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METAL QUESTER  作者: 藤沢マサト
第一章 正解のない旅路
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第10話 忍び寄る影

 リュウタ達は日雇いの警備作業を終えてからは、再度情報交換センターにて、それぞれ自分に合った仕事を探すことにした。


「リュウタ……、今は話しかけない方が良いか」


 イカロスナイトは、すぐに察してその後は沈黙した。


「この情報交換センターのデータベース管理作業なんてのもあるのか……。しかもその場で手続きをすればオーケーと。その上週に一度に給料が支払われるのか! よし、決めたぜ!」

「リュウタはパソコンなんて出来るのか?」

「馬鹿にすんな。俺の得意分野はテレビゲームだけじゃないんだ。パソコンだってお手のものさ」


 リュウタは誇らしげに語る。彼はテレビゲームが好きだが、それに飽き足らず、プログラミングなどの高度なコンピューターの操作にも手を出していた。さらに、プログラミングの県大会では中学時代に優勝を果たすなど、かなりの腕前の持ち主でもあるのだ。


「ふぅん。そこまで自信満々ならやってみるのもいいかもな」


 そして、リュウタは一度三階へと向かって手続きを行い、すぐに採用された。翌日から仕事が始まるという。



 一方、ラゼック達も仕事の情報を見つけ出し、数日以内にはまた働く事が完全に決まっていた。

そして、四人は下宿先へと帰宅。


「おぉ、おかえり。仕事の方は見つかったかね?」


 ロメスはとても穏やかな表情であった。


「もちろんだぜ! 俺は情報交換センターで作業することになったんだ。他の皆は?」

「俺は池の廃棄物処理。MH操縦技能があれば、なお良しだってよ!」

「嬉しそうだな、ラゼック」


 リュウタはラゼックに対し微笑む。


「私は動物保護施設の飼育係よ」

「マナは、動物好きなのか?」


 マナはは興味深そうな眼差しのリュウタに対し、優しい顔を見せる。


「そうなのよ。私、昔から捨て犬とかを見ると放っておけなくてね……。元の世界では三匹の犬を飼ってたわ」

「なら、ピッタリの仕事だな」

「俺は軍事施設の警備業務だ。ゲート周辺のパトロールが主な仕事だそうだ」

「バルティックさんなら不審者がいてもすぐに撃退出来そうですね」

「あ、あぁ……、そうだな、アハハ」


 バルティックは自身の太い腕を見て、嬉しそうになる。


「ところで、次元転移について何か進展は?」

「少しだけならあったぞ。今日僕は、大陸連合軍に連絡を取ったんだ……」

「え!?」


 ロメスのあまりにも突拍子もない発言に、四人は驚嘆する。


「何か次元操作の実験に関してはやっているかと訊ねたんだ」

「それで、返事は?」

「そんな事は一切していないとね。意外にすんなり答えてくれたから、僕はびっくりしたよ……。でも、これで例の連中の仕業である可能性が一段と濃くなったな」


 リュウタ達は心の霧が晴れ、ひとまず安堵する。そんな中、ラゼックはロメスに少し近寄った。


「ロメスさん、ありがとう。俺達はひとまずここである程度金を稼いだら、ここを出て奴らとの戦いのための準備をするよ」

「待て。それはあまりにも早計だ」


 彼の発言に、ラゼックは眉をひそめる。


「何故です?」

「そりゃあ、ある程度金があってもたった四人と四機で本拠地に行くなんて無茶な話だよ。木の棒一本だけ持って、一万人の軍勢を相手にするようなものさ」

「そんなに強いんですか……?」


 リュウタはただ唖然としていた。


「そうだとも。噂によると、浮遊大陸の連中は我々とは違った方向で文明が発達しているとのことだ。もしかするとレベル4のMHを密かに開発している……、なんてことも」

「じゃあ、私たちはどうすれば……」


 マナは青ざめた顔になり、自身の手が気付かぬうちに震える。


「一人でも多く、味方を増やすといい。それと話はずれるが、お前達はいくら金を持ってる?」

「えっと、一人大体3万5000ガニムぐらいだよな……」

「それじゃだめだな。もっと金を稼いで来るといい」

「つまり、大金と沢山の仲間が必要……、ということか」


 バルティックは腕を組みながら話す。


「そういうことだよ。じゃあ、僕は明日学会の発表に出なくちゃいけないから、早めに寝るよ」

「は、はい……」


 四人は呆然としつつも、そのまま既に用意されていた夕食を食べ、そのまま眠りにつく。



 一方、浮遊大陸軍のオスリクタ隊は、レベル3MH対策のために試作兵器ブラストバズーカを譲り受けることとなった。このブラストバズーカは、大陸連合軍の現行量産型MH・レザスのビームバズーカの威力の二倍となっている。今回の作戦では、この新兵器でリュウタ達を全滅へと誘うということを考えていたのだ。


「スレイン隊長、今回の作戦は上手くいくのでしょうか?」

「バウル、疑心暗鬼になるな。今回は上手くいくという自信を抱くのだ」

「ただ……」


 バウルは焦燥に駆られていた。


「あら、またお得意の困り顔でして? そんな性格だからあなたは……」

「今は口喧嘩をしている場合ではない。私情の話は後でやれ」

「はい……」


 メナンは眉をひそめて、口を閉じた。


「それに、前回の失敗は俺に責任があった。今後はなるべく出ずっぱりにならんように心がけたい……」


スレインは胸の前で腕を組みつつ顔をしかめる。

彼の新兵器を用いたこの作戦は、失敗は許されない。



 それから二週間ほど経ち、リュウタ達は四人合わせてどうにか40万ガニムまで貯蓄し、金銭面でも余裕が出始める。マナは動物保護施設から子犬を一匹引き取り、《クルト》と名前を付けて可愛がっていた。


「よしよし、クルト。お腹が空いたのね。ミルクを注いでおいたから……。ふふ、可愛い」

「おっ、マナ。昨日貰って来た犬か? 随分と元気そうになってきてじゃないか」

「でしょ? ラゼックさんには懐くかしら」

「クゥン」


 クルトはラゼックを少し見てから、すぐに尻尾を向けてしまった。


「なんだ。やっぱりマナじゃないと懐かないのか。そうだ、話は変わるがリュウタとバルティックはどうした?」

「二人は朝が早いらしくて。もう仕事に行っちゃったわよ」

「そうか、俺達より二時間くらい早く出ていったのか。しかし、何か匂うな……」

「何?」

「嫌な予感がするんだ。ここまで静かだとな」


 ラゼックは何かを察してか、テクター・ブレスレットを見つめた。


「なんだ、ラゼック。変な夢でも見たのか?」


 クラークスピアーは冷静な口調で話す。


「いや、もうすぐここに例の奴らが、また来るんじゃないかってね」

「そうか……。あり得るな」

「ラゼック、そんなに焦る事無いわよ。もう二週間は敵襲は無いわ。もしかして私たちに怯えて、ここは狙わないことにしたんじゃないかしら?」


 楽観視するマナ。彼女はかなり自信満々であった。


「そんな都合のいいことがあるか! あっ、もうそろそろ出ないと……」

「私もだ! じゃあ、クルトはここで留守番してるのよ!」

「ワン!」


 元気な鳴き声で返事をしたクルト。ラゼック達は仕事に出かけたのだった。



 一方、浮遊大陸軍のオスリクタ隊配下の偵察部隊の二人、ジュラスとモークは一般人に変装してトレーラーを運転していた。


「ジュラス軍曹、どうすれば例のメタルクエスターとやらを見つけ出せるんですかね?」

「知らねぇよ。そんなの俺だって知りてぇよ」


 すると、彼らはエスティアの軍事施設付近に来た。


「おっ、あれが例の施設だ。入るぞ……、ん? あのMH、メタルクエスターの奴じゃないか!?」

「スレイン大尉に連絡を取りましょう」


 モークはすぐさま通信機を使いスレインにこの事を通達。ジュラスは驚きながらも、彼らは早速この軍事施設に入ろうとした。


「お? 何者だ? パスは持っているのか?」

「そんなもんあるとでも?」


 モークは機銃を突き出した。


「なっ……、お前ら浮遊大陸軍か!?」

「そうさ! 死んでもらうぞ!」


 銃声が辺りに響き渡った。バルティックはすぐさま気付くが時既に遅し。

 二人の兵士が自分の胸を押さえて倒れていた。。その後、軽い身のこなしでジュラスとモークはコンテナに搭載されたリボルティムに搭乗し、戦闘が本格的に始まった。


「まずい! リュウタ、ラゼック、マナ! 大変だ! 大至急俺のいる軍事施設に来てくれ! 場所は3Dマップで教える!」


 そして、リュウタ達はすぐさま仕事を早退せざるを得なくなり、急遽駆け付けることになるが、すぐにスレイン率いる援軍部隊が到着してしまった。


「モーク、挟み撃ちだ!」

”了解!”

「させるかよ!」


 ミノスソルジャーはすぐさま前後にいたジュラスとモークの機体をグランドアックスで一刀両断した。


「ギャアァッ!!」

「こ、この俺がァ!」


 ジュラスとモークの機体は、切断面から火花を散らした後に爆発四散した。


「まずい、ジュラスとモークがやられたか……。バウル、メナン! 例の奴を他の部隊と共に牽制しろ!」

”了解! お任せ下さい”

”今度はあの時のようには行かせませんわ”


 こうして、リュウタ達も加わりこの戦いは激しさを増す。


「マナ、狭い場所だとサイクロンブラストは迂闊に使えないぞ! なるべくこの施設の被害を最小限に留めるように!」

「分かったわ。気を付けるから」


 マナはすぐにバルティックや基地の護衛部隊と合流し、オスリクタ隊の配下の戦闘部隊と交戦する。

激しく光線が飛び交う中、操縦桿を握り締める。


「このッ! 一発!」

「ギャアァッ!」


 ケルブバスターはサイクロンライフルを素早く構えて、すぐさま敵を一機撃墜した。

さらに背後から敵機が攻撃を仕掛ける。


「死ねェ!!」


 敵はすぐ近くまで接近してきた。


「マナ、サイクロンキャノンを撃つぞ!」

「分かったわ!」


 ケルブバスターが放ったサイクロンキャノンの零距離射撃によって、敵機は爆発四散した。



 一方、リュウタとラゼックは既にオスリクタ隊と交戦状態にあった。


「ラゼック、ここはスプラッシュプランジで倒すぞ!」

「分かった! スプラッシュプランジ!」


 アクアスピアの矛先が、バウルの機体腕部に直撃した。

 だが、運悪くバウルに回避されたため、トドメを刺すことは出来ずに終わる。


「くそぉ、覚えていろ……、メタルクエスター!」

「ここはこのメナンが倒してみせましてよ。喰らいなさい!」

「な、なんて威力なんだ!」


 メナンはビームライフルで攻撃し、ラゼックを苦しめる。さらに配下の部隊も合流し、戦況はより一層不利となる。


「大丈夫か? ここは俺達が援護射撃をする! 雑魚は俺達が片付ける」

「ありがとうございます!」


 リュウタは気持ちに余裕が出来たのか、薄っすらと笑みを浮かべた。

 そして彼は、形勢を逆転させようと試みる。


「ここからが正念場だ! 行くぞ、リュウタ!」

「オーケー! バルカン砲発射!」


 頭部のバルカン砲から光弾を乱射し、敵の増援部隊を次々に撃墜していく。


「リュウタ、ビームバルカンの出力を上げろ! そうしないと敵に看過されるぞ!」

「分かった、やってみる」


 リュウタは側面のレバーを動かし、バルカン砲の出力を上げる。


「まだいける! 発射ァ!」


 頭部から放たれた赤い光弾は、敵機の胸部を貫いた。さらにメナンもこの攻撃によって、数発被弾した。


「この私が必ず……、スレイン隊長を守って見せますわ!」

「なんてタフなんだ……。よし、接近戦に持ち込むぞ!」

「任せておけ」


 リュウタはしっかりと操縦桿を握り、それを大きくグッと動かす。


「喰らえェッ!!」

「させませんわ!」


 イカロスナイトのファイアキャリバーは、メナンの機体腕部を斬り落とした。どうにか致命傷を回避したメナン。彼女はそのまま撤収することになる。

 そして、いよいよスレインがブラストバズーカを搭載したブラスティムに搭乗し、攻撃を仕掛けてくる。


「さて、早速落としてやろう!」


 スレインの放った光線は、基地の施設に直撃するかに見えた。

 しかし、そんな中でその攻撃を防いだ者が一人────────


「なんだと……?」


 スレインは驚きを隠せずにいた。

 なんと、その攻撃はイカロスナイトがファイアシールドで防いだのだ。


「させるもんか! 俺は絶対に……、負けたりするか!」

「バーニングスラッシュだ、リュウタ!」

「了解!」


 彼の炎を纏った剣は、ブラスティムの砲口を破壊した。

 そこから巻き返しを図ろうとするスレイン。彼はブラスティムの肩部キャノン砲からビームを放つ。


「落ちろ! 全力で貴様を倒す!」

「何て火力なんだ! このままじゃここが持たない!」


 リュウタは焦燥に駆られながらも、ひたすら操縦桿を動かし、照準を敵機に合わせる。


「よし、奴の弱点を狙って斬るぞ!」

「分かった、イカロスナイト!」

「フッ、無駄な悪あがきを。死んでもらおうか」


 スレインはビームライフルを素早く構えて光線を撃つ。


「まずい! 早く倒さないと! 加速するぞ」

「オーケー」


 イカロスナイトはスレインに目掛けてバーニングスラッシュを繰り出した。

 この攻撃により、スレインの乗るブラスティムは大破するも、間一髪で脱出して残っていた部下の機体の手に乗りそのままこの場を後にした。

 こうして、今回の戦いは幕を閉じた。



 今回の一件でリュウタ達は責任を感じてか、このエスティアの地を離れることにした。


「ロメスさん、短い間でしたがありがとうございました」


 リュウタ達はロメスに対しお辞儀をする。 


「皆、本当に行ってしまうのか?」

「はい、これ以上迷惑をかけないため、ここを離れます」


 切なげな表情を見せるリュウタ。彼は少し葛藤しているようにも見えた。


「また流浪の民になるってわけだな。また何かあったら連絡するよ」

「どうやって?」


 四人は不思議そうな面持ちになる。


「君たちのこのブレスレットを、こっそり解析させてもらったよ。私が他の人間とすぐにコンタクトできるように改造したんだ。無断でやってしまい済まない……」

「い、いえ……、いいですよ」


 リュウタは突然の発言に驚きながらも、すぐにその感情はしっかり包み隠した。


「じゃあ、また会おう」

「はい!」


 こうして、彼らはエスティアを後にした。この先何が起こるか分からない旅路へと、彼らは再び歩み出すことになる。



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