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#17. えっ?あっ、はい!結局見つかりました

 日が昇り始めるにはまだまだ早い時間。

 副騎士団長が城に戻って来る前にスライムをトイレに戻す事には成功したのだが……。

 黒き眼の看客が壊された事で副騎士団長の行動を逐一確認する事はできず場内で鉢合わせてしまう。


「あっ……」

「……貴様、夜間勤務では無かったはずだが」

 騎士団の仕事は原則1日の昼夜どちらかのみ行われる。

 今の姿はえっ?あっ、はい!としての村人Aの服装をしている。

 昨日の昼に既に出会っている為、流石に顔を覚えられてしまった。

 指揮官の忠告聞いとくんだった……。


「えっ?あっ、はい!実はあまり眠れなくて身体を動かそうかと思いまして……」

「そうか……なら私に付き合え」


「えっ?あっ、はい……?」

 少し厄介な事になったかもしれない。


 この城は城内だけでなく、城の建物の中にまで庭が存在する。

 姫様の部屋の前にも庭が存在し身体を動かす事が出来る。


「あの~こんな真っ暗な状態でするんですか?」

「1日の半分は暗闇だ。この星の月が明るいとはいえ『暗くて何もできませんでした』なんて言い訳は通じない!」

 実際さっきも暗闇に乗じてどこかの盗賊団が侵入して来た訳で、説得力が高い。


「貴様、戦闘経験は?」

「えっ?あっ、はい!勿論ありません!!」


「ならとりあえず打ち込んで来い!」

 何故か互いに真剣を握り稽古を付けられる羽目に……。

 本番さながらでオレは鎧の完全装備をさせられる。


「えっ?あっ、はい!」

 オレはまだ鎧の重さに慣れて居らず相手からしたら遅い動きで斬りかかる。

「動きが遅い!」

 案の定指摘され鎧の視覚に入られ蹴りを入れられる。


 一般兵の装備では守りに重点を置き過ぎて思う様に身体を動かせない。

「はぁ、はぁ、はぁ……はい!」

 オレが聞いた情報では副騎士団長は剣術と魔法の両方に長けているらしいのだが、今の副騎士団長は城内を凍り付かせている氷を溶かしながらという片手間でオレの相手をしている。

 実に舐められた物だ……。


 正直副騎士団長の装備はオレなんかよりも全然身体を護っては居なかった。

 顔は勿論鎖骨周りやお腹、太ももと何故か騎士にしてはあまりにも露出が多いい。

 それでオレよりも動けるのは当たり前としか言い様が無かった。

 決して言い訳でも負け惜しみでも無い紛れもない事実だ。


「優秀だと聞いていたのだが、何か勘違いが合った様だな」

「えっ?あっ、いえ!……まだやれます!!」

 城に潜入するだけなら入隊試験なんて適当に突破してくれれば良かったのに……。

 これではまるでオレの方が劣っているみたいに聞こえる。


 そもそも視界が悪いのだってこの兜の所為だけでは無い!

 えっ?あっ、はい!という人物を演じる上で糸目の人間に変装するという事は常に目を薄目で戦わなければならない。

 元々黒き眼の看客のおかげで完全に目を閉じて居ても問題無かったが先程副騎士団長に壊されたばかりだ。

 彼女の前でこれ以上黒き眼の看客は使えない。


 再び剣を構え呼吸を整える。

 動きが自分より早い相手にこちらから仕掛けるのがそもそもの間違いだったんだ。

 距離を保ちつつ相手の動き出す前の身体の重心の微かな変化を見極める。

 普段やっている事と同じ事をすれば良い。

「どうした?もう終わりか?」


 動きが速ければ速い程方向転換や急停止は難しくなる。

「もう疲れたか?休憩でもするか?」

 いや、あんたから来て欲しいんですけど?

「いえ!まだやれます!!」


「なら掛かって来いっ!」

「いえ、そちらからお願いします」


「……少し休むとするかそろそろ姫様が起きてくる時間だからな……」

「えっ?あっ、いや───はい……」

 副騎士団長は剣をしまいこちらに近付きながら軽く呟く。

 結局小一時間ほぼで稽古は終わる。


「『臭い身体で近付いてんじゃね~よ!』」

「……えっ?あっ、すみません!!」

 すると副騎士団長の身体が軽く光だし掻いていた汗などが消え髪の毛が綺麗にサラサラと靡く。


 オレは言われた通り彼女から離れ様とするが何故かこちらに近付いて来る。

「何故逃げる?こちらへ来い」

 少し眉間に皺を寄せ不機嫌な顔をしながら小首を傾げる。


「えっ?あっ、はい!!」

 言われた通り姿勢を正し前へと歩く。

「『臭い身体で近付いてんじゃね~よオッサン!!』」

 副騎士団長は片手を前に突き出し罵倒を放つとオレの身体が光り出す。


「『清潔』と言う魔法だ。初めてか?」

「えっ?あっ、はい……えっ?魔法の詠唱か何かですか?」


「ん?そうだが……あぁ、悪い。光属性の魔法は少々苦手でな顔に力が入ってしまうのだ」

 問題はそこじゃ無いです!

 自分の身体を確かめると確かに掻いていた汗がどこへやら。


「汗は消えたのですか?それとも身体に戻ったのですか?」

「何を言っている?そんなの知らんが、消滅したのでは無いか?」

 本人としても魔法が使えるだけで詳細は不明な様だ。

 原理を知らない魔法とは少し怖く感じてしまうのは自分だけであろうか?


 副騎士団長は部屋の前に背を向け佇んでいた。

「貴様、今日はどういった仕事だ?」

「えっ?あっ、はい!先輩のミハイリさんに城内の案内と細かい注意事項などを教えて頂くつもりです」


「そうか……そいつには後で話して置く。今日一日私の元に着け」

「何で……?」


「私がお前を鍛え直してやる!」

「えぇ~」


『K5!そろそろ日が昇り始める。直ぐに宿に戻り城へ向かえ』

 そして丁度、朝になったと判断され上からの指示が出される。

 今回の任務、まだオレは何も失敗はしていないのだから怒られるのは間違っている。皆もそう思っている事だし多数決によりお咎めは無しだ。

「(……了解ですっ!!)」

 ガミガミ言われるのが嫌だったので素直に返事して置く。


「返事はどうした?」

「……え?あぁぁ、はい……」

 こちらにもとっっっても素直にやる気モリモリに元気な返事をする。


 宿に戻ってまた城に向かうのなら城に留まって居ても何も変わらない。

 ウチの上司には悪いがどうせ分かりっこ無いので宿に戻るのは無しだ。


「とりあえずこの時間は……?」

「城に盗賊の死体が転がってる。それを片付けて来い」


「雑用……」

「回収した死体は裏の森へ捨て置け」

 まだ溶けきって無いあの森まで運ばなきゃ行けないのか……。


「何で森何ですか?」

「森の動物をおびき寄せる為に使う」

 餌って事ですね……。


「43体転がってるはずだ。それと、所持品は回収しておけ」

「えっ?あっ、はい!」

 結局の所、姫様が起きて部屋の外に現れるのは今から4時間後の話だった。

 オレが城の片付が終わった後だった。

ここまで読んで頂いてありがとうございます。


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