#21. ひりゅう、ひひりゅう、ひひひりゅう?
気を失ってしまったオレは騎士団員の1人に回復魔法で癒してもらったそうだ。
ついでに副騎士団長に少し潰された頭も治っていて良かった。兜は潰れて脱げなくなってるけど。
目が覚めても既に姫様と副騎士団長様しかそばには居なかった。
ちゃんと2人はそばには居てくれたんだな……。
「姫様は何かしたい事無いんですか?」
『そんなの、ありませんわ』
「なら今から探しましょう!!やっぱりワイバーンとか乗ってみたく無いですか!?」
『……』
ここで今の言葉が失言である事に気が付く。
人間に影響を与える魔法がワイバーンにも与えないとは限らないのだ。
「あっ!?異世界のワイバーン見てみたく無いですか!?」
『……えっ?』
日本人が乗って来たヘリコプターが停まってる場所に向かって来た一同。
『これがワイバーン……ですの?』
『よく場所が分かったな?』
「昨日トイレで話した時に教えてもらったんですよ。……ささもっと近くに行きましょっ!」
近付いて見てみると思いの外大きい事に驚く2人。
副騎士団長がコンコンと軽くノックをして硬さを確かめる。
『これ程大きく重たい物が本当に飛ぶのか……?』
「……飛ばずにこの国までやって来たんですか?どういう事ですか?」
『飛んで来た事はわかっている!!ただあまりにも信じられ無いのだ』
寧ろあんな巨体のドラゴン達が飛ぶ事の方が不思議でならない。
身体の軽い鳥達にとっての空中は水中を泳いでいるのに等しい。
勿論身体の大きい鳥も存在するが、その身体を持ち上げる力、揚力が必要になってくる。
羽ばたいている翼の形が上方向に凸型になっている事で前方からの風の影響で身体が浮くようになる。
簡単に言うと三角定規でも分度器でも上を凸型にした状態で風の力を受けると後ろ髪を引っ張られた時に顎が上がる様に前方が浮く。
だが、ワイバーンの翼は鳥とは異なりコウモリの様な膜でできている。
コウモリは軽い身体をパタパタ羽ばたき浮かせているののに対し、ワイバーンは見た目通りの重さに対して翼の大きさがあまりにも適して居ないのにゆっくりと羽ばたいて居た。
「ワイバーンはどうやって飛んでるんですか?身体に比べて翼って小さいですよね?」
『飛竜は翼に魔力を纏わせ強化魔法を施し空を飛ぶ。寧ろ翼の方が硬く頑丈だったりする』
疑問に思った事が呆気なく全て魔法の一言で片付いてしまった。実に便利だ。
「ひりゅう?」
『竜種にも大きく分けても種類が居る。非竜、火竜、飛竜、非火竜、非飛竜、非火飛竜、火非飛竜、非火非飛竜が上げられる』
『ひりゅう、ひりゅう、ひひりゅう、ひひひりゅう』?何言ってんだこいつ?多分いくつか同じ奴居るよね?
『体内に魔力を溜め炎に変換し息吹を放ったりする事が得意だ』
オレが知ってるワイバーンも空を飛び火を吐いていた。
やっぱり一般的なワイバーンは皆そうなのだろう。
『先日逃げ出した火飛竜はショウブスルトカゲと言う新しい個体で、他にもチガウトカゲやオボエテオケトカゲなど火飛竜が最も多く発見されている』
『勝負する蜥蜴』?『違う蜥蜴』?『覚えておけ蜥蜴』?皆適当に名前付けられて無い?
「『新しい個体』とは発見されたばかりなんですか?」
『竜種は基本、全く同じ種族は産まない。竜種にはまだ分からない事が多く、同じ兄弟以外は別名が与えられる』
トンビが鷹を産むみたいな?と言うよりは猿が人間を産むって事かな?
『これは生き物では、無いのですよね?』
そして、近付こうともしない姫様も興味を示したのかようやく口を開く。
「生き物じゃ無いんじゃ無いですか?」
ヘリコプターを触りながら前方の方へ向かう。
「確かに目と鼻っぽく見えて可愛いですね?」
『可愛い頂きました!ありがとうございます!!』
するとヘリコプターから音声が聞こえて来る。
姫様は勿論副騎士団長も驚き剣を構える。
「ねぇ?姫様も見てくださいよ!顔に見えますよ!」
特に何も気にせず話を続ける。
『おい!離れろっ!!飛竜の息吹が来るぞ!!』
「いや、ワイバーンでは無いですよ……そもそもどこから火吹くんですか?」
『こちら火炎放射機能搭載しております。決して人に向けない様に最新の注意をお願いします』
ワイバーンでは無い物の本人曰く炎を吹く事ができるとの事。
「やっ、やっぱ離れますね……」
炎を警戒し副騎士団長の後ろにそそくさと逃げる。
『失敬ですね!?私弱音と人に向けての炎は吐かないと決めてますから!』
『『……』』
『ジャパニーズジョークです!!』
「ぷっ!」
ついシラケた事で笑ってしまった。
決して今のジョークが面白かった訳ではなく、滑った事が面白かった訳で!勘違いしないで頂きたい!!
『こんな時に何を笑って居る……』
『この兵、やっぱり首にするべきてすわ』
「Hey!あっ、はい!!すみません……ってセバスか手を叩いて下さいよ!!今朝決めたじゃないですか!」
『やっぱりここへは来るんじゃありませんでしたわ!!』
『帰りましょう姫様!ここは危険です』
「へい!けぇりましょうか?」
『Hey!日本へのご帰還承知しました。ドアが開きます。ご注意下さい』
するとヘリコプターの後ろ側のドアが開く。
『な、何ですの?』
「入れって事ですよ」
『尻の穴からか……?』
「……火飛非竜、だとしたらそうですね」
火を吹き飛べる竜じゃ無い乗り物。
『この子のお尻の中綺麗ですわね……』
『姫様のお尻の穴もきっとお綺麗です』
「…………」
そんな事は無いのだが。
「なっななな何ですか!?ゆっくり眠ってたのに」
そんなケツ穴から出て来た1人の人間。
『この方はたしか───』
「え?何で……?」
『ワイバーンを倒したと言う……』
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