#11. テテテテッテレ〜「翻訳指輪」
オージが笑顔で異世界人へ手を差し向ける。
おじさんがそれを受け入れ様とするが黒服の2人が止めに入る。
「異世界人は握手を知らないのでしょうか?」
「かもしれないね……ケイナリ」
オージは代わりにケイナリに向け手を差し出す。
握手を見せて教えるつもりの様だ。
「え……あっ、えっ?あっ……ちょっ、あっ、はいっ」
まさか自分へ手を差し出されると思って無かったケイナリが慌てふためく。
「もしかしてケイナリは僕と手を繋ぎたく無いのかな?」
「そそそんな事はありません!!」
「汚く無いよ……?」
ケイナリは自分の裾で手汗を拭き取り、不安そうに自分の手を確認するオージの右手を両手で覆う。
「この手一生洗いません!!」
「それは汚いよ」
異世界人達に握手を見せ、再びオージは異世界人達に手を差し出す。
『ほら握手じゃないか……』
『ですが危険ですよ』
『でも危ないですよ』
何を警戒しているのか?異世界人達はひそひそ話始めている。
『ここは私が先に行かせてもらいます』
『いやいや私が先に行かせてもらいます』
『何言ってるんだ相手の格好と立ち振る舞いから見て相手はきっと貴族だぞ?ここは私が』
『……え~っと……じゃあ、僕がいきましょうか?』
『『『どうぞどうぞ』』』
『……』
異世界人達はそれぞれ手を上げたかと思ったら最後に手を上げた男へ3人が手を差し出している。
オージが握手を求めているのに異世界人達が異世界人と握手しようとしている様にしか見えない。
『ちょっ!辞めろよ~押すなよ~お前が先行けよ~』
かと思ったら綺麗に一列に並び始めオージの前に整列し始める。
『よ、宜しくお願いします!!』
意を決して手を差し出す。
「こちらこそ宜しくお願いします。僕の名前はオージ・デンデン・ドージ・イヤモウホント・オーヂ・ディエンデン・ウォージです」
オージが手を握り返す。
『はい、宜しくおね……えっ、わぁっ!!!えっ!?嘘っ!!』
オージと握手すると男はその場で飛び跳ねる。
『どうだった?どうだった!?』
『えっ!?あっ、総理も握手してみれば分かりますよ』
『待って下さい!!次は私ですよ』
『そうです!!その次は私ですよ』
ようやく異世界人達はオージと握手する光栄さを理解した様だった。
「宜しくお願いします。オージ・デンデン・ドージ・イヤモウホント・オーヂ・ディエンデン・ウォージです」
『しゃっ、しゃしゃしゃ喋った!!喋りましたよ!!』
「勿論ちゃんと喋りますよ」
『いやいやいや異世界の人間が?日本人に通じる言葉を?そんなわけ……』
「オージ・デンデン・ドージ・イヤモウホント・オーヂ・ディエンデン・ウォージですっ」
『ホンマやっ!』
1人目、2人目、3人目とオージと握手し大きなリアクションを上げ、そして最後へ。
『えっ、あっ、その……ずっとこの国に来るのが夢で!魔法とか本当に小さい頃からずっとずっと憧れで握手してもらっても良いですか?』
「オージ・デンデン・ドージ・イヤモウホント・オーヂ・ディエンデン・ウォ~~~ジッですっ!!」
何故だかオージもノリノリで名前を名乗り始めていた。
『俺もう名前覚えちゃった』
『はっ?俺だって言えるぜ!!』
終始盛り上がる一同。この場でケイナリだけが置いてけぼりを食らっていた。
「───と、言うわけでこの指輪を付けているとあらゆる言語問わず言葉を翻訳してくれるのです」
オージは余っている翻訳指輪を異世界人のおじさんの左手の薬指に嵌めて差し上げる。
翻訳指輪は本来魔物専用の魔導具である。
言葉の通じない使い魔に持たせる事で主人の命令を伝えてくれる役割を果たしていた。
だが、今現在使い魔を使う者はこの国に居らず、必要になるとしてもワイバーンをしつける時に使う位だった。
そしてワイバーン賢い為、翻訳指輪を使わなければやがて人間の言葉を覚える様になる。
現にマリアンヌちゃんは既に人間の言葉を話せるまでに至っている。
今まではあまり重宝されて来なかった魔導具だが、今回の異世界人との交流の件でいくつか新しく作られたそうだ。
まだ数は少ないが、既に騎士団員の何人かは所持して居るとの事。
ケイナリは自分の翻訳指輪があったのだが、運悪くフフフッの乗バの件で貸してしまっていたのだ。
「で、そのチガチさんだと思うんだけど、今騎士団員がワイバーンで運んでいるらしい」
『やっぱりワイバーンなんですね!?騎士団はあれに乗って空を飛んでいるなんてもう竜騎士じゃないかぁカッコイイ……』
変態の国のトップと名乗った男は威厳なんて一切無く、離れ離れになった仲間の事より魔導具や魔物、騎士団などの話に大喜びしていた。
「ただ、文化の違いは重々承知しているんだが僕達の世界、このウィーテネでしてはいけない注意事項があってね」
『「注意事項」ですか……?』
「僕達の世界では頭を下げると言う行為は最上級の侮辱に値する」
『頭を下げる事が……?』
「はい。そして、そのチガチ君が我々の仲間に頭を下げたみたいで……」
『ちょっと待って下さい!!我々の国では頭を下げるというのは感謝した時にする仕草で決して侮辱する意味では!!』
「感謝か……僕達の仲間が頭を下げられた事で非常に機嫌を損ねているみたいなんだ先程一方的に連絡がありまして」
『すぐに誤解だと伝えて下さい!!彼に悪気は───』
「そうしたいのは山々なんだが、その魔法は一方的にしか送れなくてね。僕ら2人共その魔法は使えないんだ」
『その勘違いをしてるって事は翻訳指輪も……?』
オージは黙って頷く。
「ここへ運ばれて来る間、その彼が大人しくしていてくれさえすれば……」
『そ、それなら大丈夫です。彼は大人しい人なので……』
そして、待つ事数分で2頭のワイバーンが到着する。
ギャーギャーワーワーと何かを話している声がドラゴンの上から聞こえてくる。
近くでないと翻訳されないのか、総理の耳には何を言っているのかまるで聞き取れていない。
1人の少女がワイバーンから不機嫌な顔で降りてくる。
総理は少女と目が合うと軽く会釈をする。
「ッチ!!!!!!!!てめぇ!今頭下げやがったな!あ゛!?」
どうやら異世界人は頭を下げる事が習慣なのか余程の馬鹿な様だ。
「タイプ。彼らの国では決して侮辱してる訳じゃ無いみたいなんだ……」
「知るかよ!!てめぇにその気が無くてもアタシがムカついたんだよぉ!!」
『すっ、すみません!!』
翻訳指輪によって、少女の言葉が通じた総理は少女に深々と頭を下げてしまう。
その場の皆が総理のその姿に驚き固まってしまう。
が、等の少女はワイバーンの上での笑い声にイラついたのか総理には目もくれず後ろのワイバーンの方へ苛立ちをぶつける。
「てめぇらさっきからうるせぇんだよ!!着いたんだからさっさと降りろ」
「いや~本当に美味しいよコレ!これほど美味しい食べ物初めて食べたよもっと頂戴よっ!!」
『そんで先に言われる前にこう言ったのっ!「ギャルのパンティおくれ───っ!!!!!」って。選ばれたギャルって誰よ!?1番近くのギャルだったらマイかな?でも大人びた姿してるんだけどその時12歳だったらしいの!12歳ってギャルなのかな?』
その2人は噛み合わない会話で何故かとても盛り上がって居たのだった。
やっとウィーテネに到着しました。
ここまでで10話使ってしまいました。
(そんなはずじゃなかったのに)
多分やっと前編が終わった所です。
とりあえず1章、できたら2章までは毎日投稿頑張りたいです。
(一度途切れると止まりそうですよね?)
それまでは1時間ずつずらして投稿すると思います。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
感想や広告下の評価★★★★★やレビュー、良かったらブックマークをお願いします。
続きも読んでもらえると嬉しいです。




