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METAL QUESTER  作者: 藤沢マサト
第三章 最終決戦
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第20話 輸送船団護衛作戦

 ある朝のこと、リュウタはベンに呼び出されてすぐさま整備ドックへと向かう。

 彼は寝ぼけ眼を擦りつつ、何事かと考えていた。


「どうしたんです、ベンさん」

「君にいい知らせがあるんだ」


 リュウタはその”いい知らせ”という言葉に心当たりがあった。

 以前、ビームキャノン砲のエネルギー切れが起きやすいという欠点を直して欲しいという旨を伝えた時のことだ。それを思い出してリュウタはやや寝ぼけていた目が完全に冴えた。


「あぁ、あの時の……」

「そう。ビームキャノン砲にエネルギーカートリッジの増設コネクタを付けたんだ」


 キャノン砲に追加された増設コネクタは武装の上部に付いており、ここにエネルギーカートリッジを差し込むことで再度ビームを撃つためのエネルギーが充填されるという仕組みになっている。

 この説明を聞いたリュウタは安堵した。


「良かった……。でもカートリッジを持ち運ぶには……」

「それはイカロスナイトの腰側面に取り付けられるようにしてるよ。最大四個まで装備できるんだ。データはこの端末に入ってるから、テクターブレスレットにこのラーニングさせておけば、機体のシステムも少し変化するよ」

「ありがとうございます。やった!」


 嬉しそうな表情で腕を上げるリュウタ。


「良かったじゃないか、リュウタ」


 イカロスナイトも口調から察すると、とても嬉しそうであった。

 また、このデータはクラークスピアーやミノスソルジャーの追加装備にも転用されており、やや内容は異なるもののエネルギーの充填機能が付いていることに関しては共通である。



 一方、ゲイリーは他国から決戦用の資源確保のために上官と交渉の場へと向かった。


「長官、どうも……」

「ゲイリー君、君には大変苦労を掛けてしまっているね。済まない」

「いえ、それよりも他国からの資源提供要請についてですが……」


 恐る恐る話すゲイリー。彼は思わず冷や汗を握った。


「良いだろう。最後に向けての戦いのためなら、他の国も協力してくれるだろう。彼らのためにも、必ず奴らに勝たなくてはな」

「はい、そうですね……。まさかすぐに受け入れていただけるとは」

「当たり前だ。今は緊急事態だからな」


 長官は真剣な表情で窓越しの景色を見渡す。


「では、輸送船団の出港申請を……」

「もちろんだ」


 こうして、全ての国に資源提供要請が出され、各国首脳は可能な限りの資源を乗せた輸送船団を出港させることとなった。

 しかし、その船団に対しての攻撃が手薄になりかねないために、メガリア王国が主導で大陸連合軍による護衛作戦を計画した。



 翌日、作戦会議が行われた。

 

「今回の作戦では、輸送船団を守り切ることだ。くれぐれも敵軍からの強奪が無いよう、防衛網をしっかりと組む。特にリュウタ達」

「はい……」


 リュウタ達は自信の無さそうな表情であった。


「君達には先導を切って貰いたいんだ。そして、戦いにおいて最も重要になる」

「その……、役目は?」


 マナはオドオドとした表情である。


「護衛部隊の中核となり、輸送船団の中でも先頭にいる船を守ってもらいたい。任せたぞ」

「分かりました。必ず守り切って見せます」


 バルティックは完全に覚悟を決めた面持ちで頷いた。


「俺達でやって見せようぜ。必ずな」

「そうだな、ラゼック」


 リュウタは拳を握ってしっかりと頷く。ラゼックも心は既に燃えているようであった。



 そして、それからさらに翌日、輸送船団は各国から出港を始めた。

 しかし、この動向を浮遊大陸軍は不審に思っており、すぐさま戦闘部隊を出撃させる。


「いいな!? この戦闘で大陸連合軍を完全に叩きのめすぞ!」

「了解、ルガール大佐」


 こうして、輸送船団は早々と浮遊大陸軍の烏合の衆に襲われることになった。

 だが、そのための護衛艦隊やMH部隊がおり、戦闘は泥沼化する。


「まずいぞ! なんて戦力だ……」


 兵士の内の一人は、手に汗握る戦いの中操縦桿のボタンを押し、光線を放つ。


「こいつめ……、ウワァァァァッ!」


 空戦型リボルティムは爆発四散し、海底に沈んだ。



 その後、リュウタ達はメガリアから数千キロ離れた中央海域にて、輸送船団と合流。

 既に交戦状態にあったことにゲイリー達はやや焦っていた。


「まずいな。早く敵部隊を叩くぞ! このまま一気呵成だ!」

「了解!」


 そして、リュウタ達もすぐさま攻撃を開始し、戦いはより激化する。


「リュウタ、行くぞ!」

「おう!」


 イカロスナイトは空中でビームキャノン砲を構えた。静かに敵に狙いを定める。


「今だ!」


 敵機はそのまま爆発四散した。さらにリュウタは操縦桿を動かして素早い動きで敵を翻弄していく。


「イカロスナイト、もう一発だ!」

「オーケー!」


 さらにイカロスナイトは光線を放っていく。そしてまたもう一機撃墜することに成功する。

 また、彼だけが活躍しているという訳ではなかった。


「クラーク! 守りはその辺にした方がいいんじゃないか?」

「そうかもな……、ならば!」


 クラークスピアーは、拡散ビーム砲で敵をまとめて撃墜した。さらに彼は、胴部のキャノン砲で敵を牽制。その後槍で一突きし、もう一機撃墜して見せる。



 一方、マナとバルティックは護衛艦の甲板の上で敵の前線部隊を迎え撃っていた。

 敵は凄まじい勢いで護衛部隊を撃墜し、輸送船団に手をかけようとする。


「コイツさえ破壊すれば……、ん!?」


 突如として光線がこの敵機に直撃した。


「よし、仕留めたか……」


 その攻撃を行ったのは、バルティックである。彼は元々秀でていた戦闘技能を活かして、ミノスソルジャーのアシストを行ったのだ。


”やるじゃない、バルティックさん”

「マナ、その言葉はありがたいが油断するなよ」 


 マナは即座にサイクロンバズーカを構え、敵にしっかりと狙いを定める。


「肩部キャノン砲展開! サイクロンブラスト・ツバイ!」


 この強力な攻撃によって、さっきまで空を舞っていた敵機は次々に撃墜されていく。

 しかし、まだ敵は護衛部隊への攻撃を止めなかった。そして、一隻の護衛艦が轟沈し、このままだと輸送船団にも被害が出る────────

 そう悟った護衛艦隊の指揮官は、すぐさま進行方向を二方向に分け、一方の輸送船団を上手く迂回するよう誘導することにしたのだ。


「これで上手くいけば……、頼む!」


 敵部隊の一人は、それを見て攻撃のチャンスと言わんばかりに光線を撃っていく。

 また、その水中にはラゼックと水中戦闘部隊がおり、海底からの攻撃にも備えていた。


「クラーク、このまま上手く港に着かせるぞ」

「分かってるよ、ラゼック」


 水中へと潜り込んだ浮遊大陸軍の敵部隊は魚雷発射管を用意しており、これで全滅しようと試みていた。


「早くしないと……」

「分かっている! 右舷弾幕撃てェーッ!」


 連合軍の指揮官は焦りながらも一斉掃射を開始し、敵を少しずつ殲滅していく。


「なんと激しい……。ならば早く輸送船団の方へ強行突破だ!」


 敵部隊はすぐさま標的のいる方向へと向かい、ついに輸送船団の方へと矛先を向けた。最早窮地に立たされている状態である。


「水中に敵機接近! もう逃げられんぞ」

「させてたまるかよ!」


 しかし、ラゼック達は全滅させまいと奔走する。何とか魚雷は輸送船に激突する前に破壊された。そして、彼らの格闘戦が繰り広げられる。


「クラーク、行くぞ!」

「おう!」


 そして、スプラッシュプランジ・ツバイが繰り出され、敵機はほぼ全滅し、残った水中戦闘部隊は敗走した。



 それから数分後、リュウタは空中でルガールと対峙。お互いの間で、張り詰めた空気が漂っていた。


「こいつ……、ただならぬ予感が……」

「イカロスナイト、どうした?」

「何か嫌な予感がする」


 イカロスナイトは、いつもより明らかに暗いトーンの喋り方だった。この様子を聞いたリュウタは、剣吞とした表情を見せる。


「ならば尚更だ! 行こう、イカロスナイト」


 しかし、ルガールの駆るウイルゾンはより強力なものになっていた。


「ウイルゾン・デストロイ、コイツを撃墜するか」

「そうしよう。早くしなくてはな」


 先手を打ったのはルガールであった。ウイルゾン・デストロイと連携を取り、素早くビームソードを取り出して斬りかかる。


「来たか! なら、これで……」

「分かってるさ、やろう」


 バーニングスラッシュ・ツバイを繰り出して攻撃を仕掛けるも、すぐさまルガールは回避し、機体の武装をビームキャノンに持ち替えた。


「このッ! これでどうだ!」


 イカロスナイトは攻撃を防ぎつつ、ビームキャノン砲で攻撃を仕掛けるがなかなか当てることが出来ない。


「なんて速さなんだ……」


 リュウタは思わず手が震えた。とはいえ、まだここで日和るわけにはいかない。彼は再度ビームキャノンを乱射した。


「ふん、こんなひよっこの攻撃など……」


身軽な動きでリュウタを翻弄するゲイリー。


「まずい、早く撃たないと死ぬぜ!」


 イカロスナイトはすぐさまキャノン砲のカートリッジを交換し、再度攻撃を試みるも、ゲイリーは透かさず攻撃を仕掛けていく。


「隙あり!」


 防御の構えが僅かに緩くなった瞬間を見て、ルガールはビームキャノンと肩部のショルダーミサイルなどの多彩な武装で集中砲火を浴びせ、イカロスナイトに大きなダメージを与えた。シールドも使い物にならなくなっており、満身創痍の状態だった。


「クソォ……、このままじゃ……」


 しかしそんな中、アルドロスを駆るゲイリー率いる親衛隊が接近。


”大丈夫か、リュウタ!”

「こっちは何とか……。でもイカロスナイトが……」

「腰が……」

”イカロスナイト、無理するな。ここからは俺達に任せろ!”


 ゲイリー達はビームライフルを用いて一斉掃射を開始し、そのままルガールは攻撃を何とか回避するものの、流石にこのままでは限界が来るのではないかと悟った。


「まずい……。このまま逃げるか」


 これによりルガールは多勢に無勢と察してか、すぐにその場から去って行った。

 その後、輸送船団は無事メガリアの軍港に到着し、世界各国の資源が集まる。


 

 戦いが終わり、リュウタ達は基地で手伝いをしていた。


「リュウタ……」

「どうした? マナ」

「疲れたから休みたい」

「それ……、ゲイリー中佐に言えよ」


 呆れ顔で箱を運ぶリュウタ。彼はその後も淡々と作業を続けた。何とか今回の戦いにおいては勝利を収めたものの、まだ最終決戦は前半。

 果たしてこの戦いに終末は来るのか────────

 

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