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19歳の病  作者: ななや
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十九歳の病

僕はある病気に悩まされていた


僕は十九歳で、そのときボーイング777のシートに座っていた。

高校生の時から夢見ていた事が始まろうとしているのに何時間も同じ姿勢でいたせいか、気が進まなかった。飛行機は雨など降らす気もないような薄い雲を抜け、沢山の高層ビルや綺麗に整備された広い幹線道路の上を飛んだ。その中でも緑色をした大きな公園はよく目立った。シートベルト着用サインが付き、ボーイング777は着陸態勢に入った。


僕の高校生活はあまり楽しいものではなかった。毎日部活動に明け暮れる日々で、今思うとなぜあれほど懸命になれたのだろうか。

高校三年間でガールフレンドは出来なかった。その部活動のせいだろう、真っ黒に焼けた肌は誰の気に留まらないのだ。別に悪いことだとは思っていない、そう自分に言い聞かせてきた。


シートベルト着用サインが消え、まだ空いてもいない出入口の扉に向かおうと大勢の客が押し寄せて来ようとしていた。飛行機の中はどこも居場所がなく、乗客はまるでホーム戦で負けた野球ファンに見えた。やっとの思いで扉をくぐるとホームタウンとはまるで違った。

目的地は十二月と思えないほど暖かく、風はとても心地よかった。

中学校の時に習った西岸海洋性気候は存在したのだ。

新しい気候に固まった体も伸ばせたせいか、気分が弾んだ。

「あったかいね」と後ろから声がした。

「あ、うん」僕はいまいち冴えない答えをしてしまった。

同じ日本人の彼女は何度か大学で会ったことがある、程度の関係だった。彼女は同い年とは思えない落ち着いた口調ではなし、僕は彼女とは素直に話せる気がしなかった。


僕は彼女だけでなく他の女の子にも同じように、萎縮してうまく話せない病気にかかっていた。


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