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私 「ランとリンと話してどう?」


コン 「すごく綺麗な人だと思うよ はいベルト」


コンは私にベルトを渡す


私 「綺麗なのはわかる 性格とかは?」


コン 「んー なんかよそよそしさというか変な感じがある気がする」


私 「やっぱそう思うか」


私はコンと部屋で一緒に黒スーツに着替えている


1人でも着替えれる


しかし時間が無いのとコンの手伝いを断る気が起きなかったのでコンに手伝ってもらっている


コン 「でもなんというか悪意は無いよ 慣れてないんだったり許せないんだと思う」


私 「上手くやってけそう?」


コン 「わかんない」


私 「そっか」


ズボンのベルトをつけてネクタイを結ぶ


コン 「お兄ちゃんネクタイ曲がってるよ」


私 「んー いまいち上手くできないんよな」


コン 「貸して」


コンは私の前に立ってネクタイを持って首を手をかける


そしてネクタイを結んでくれる


私 (一瞬ハグされるかと思ったな)


首に手をかけられた時にコンとの顔の距離が近くなった


私 (お姫様抱っこの時もそうだけど本当に3人とも顔が良すぎるから困る)


コン 「ふふっ」


コンはニコニコと笑いながら私のネクタイを結ぶ


私 「ん?」


コン 「いや お兄ちゃんたまにスーツ着る時いっつもネクタイ結ぶの苦手だったからこうして手伝えて嬉しいなって」


私 「本当に覚えられないんだよな」


コン 「これからは僕が手伝ってあげるから」


私 「ありがとう」


コン 「よしっ 結べたよ」


胸元を見る


私が結んだのと比べてコンが結んだネクタイはきちんと結ばれていて清潔感があった


私 (自分で結ぶとだらしない感じになるのに凄いな)


私 「コン器用だね」


コン 「お兄ちゃん着替えてる時に見てて覚えたんだ」


私 「まじか凄いな」


コン 「でしょ」


コンはどやぁとこちらを見る


私 「ありがとう」


癖で頭を撫でる


コン 「んふふ」


私 「あ」


私 (癖で撫でたけどあんま良くないか)


頭から手を離す


コン 「え?」


手を離すとコンはニコニコとした表情から一転してアイスを落とした子供のようにしゅんと悲しそうな表情をする


コン 「なんで離しちゃうの?」


私 「いや なんというかあんまり撫でない方がいいのかなって」


コン 「撫でないといや」


コンは私に近づいて私の手を掴む


そして自分の頭に乗せる


コン 「いいからいつもみたいに撫でて」


不満そうな低い声


私 「コンがいいなら」


コンの頭を撫でる


髪はくせっけでたまに指に髪が絡む


コン 「ふふっ くすぐったい」


私 「くすぐったいならやめる?」


私は見上げてコンに言う


コン 「やだ もっとして欲しい」


コンはこちらを見下ろして泣きそうな目で言う


私 「けどそろそろ行かないとだよ?」


コン 「むー」


コンは頬をぷくっと膨らませる


それは駄々をこねる前の子供のようだった


私 (かわいい)


自分より背が高く大人っぽい


しかし仕草は子供っぽく幼いコン


どこか愛おしく感じる


私 「ランとリン待ってるよ?」


私はスーツのジャケットを着る


私 (久々に着たな)


スーツは堅苦しくてどうも苦手だ


あと締め付けられるから


私 「着れてる?」


コン 「特に問題ないよ」


私 「ならよかった」


コン 「また後で撫でてよ」


私 「時間あったらね」


コン 「意地でも作るから」


私は部屋の電気を消す


そして私とコンは玄関に向かう


時間的にそろそろ家を出ないと本当に間に合わなくなっていた






ラン 「あつい」


私 「そりゃあスーツだから」


リン 「半袖のスーツとかないんですか?」


私 「今度試しに作るか」


コン 「お腹空いた」


ラン 「私も」


私 「モール着いたらすぐ飯にしようか」


私は車を走らせる


6人乗りのグレーの中型車


助手席にコンが乗って後部座席にリンとランが乗っている


今走っているのは整備はされている土の道


周りには田んぼしかなくコンクリートなどは無い


最初は驚いたが今はもう慣れている


私 (後30分くらいか)


時計を見る


11:50を指していた


コン 「ランとリンってモールとか行ったことある?」


ラン 「無い」


リン 「無いですね コンはあるんですか?」


コン 「お兄ちゃんと数回だけあるよ」


コンは後部座席に身を乗り出してリンとランに話す


コン 「確か外に出ることがなかったんだっけ?」


リン 「ですね なのでご主人以外の人間と会うのは数十年、数百年ぶりですね」


コン 「凄いねそんなぶりなんだ」


私 「無理はしないでね」


私 (トラウマあるっぽいし何が起きるか分からないな)


リン 「基本お姉ちゃんと一緒に動きますし多分大丈夫です」


私 「焦って妖術使うとかしないでね本当にまずいから」


リン 「多分大丈夫です…多分!!」


リンは自信満々に言う


多分というところを強調して


ラン 「頑張る」


ランもふんすと意気込むような表情で返事をする


私 (大丈夫かな)


思わず不安になる


私 「この後はケータイだけ契約してスマホを買った後に合流するから3人で服とか必要なのを買い出して欲しいかな」


リン 「分かりました」


ラン 「ちゃんと持っとく」


ランは私が渡した財布を胸元で大事そうに抱える


その中には数万円入れてある


私 「多分平気だと思うけどなんかあったら私と合流…出来ないのか」


リン 「私ご主人の場所わかってるのでいいですよ」


ラン 「私も」


コン 「僕も分かってるよ」


私 「妖術?」


コン 「そう!!」


コンはどやっと自信満々な顔をする


私 「本当になんでもありだし便利だねそれ」


リン 「かなり疲れるのであんまりしないんですけどね」


ラン 「空も飛べる」


私 「空飛べるのか凄いな」


ラン 「とても疲れる」


私 「できる時点ですごいよ」


リン 「そういえば気になってたことがあるんですけど」


私 「ん?何?」


リン 「ご主人とコンってどうやって会ったんですか?」


私 「あー 話してないか」


ラン 「聞いてない」


私 「コン 話していい?」


コン 「ん?いいよ?」


私 「まぁ大層なものでもないけど 一言で言うなら家を買った時に居たんだよね コンが」


ラン 「居た?」


私 「そうそう あれは6年くらい前の時かな 私がまだ都会に住んでいた時の話だけどね…」






6年前


都会の工房にて


私 (疲れた)


私はソファーに横向きで寝っ転がる


仕事が終わって今は夕方


仕事を終わらせた私は何も考えずソファーに寝っ転がる


そうしてぼーっとしていると扉が開く音がする


近藤 「おーっす ってやられてるな」


私 「近藤さんお疲れ様です」


近藤 「せっかくいい話を持ってきたんだが別日にするか?」


私 「いい話なら今しましょう」


ガバッと起き上がる


近藤 「ならいまするか」


近藤はニヤリと笑いつつテーブルを挟んで反対のソファーにどっかりと腰かける


近藤「前々からここは嫌だってうだうだ言ってたやんか」


私 「ですね 人だらけだしうるさいしなんというか田舎でのんびりしたいって話してましたね」


近藤 「実はたまにいい物件がないか探してたんだけど一軒家が売りに出されてたんだよ」


近藤はカバンからファイルを取り出す


私 (物件情報?)


ファイルには物件情報と写真、間取りなどその家の様々なものがあった


その家は田舎の一軒家


近くの駅からは車で30分ほどでコンビニもかなり少ないところだった


値段も買い切りだったがかなり安い


事故物件レベルで安かった


私 「かなり安いですねここ」


近藤 「事故物件では無いがとにかく立地が悪いのと管理費がかかるな かなり広い家やから」


私 「1階リビング、キッチン、バス、トイレとかあってそれ以外に6部屋と2階に8部屋 かなりありますね」


近藤 「どうやら金持ちが離れを作ったらしいけど不要になった物件だとさ」


私 「ここにしますか」


写真を一通り見終わって即決する


近藤 「他の物件とかは見なくていいんか?」


私 「かなり条件に合ってるし運転はできるのでここがいいです」


ファイルに入っていた契約書にサインをする


顔を上げると近藤がニヤリと笑う


私 「なんです?」


近藤 「いや?やっぱ俺の勘は当たるなって思ってな」


近藤はファイルに書類を戻してニヤニヤとしながら話す


近藤 「実はな 東雲さんがここ選ぶのは間違いない思ってもう準備は済ませてあるんよ」


私 「え?」


近藤 「荷造りさえ終わればいつでも行ける」


私 「さすが すぐに取り掛かりますか」


近藤 「せやね」


書類を渡して近藤と荷造りを始める




近藤 「こういうのもなんだけど仕事人間やね」


近藤は生地をダンボールに入れつつ話す


私 「趣味的なものがないので荷造りは楽でしょう?」


近藤 「それはそうやね」


私も生地をダンポールに詰めていく


近藤 「せっかくやから人部屋まるまる趣味部屋とか作ればいいのに アニメとか漫画とか」


私 「漫画はありかなって思いますね 部屋のスペースを埋めちゃうので控えてましたが」


近藤 「いいやんか せっかく稼いだんやからどーんと使わんと」


私 「最近稼いでも人件費と給料があって雀の涙くらいなんですよね」


近藤 「なら営業やら採寸やら接客全てやるか?」


私 「すいませんでした」


近藤 「ん だいたい利益があるだけええやんか」


私 「まぁ生活できてる時点でありがたいですよね」


近藤 「これからは俺も移動が増えるからガソリン代増えるけど堪忍な」


私 「うす」


近藤と話しながら荷造りを終わらせる






コン 「近藤さんって割といい人だよね」


信号待ちで車を止める


私 「正直あの人来なかったら仕立て屋やってないからね」


ラン 「蒼の仕事仲間?」


私 「そうそう ランとリンは親戚って話してあるよ」


リン 「ご主人一人でお仕事やってるんじゃなかったんですね」


私 「元々独りだったけど殴り込みというか押し売りされたんだよ」


リン 「よく組みましたね」


私 「今思えば本当になんで組んだんだろ」


コン 「でも良かったねいい人で」


ラン 「詐欺師じゃなかった」


私 「だね まぁそれで引っ越したんだけど…」


私が話し始めると3人は口を閉じる


こちらをじっと見つめて前のめりに体をかたむけて静かに話を聞く





「これで全部ですね」


私 「ありがとうございます」


引越し業者の人は荷物の搬入を終わらせる


ミシンやタンスなど家電は設置までしてくれた


去っていく引越しトラックを見届けてから家に入る


私 (近藤さんはしばらくこっちに来れないらしいし頑張るか)


玄関から入って部屋を見て回る


1階はキッチン、リビング、トイレ、バスに6部屋


2階は階段を上って廊下の左右に部屋がある


さながらホテルのようだった


私 (まじで豪邸だな)


部屋を見回ったあとは部屋割りを決める


私 (1階の1部屋を仕事部屋にして後は物置でいいや)


すぐ終わる


趣味部屋も考えたが物置の一部屋を使えばいい


私 (2階のどの部屋にしようかな)


2階に上り部屋を見て回る


私 (この部屋はなんか違うしな)


何となく違うと思いつつ1番奥の部屋



カサカサ



私 (ん?)


ドアノブに手をかけた時に奥の部屋からカサカサと物音がする


私 (ゴキブリか?スプレーないんだけどな)


冷や汗をかきながら扉を開ける


私 「は?」


思わず声を上げる


部屋の隅に狐がいた


狐は部屋の隅の壁をカリカリとかいている


その姿は猫が爪とぎをする姿に似ている


私は1回扉を閉める


私 (え?狐?なんで?)


目をゴシゴシと拭ってからもう一度扉を開ける


狐は壁をカリカリとかいていた


私 (狐だよな)


扉を盾にしてそっと覗き込む


私 (あれ?)


しばらく狐を観察していると違和感を覚える


毛並みが綺麗だったのだ


くせっ毛なのかボサボサではあるが汚れている訳でもない


私 (というかこの部屋に糞とかないしな)


しばらくじっと見ていると狐はこちらに向かってくる


私 「うわっ!!」


足元をくるくると回ってくる


私 (可愛い)


しばらく回った後に狐は階段に向かい1階に降りる


私 「えぇ?」


私も1階に降りる


ガサガサ


狐はリビングに置いていた袋を漁る


そしてビーフジャーキーを口にくわえて足元に来る


私 「食べたいの?」


狐はしっぽをブンブンと振る


私 (違かったら私が食べるか)


私はビーフジャーキーの袋を開けて狐の前に置く


すると狐は勢いよく袋に頭を突っ込んでもぐもぐと食べる


私 (すごい食いっぷりだな)


ソファーに座って狐を見る


私 (ここの家に住んでたのかな)


しばらくすると狐は私の膝の上に乗る


そして私の手をぺろぺろと舐める


私 「くすぐったいよ」


しばらく舐めた後に狐は膝の上で寝る


私 (狐の中で私は悪い印象ではなかったのかな)


膝の上にいる狐を見ながら考える


私 「ここに住ませてもらいますからね」


狐の体の毛を撫でる


ふわふわとした触り心地で気持ちよかった








私 「とまあこんな感じ?」


コン 「だね」


モールの駐車場を走る


空いている駐車場が中々見つからない


私 「というかなんでコンは居たの?」


コン 「え?普通に雨風しのげるしちょっどいいから」


ラン 「不法侵入」


コン 「まぁバレなきゃいいかなーって」


私 「バレるも何も前の家主や近藤さんも下見に行ったらしいしなんでバレなかったの?」


コン 「屋根裏部屋に潜んでたよ」


私 「屋根裏部屋?どこの?」


コン 「お兄ちゃんの部屋のクローゼットから行ける けど知らなかった?」


私 「知らなかったよ」


私 (屋根裏部屋なんてあったんだ)


6年間この家に住んでいて知らなかった


私 (近藤暇みて調べるか)


車を停めてエンジンを切る


リン 「なんというか聞いてもあんまり腑に落ちないというかご主人とコン君の出会いって謎ですよね」


ラン 「なんで受け入れた?」


私 「んー」


ランのコンをなんで受け入れたのかという質問に頭を悩ませる


私 (なんでだろ)


追い出すことも出来た


業者を呼んでコンを部屋から追い出すことも


でも私はコンを何となくペットにした


コンはあの後家に居着いたから名前を付けてそのまま飼った


コンは物覚えが良く、人懐っこかった


最初は警戒してたのか餌をあげるとすぐ姿をくらませていた


しかし次第に一緒にいる時間が増えて半年も過ぎれば仕事をする時に膝に乗ってきたり一緒に寝たりするようになった


物覚えが高かったり人になっこいのはもしかしたら妖狐だったからなのかもしれない


コンと一緒にするようになって安心感を覚えた


私 「寂しかったけどコンと居たら落ち着いたからかな」


カバンを持って車から出る


私 (結構恥ずかしいこと言ったな)


リン 「結構お兄さんって寂しがり屋なんですね」


私 「まぁ一人が好きだけどそれでも寂しい時はあるよ」


ラン 「私たちがいる」


コン 「お兄ちゃん」


後ろから呼びかけられる


私 「ん?」


振り向くとコンが抱きついてくる


腰に手を回して力強く


私 「えっ!?」


モールの地下駐車場


人がいるにも関わらず強く抱きしめる


私 「ちょっコン!?」


コンは顔を私の肩につけてひたすら腰にかける手に力を入れる力を入れる


コンの胸を押して離れようとしてもコンの腕は動かなかった


リン 「コン?どうしたの?」


ランとリンは焦ったようにコンの手を掴む


コン 「お兄ちゃんずるいよ」


コンは顔を上げる


その目には涙を貯めていた


私 「へ?なんで?」


コン 「なんていうかお兄ちゃんにどう思われてたのかわかんないから嬉しくって止まんない」


コンは私を抱きしめたまま肩に顔を付けて涙を拭う


私 「そっか」


コンの頭を撫でる


ラン 「人目」


くいくいと裾を引っ張られる


周りにはモールに入っていく人もいてちらりとこちらを見る人もいた


私 「あー」


コンの背中をポンポン叩く


私 「コン?一旦お昼にしない?」


コン 「するけどまたハグして」


私 「いいよ」


コン 「ん」


コンは私から離れる


リン 「コンって甘えん坊ですね」


コン 「お兄ちゃんだけにだよ」


リン 「ご主人に甘えたいのは分かりますけど場所は考えましょうね」


コン 「うん」


私 「とりあえず行こうか」


私たちはモールの中に入る


ひとまず昼飯を食べるため四人横並びでフードコートに向かった

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