンは朝のヒーローアニメにチャンネルを変える
「許さないぞ!!悪の手先ヒットマン!!」
リン 「ご主人ってアニメとか見ます?」
私「全く見ないね」
リン 「えっなら見ましょ」
私 「リンは逆に見るの?」
リン 「毎週見てますよ」
私 「意外かも」
リン 「そうです?」
私 「何となく見ないかと思ってたから」
リン 「面白いですよ 欠かさず見てます」
私 「へー 私あんまり見てこなかったからな」
リン 「なら見ましょ というか1から見ましょう」
私 「これって何話目?」
リン 「63話目ですね シーズン3かな」
私 「多くない?」
リン 「そんなものですよ あ、今出たこの人は主人公で」
リンは私に解説をする
目を輝かせて楽しそうに
私 (アニメ好きか)
最初はどうすればいいのか分からなかった
しかし何となく関係を結んでいくための糸口が見つかったような気がした
私 「…面白かったかも」
リン 「でしょ!?」
リンの解説を聴きながら朝食を食べつつ30分まるまる戦隊アニメを見てしまった
リン 「本当に主人公と悪役の関係性もいいですしヒロインとかライバルとかの過去も合わせると最高すぎるんですよ」
リンは早口に話す
私 「今回初めて見たけどリンの解説がわかりやすいから関係性掴みやすかったしヒロイン可愛いねこの人」
リン 「分かります 本当にこの人可愛いし主人公と会うシーンを見てほしいんですよとにかく」
リンはこっちを見て身を乗り出して話す
リン 「ご主人今日はアニメ見ましょう1から」
私 「気にはなるけどやる事あるからまたかな ごめんね」
リン 「うぁ 分かりました」
リンはしゅんとした顔をする
リン 「まぁでも良かったです」
私 「ん?何が?」
リンはテーブルの上の食器をまとめつつ話す
リン 「ご主人と上手くいきそうで」
私 「いけるかな」
リン 「不安?」
私 「少しね」
コップを持ってリンとキッチンに向かう
私 「なんというか上手くできるのかなって」
リン 「上手くできなくていいんですよ」
私 「そう?」
リン 「はい 多分私たちも粗相や失礼はしますし急な話でしたし」
私 「本当に急だったね」
リン 「まぁなのでゆっくり関係性を作ればいいんですよ 私たちはそこまでご主人のこと嫌じゃないですし」
私 「そう思ってるなら良かったけど」
リン 「嫌ならご主人の胸の上で寝たりしませんよ」
私 「あれ本当になんであそこいたの?」
2日前
ランと夜に作業をした日の次の朝
三人は私の上で寝ていた
リン 「ランの様子見たらご主人の上で気持ちよさそうに寝てたのであったかそうと思って」
私 「さすがにびっくりしたよ」
リン 「まぁコンが信頼してて酷いことしないっていうのも分かってるので」
私 「まぁ酷いことはしないけど」
リン 「後コンがご主人の胸の上は気持ちいいって大絶賛だったので気になってたんですよ」
私 「そんなに気持ちいいの?」
リン 「かなり良かったですよ?寝心地いいしあったかいし」
私 「なんというか自覚ないなぁ」
リン 「まぁ私たちが知ってるのでいいんです 食器洗っときますね」
食器をキッチンに置く
私 「なら私は作業部屋行こうかな」
リン 「あれ?仕事はもうないはずでは?」
リンはじっと鋭い目つきでこちらを見る
さっきまでのキラキラと楽しそうに目を輝かせていたり物腰優しそうな目では無い
鋭くこちらを怪しむような目つき
そしてどこか不安そうな目でもあった
私 「今後しばらく休業するから作業部屋の整理と片付けだよ」
リン 「なんだ 良かったです」
私「昨日や一昨日みたいに3人を放っておくことになるから仕事はお休みしてるよ」
リン 「それで片付けを?」
私 「そうそう」
リン 「なら私も手伝いますよ」
私 「お願いしていい?今途中のやつとか全部その状態で保存したいし」
リン 「いいですよ キッチン終わったら行きますね」
私 「なら先に行ってるよ」
リン 「了解です」
リンが洗い物をしているのを横目に私は作業部屋に向かう
私 (にしても休業か)
作業部屋で型紙や製図をダンボールに入れる
完全に途中の仕事も止めたため信頼は失っただろう
私 (まぁコンとか2人のこと考えたら今は休むべきか)
リン 「やってます?」
私 「っ!!」
後ろを見る
リンがいつの間にか居た
私 「足音無かったんだけど」
リン 「そりゃあこっそり入ったので」
私 「本当に心臓に悪いよ」
リン 「いやお兄さんの反応見たくって」
私 「マジで怖いから 取り敢えず大まかには終わらせたから」
リン 「にしてもすごい量ですね」
リンは地面に落ちている生地を手に取る
私 「まぁこれでご飯食べてるから」
リン 「このスーツの生地は地面に置いてていいんですか?」
私 「それは端材だったりゴミだから捨てるヤツ」
リン 「もう用済み?」
私 「用済み」
リン 「なら貰っても?」
私 「スーツの切れ端を?」
リン 「えぇ コスプレに使えるかなーと」
私 (コスプレするんだ)
リン 「してみたかったんですよ そのために化粧品沢山かったし」
私 「心しれっと読まないで」
リン 「止めた方がいいです?」
私 「止めてくれると助かる」
リン 「なら仰せのままに」
リンはスカートの端を摘んでお辞儀をする
その仕草はどこか貴族を思わせるくらい様になっていた
私 (本当に様になってるな)
リン 「それで貰っても?」
私 「いいよ 床に落ちてたりベットにしたりで汚いけど」
リン 「ベットに?」
私 「その辺に寝っ転がる時もあるから まぁ体痛めるからあんまりしないけど」
リン 「本当に体壊しますよ」
私 「とうの昔に壊れてる」
私は床に落ちている生地を袋に入れる
リン 「なんなら肩とかマッサージとかしましょうか?如月様にやってたけど割と効くらしいですよ」
私 「あー 正直されたいかも」
リン 「なら後でしましょうか」
私 「そうだね」
リンと一緒に生地を入れていく
私 「そういえばリンとランは人間の世界に来て何をしたいの?」
床に散らばっていた生地の端材を袋に詰めて今は道具の整理をしている
リンはほうきで床を掃除している
リン 「んー とりあえず世界征服?」
私 「おっきく出たね」
リン 「多分できますけどね」
私 「されたら困るな」
リン 「ふふっ 困るならやめておきますか」
私 「んで?実際は?」
リン 「漠然と人間界で生活したいって思いはあったんですけどなんというか決まってないんですよね」
私 「そっか まぁいいんじゃない?」
リン 「いいんですかね」
リンは困り眉で少し悩んだ表情
私 「目的があった方が人生は楽しいけどない人も生きてはいけるしそういうもんじゃない?」
リン 「そういうもんですか」
私 「まぁ私も少ししかないからね」
リン 「少しって目標が?」
私 「うん」
リン 「それは?」
私 「とりあえず三人を育てるというかまぁ自立できるくらいにはするのが目標かな」
リン 「3人それぞれ難しいですよ?」
私 「割とリンはしっかりしてるし行けると思うよ?」
リン 「私はまだまだですよ」
私 「そうかな?」
リン 「そうですよ」
私 「まぁ目標がないならこの家で見つけるのでもいいし」
リン 「今はそうさせてもらいますね」
私 「ん それこそアニメを全部見切るでも目標だし」
リン 「それはしたいですね 全てのアニメは見たいです」
私 「ならそれが目標じゃない?それこそグッズを買いに行くなら人との交流は慣れないとだし金も稼がなきゃ」
リン 「大変ですね本当に」
私 「それが人間として生きることだよ 本当は3人にはできるだけ妖術は使わないで欲しいなーって思ってる」
リン 「便利なのに?」
私 「人間として生きるならそれは使わない方がいい 大変だけどね」
リン 「まぁご主人がそう言うなら」
私 「ゆっくりでいいから いずれ分かるかもよ」
リン 「そうですかね?」
私 「そうだと思うよ まぁ人間らしい生活なら妖術はいらないね」
リン 「まぁできるだけ控えますね」
私 「ごめんね」
リン 「いえ」
リンは少し不満そうな顔をする
ガチャ
扉が開く音がする
コン 「ただいま外あっつい」
コンがタオルで顔を拭きつつ部屋に入ってくる
コンは私の半袖とジーパンを着ていた
体は汗で濡れていて運動したのだろうとわかる
私 「おかえり」
コン 「あれ?すごい綺麗になってる」
リン 「ご主人が休業するので掃除をしてたんですよ」
コン 「そうなの?言ってくれたら手伝ったのに」
私 「朝起きたらいなかったんだけど」
コン 「散歩してきてた」
私 「というか汗すごいね」
コン 「本当に暑すぎる シャワー浴びてくる」
リン 「お湯まだ張ってないですよ」
コン 「シャワー!」
ばたん
コンは作業部屋を出ていく
リン 「コンってなんというか元気ですね」
私 「うん 狐の姿の時からこんな感じだったね」
そう言うとリンは眉間に皺を寄せて嫌そうな顔をする
リン 「噛まれたりしませんでした?」
私 「一回もない なんというか聞き分けは良かったから」
リン 「へぇ」
私 「というかなんでそんな顔?」
リン 「私の知り合いに粗暴で酒を飲むと元気な人がいるんですよ」
私 「あー 私も知ってる人?」
リン 「ですね」
私 「如月さんか」
リン 「はい」
私 「元気ではあるけど如月さんほどやばくは無いと思うよ」
リン 「まぁそうですけど」
私 「大丈夫 迷惑かけることは無いと思うよ」
リン 「まぁですかね」
私とリンは黙々と作業を進める
私 「ふぅ」
リン 「ひとまずこんなものにしますか」
私は棚を閉める
作業部屋は先程まではスーツの生地やその辺に置いていた道具、使わなくなった製図など物で溢れかえっていた
しかしきちんと整理をしていらないスーツの生地などをまとめたおかげで綺麗になり部屋も広く感じる
私 「だね この部屋こんなに広かったんだ」
リン 「そう見えるだけですよ ゴミは無かったですけど物で溢れかえってたので」
私 「まぁそうだけど 疲れたぁ」
ソファーに上を向いて寝っ転がる
リン 「もう11時ですか」
時計を見る
11:02
私 「早いね」
リン 「あっという間です」
リンは机を挟んで反対のソファーにちょこんと座る
私 「そういえばさっき妖術使うなって話したけどさ」
リン 「ですね 今使ってないけど変な感じです」
私 「変?」
リン 「不安というか ランが今何をしてるのか分からないのも不安ですしこれまで鋭くしていた聴覚が全然機能しないので本当に変です」
私 「普通の人間は扉の向こうの人が何をしてるのか分からないんよ」
リン 「ですね これも人間らしさですか?」
私 「同じ土俵にたったという点では人間らしいんじゃない?」
リン 「というか人間らしいってなんですかね」
私 「さぁ?言っておいてなんだけどわかんない」
リン 「身勝手では?」
リンは頬を膨らませてムッとした表情でこちらを見る
私 「逆に三人は妖狐だけど何を持って妖狐とする?」
リン 「あー 狐と人間の間で妖術を使えるからですかね」
私 「なら今その姿で妖術を使えないと人間なのかな」
リン 「まぁ同じではありますね」
私 「けど妖狐でもあるわけで」
リン 「頭痛くなってきますね」
私 「とりあえず人間の真似事をすればいいとへ思うよ 妖術を使わないで自分の五感だけを頼って生きてみれば?」
リン 「とりあえず真似事ですか」
私 「そうそう 後妖狐がいるってバレたらめんどいし」
リン 「そうですね 一応私たちは居ない存在ですからね」
私 「正直空想の生き物かと思ったら実際にいるからね びっくりだよ」
リン 「他にもいろいろ居ますからね」
私 「居るって?」
リン 「妖怪とか怪異とかですよ」
私 「居るんだ」
リン 「そりゃあ私たちがいるので でも大半は隠れてますよ」
私 「隠れてるんだ」
リン 「後は別の都に住んでるって聞いたこともありますね」
私 「都?」
リン 「えぇ まぁ噂程度ですが」
私 「まぁ多分あるんだろうね 世の中何があるか分からない」
リン 「ですね そういえばラン多分まだ寝てると思うので起こしてきてくれませんか?」
私 「私が行っていいの?」
リン 「えぇ 私はお昼の用意してるので」
私 「なら行ってくるか」
リン 「多分部屋入ってもご主人なら怒らないと思うので」
私 「怒ったら責任擦り付けるから」
リン 「それはそれは」
私 「じゃあ行くか」
リン 「えぇ」
私とリンは作業部屋から出る




