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METAL QUESTER  作者: 藤沢マサト
第三章 最終決戦
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第22話 ロメスの伝言

 ある日の朝のこと、リュウタ達四人のテクターブレスレットにとある人物からの通信が入っていることに気が付く。

 余りにも突然なことであったが、彼らはその送り主は誰であるかすぐに察知していた。


「なぁ、この通信の送り主ってもしや……」


 心当たりのある人物は一人だけであった。


「ロメスさんじゃないか?」

「やっぱり。だとしたら何で……」


 ラゼックは、そっと顎に手を添えて考え込む。


「とにかく、早くその通信の内容を聞いてみましょ」


 マナはリュウタ達を急かす。


「そうだな。早いに越したことは無い」


 バルティックは真っ先にテクターブレスレットのスイッチを押す。すると案の定ロメスの顔がホログラムで映し出される。


”四人共、聞こえてるか? 以前伝えた件についてだが、あの話は本当の事だと証明された! 正直俺も初めは嬉しすぎて夢かと思ったよ。この事はエスティア政府の調査団と協力して、証明してみせたんだ。軍の方まで協力してくれた”

「これって……」

「どうやら、次元転移装置絡みの話のようだな」


 バルティックはすぐに勘付いた。その後、暫しの静寂が流れてから、ロメスの音声は続く。


”以前、調査団と連合軍の諜報部隊の手により、次元転移装置の存在が証明された。しかも写真まで見ることが出来たんだ。この話の詳細は、明日の朝にしたい”

「えっ!?」


 リュウタは思わず驚いたが、彼の目は明らかに嘘をついている目ではなかった。それは、ホログラム越しであっても明白であった。


「マジかよ……。でもロメスさんは俺達のこと……」

「その心配なら無用だ。ロメスさんがブレスレットを改造した際に、相互に居場所が分かるよう、アクセスポイントの特定が出来るようになっている」


 バルティックは、以前一人でテクターブレスレットを触っていた際、偶然この機能を発見していた。


「そんなことしてたのか。あの人も大したもんだな」


 リュウタはロメスの技術に感服していた。


「ともかく、ロメスさんが明日来るんだ。ひとまずこの事はゲイリー中佐にも伝えておこう」

「そうね。その方がいいわ」


 こうして、彼らはゆっくりと流れる時に身を任せ、そのまま明日を待った。



 そして翌日の朝。ついにその日は来た。リュウタ達はすぐに目を覚まして基地のエントランスへ向かうが、本来ここにいるべき人物が約一名欠けていた。


「あいつ、遅いな……」


 バルティックはいつにも増して苛立っている。


「ラゼック、何してんだよ。もうすぐ来るってのに」

「しょうがない、私が起こしに行って来るわ。ちょっと待ってて」


 マナは急いでラゼックを起こしに彼の部屋へと向かう。


「ラゼック! もう朝よ! ロメスさんもうすぐ来ちゃうわよ?」


 彼女の大声を聞いてか、ラゼックは慌てて部屋から出て来た。


「いけね、寝坊したわ……」

「早く行きましょ。みんな待ってるわよ」


 マナは苛立った顔つきで、ラゼックを軽く睨む。


「よし、行こうクラーク」

「おう!」


 こうして、基地のエントランスに四人が集まった。後はロメスを待つのみとなる。


「もうすぐ時間だな」


 バルティックはエントランスの壁の大時計を確かめる。


「皆、客人が来たようだ」


 ゲイリーがエントランスの先を見て、ロメスたちが来たのを確認した。


「おお、皆! 随分と逞しくなったな」

「ロメスさん! ん?」


 リュウタはロメスとの再会に喜ぶも、周りの護衛と思しき人物に驚く。


「この方たちがエスティア政府の調査団だ。協力した縁もあって、同行してくれてな」

「そうだったんですね」

「とにかく、詳細についてはミーティングルームで……」


 ゲイリーは、ミーティングルームの方向へ腕を差し出した。


「分かりました。そうしましょうか」


 ロメスと調査団の面々は、リュウタ達と共に情報交換を開始した。


「では、こちらへ」

「どうも」


 ゲイリーの案内で、椅子に座るロメス達。その後、ゲイリーやリュウタ達も着席。


「では、いきなり本題に入るが……」

「お願いします」


 リュウタ達は思わず固唾を飲んだ。


「次元転移装置の存在を確固たるものにしたきっかけは、連合軍の捕虜からの証言だった。人が入れるほどのカプセルが付いていた機械が会った……、ということだ。その写真も一応持っていたようでな。だが、リュウタ達をここに転移させた装置はそれの原型だった……」

「つまり……」


 バルティックはすぐにこの事を察した。


「カプセルの無いプロトタイプの者だった可能性が高い。その機械は新型の奴の横に置かれていたと言っていたな」

「もしかして、俺達が散り散りな場所に転移させられたのは……」


 リュウタは剣呑とした雰囲気の中、目をぎょっとさせる。


「ただの実験だったという事だ。お前たち以外の次元転移者も、この試験運用のためだけに……」


 さらに一同は驚嘆する。


「俺達はそんな身勝手な理由でここへ!? 

「まぁ、落ち着けよ」

「失礼……」


 ラゼックは最早怒り心頭であったが、直後に黙る。


「とはいえ、浮遊大陸軍のあまりにも身勝手な行為は許されることではない。他の次元の人々まで巻き込んでいるのだからな」

「そうですね。私も許せないわ! どれだけ酷い目に遭ったか……」


 マナは苛立ちつつも、冷静さを心の奥底で保とうとした。


「ロメスさん。こちらの資料は我々が持っていても……」

「大丈夫ですよ」


 ロメスは余裕そうな表情で話していた。


「後でコピーしていただいて、原本を持って来てくれればそれでいいです」

「分かりました」


 その後もロメス達との話は続き、次元転移装置の仕組みの解析についても、本拠地突入時に解析班に任せることとなった。



 そして、翌日。ロメスがこの基地を去ってから、リュウタ達は覚悟を確固たるものにした。


「ひとまず、これからは最後の戦いに向けて……」

「そうね、リュウタ」


 マナは軽く頷く。


「リュウタ、俺達が何も出来ねぇのはもどかしいが、今はゆっくり休むのが俺達の仕事って事か」

「そうなるな」


 イカロスナイト達四機のMHはただひたすら、戦いの時を待つのみとなった。



 一方で、ゲイリー達は最終決戦に向けての準備を整えており、機体の修理などの指揮をソロス達と共に行っていた。


「おい、こっちにこの部品を!」

「はい!」


 ベンはロボットアームを使いMHの部品をゆっくりと運んだ。


「修理は早いに越したことは無い。行こう」

「はい、ソロス准尉」


 ソロス達もゲイリーと協力してひたすらMHの装甲の溶接を行っていた。

 これら一連の作業は丸二日以上かかる見込みである。



 そして一週間が経過してから、浮遊大陸軍の本拠地であるテラノスへの突撃作戦を行うことになった。今回の作戦では、リュウタとマナが遊撃部隊、ラゼックとバルティックが中核となる部隊に参加することが決定し、彼らの間には今までになく緊迫した空気が流れる。


「今回は尚更失敗出来ないぞ。浮遊大陸軍の本拠地に行くんだからな」

「そうですね、バルティックさん。俺、ちょっと不安で……」


 ラゼックはやや暗い表情で話す。


「分からなくはないが、今はそれどころじゃない」

「まぁ……、そうですよね」


 心配そうな顔をするラゼック。彼は自分の拳を見つめ、ゆっくりと握り締める。


「不安なのはみんな一緒だよ。俺だってちょっと怖いけど、覚悟はしてるさ」

「私も不安だけど、今はただやるしかないわ」


 リュウタやマナもまた、不安な気持ちを心に秘めていた。


「あぁ……、そうだよな。やれる限りやるか! 行こうぜ、クラーク」

「そう来なくっちゃ!」


 クラークスピアーの激励で、ラゼックは心の状態を立て直す。


「おい、リュウタ。そろそろだぞ」

「分かった。よし、行こう」


 四人は各々の相棒を実体化させる。

 それと同時に、ゲイリー率いる親衛隊も真っ先に出撃を開始。ついに戦いの幕は上がった。



 まず、リュウタは先行部隊と協力すべく、上空にいる敵のMH部隊を迎え撃つ。

 そして、マナは飛行空母のカタパルトの上で攻撃を始めた。


「このォ! 邪魔しやがって!」

「なら、コイツで掃討するぞ」


 苛立つイカロスナイトは、キャノン砲で攻撃を仕掛け、敵機を一機、また一機と撃墜していく。

 しかし、基地の本部に突入するには、単機では余りにも危険であった。


「どうしたことか……。こりゃあ入れそうにないな……」

「マナを連れて来ても、俺達だけじゃ……」


 戦いながらも悩むリュウタとイカロスナイト。するとそこへと友軍の戦闘部隊が合流する。


”レベル3MHのパイロット、聞こえるか?”

「はい! そうですが……」


 突然の通信に思わずリュウタは戸惑う。


”ここは俺達が受け持とう! お前達は早く先へ!”

「了解」


 こうして、リュウタ達はいざ先へと基地本部へと突入した。

 彼らの運命や如何に────────

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