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#10. あれ……声が……カタコトに……聞こえて……るよ

 無事フフフッを医務室へ運びポーションを使い腕を元通りにする事ができた。

 が、まだフフフッの意識が戻る様子は見られなかった。


「たくいつまでコイツの御守するつもりなんや?」

 同じ医務室で読書をしているイカつい顔をした素っ裸の男がケイナリに声を掛ける。


「いつまでって……ずっとに決まってるでしょ」

 ケイナリは男の格好に一切のツッコミもせずに言葉を返す。


「言うつもり無いんならそれで構へんけどなぁ、自分他に相談できる奴居るんか?1人でも居らんと抱え過ぎてパンクしてまうで」

「大丈夫だよ……。マリアンヌちゃんが居てくれるでしょ?」


「ならワイにもしゃんと話せ言う話しやっちゅうに」

 ケイナリの話を辞めたい気持ちを汲みそれ以上は何も言わなかった。

 ケイナリ本人もフフフッが眠っているとは言え、目の前でする話では無いのだ。


「……サーチェの王子がお見えみたいやで」

 男はサーチェティーリーの元王子の匂いを嗅ぎ当てすぐにケイナリに伝えてくれる。

「どうしてここに?とりあえず服だけ着て下さい!!」


「服着いへんと恥ずかしいんは人間位なもんやで。竜種が服着始めたらそれこそ笑いもんや」

 そう、彼の名はマリアンヌちゃん。今は人間の姿をしているが、ここへフフフッを運び込んだワイバーンにしてケイナリの愛バである。


「はぁ、人型の姿の時に竜を語らないでよ。今だけ服を着るか隠れるかだけお願いします!」


 ケイナリはすぐにドアの前まで立ち、マリアンヌちゃんの合図でドアを開ける。

「わざわざオージ王子自らこちらに起こし下さいましてありがとうございます。フフフッ様ならただいま眠ってらっしゃいます」


「やあ、ケイナリ。2人共無事かい?」

「はい。上級ポーションを使わせてもらいましたのでフフフッ様の怪我も元通り完治致しました」


「上級ポーションを使ったのか……」 

「申し訳ごさいません。こちらには上級ポーションしか置いてませんでしたので私の判断で仕様しました」


 ポーションにはそれぞれランクが存在し、それに伴った瓶に入れられる。

 高価な瓶であればある程ポーションの状態は長持ちする為、高価な瓶に入れられていた上級ポーションのみが使用期限が切れずに残っていたのだ。

 とは言え上級ポーションはとても貴重である。


「……フフフッの怪我が治ったのなら無事に越したことはない無いよ。それより今連絡が入って異世界人らしき人とワイバーンを見付けたみたいでね」

「もしかしてこの世界の住人に被害が出てしまわれたのですか!?」

 今は大事な時期な為ディーーカッ国王からの印象を悪くしたくは無いのだ。

 自分達がきっかけで問題を起こしたとなればここでの立場が更に危うくなる。


「いや、ライフの話ではその男は無事でワイバーンが気を失っていたらしいんだ」

「と言いますと、その人間がワイバーンを倒したと言う事ですか?」


「詳細は分からないが特に君達を叱責に来た訳では無いんよ?安心してくれ」

 その言葉にホッと胸を撫で下ろすがすぐに姿勢を正すケイナリ。


 が、ここで疑問が生まれた。わざわざオージがここへ尋ねて来た理由が分からないのだ。

 フフフッとオージの仲が余り良くない事もありケイナリとしてもオージとの接触は余り周囲に知らせたいモノでは無いのだ。

 勿論それはオージ本人も同じである。


「後で異世界人本人からも話は聞くつもりではあるのだけど、ワイバーンに詳しい君に是非見てもらいたいと思ってね。良ければお願いしても構わないかな?」

「分かりました。オージ王子が宜しいのであればお供させて頂きます」


「はははっ、もう王子では無いのだけどね」

「いえっ!この世界にサーチェティーリー王国が無かろうとオージ様は王子です!!」


「そうだね、すまない。フフフッと僕は同じだからね」

 ケイナリは両者を王子として敬う数少ない人間の1人である。

 オージから王子を剥奪してしまえば等しくフフフッも同じ平民になってしまう。

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「すぐ準備しますので少しお待ち下さい」

 オージはケイナリの考えを汲んで部屋の外で待機する。


「フフフッ様の事を頼んでも良いですかマリアンヌちゃん?」

「……随分仲良さげに話すんやなぁ?」

 フフフッの事を頼むとマリアンヌちゃんから違う答えが帰ってくる。


「オージ王子は誰に対しても気さくな方ですから」

「にしては自分とアイツが仲良ぉ話してんの初めて見たけどなぁ」


「……そうですね。フフフッ様と一緒ですと他の方と話す機会はあまりありませんから」

「……分かった。コイツの事は任せときぃ。少なくとも今日一日は部屋から出さへん様にしたる」


「すぐに戻って来ると思うけど、お願いします」

 そして、ケイナリとオージの2人は異世界人とワイバーンが運ばれて来る竜港へ話をしながら向かった。


 そしてすぐに目的の竜港に着いた2人。

 異世界人を待つと言う事はこの浮島にやって来ると言う事である。


 その間ケイナリは考える。

 魔法が使えないと聞いている変態の国の人間がこの空飛ぶウィーテネにどうやって来たのか。

 ウィーテネの誰かがワイバーンで迎えに行ったのだろうか?なら何故自分に声がかからなかったのか?と。


 そして、一緒に竜港で待つこと数十分。

「……ん?何か聞こえて……何の音でしょう?」

 遠くの方からパタパタとした音が段々と近付いて来る。


「まさか、本当に実在していたとは……」

「えっ!?何ですか!?もしかしてアレですか?あんな小さな魚から聞こえてくる鳴き声ですか?この世界の魔物ですか!?」


 そしてすぐにケイナリは自分の言葉が間違いである事に気が付く。

 こちらに飛んでくるその魔物は決して小さな身体では全く無かったのだ。

 ただ距離が遠かっただけでここまで聞こえて来るその音は次第に騒音への変わる。


「─────ださいぉぅ───じ!!」

「ぇ?───ない!!」

 パタパタと羽の音が響き近くにいる2人の会話がままならない。


「おさ─り下さい───王子!!」

「───じょうぶだしん───」


「なん──か?もう─────く─さい!!」

「だい──ぶ───パイ無い!!」


「…………そうなんですね!───流石です!!」

 何言ってるのか全く分からず、何度も聞き返して機嫌を損ねられたくなくて適当に返事をしてしまうケイナリ。

「───!───!!───っ!!」


 そして必死に伝えようとしてくれてる王子を少し可愛いと考えてしまう。

「ぶふぉ───っ!!」

 拳を作りケイナリは自分の右頬を思い切り殴り付ける。


「───!?───!!?」

「……うん。可愛い───(ってちっっっがぁーーーうっ!!何なんだあの鉄の塊は!?)」


「この世界─住人─魔法─使えないはずだ。だが、魔道具─関して─素晴らしい物─存在しているのか……」

 空飛ぶ鉄の塊は少し離れた広々としたワイバーン着陸所の真上に空中停止する。

 距離が少し離れた事で、オージ王子の助詞以外の言葉が聞き取れる様になった。


 地面は鉄の塊を中心に円を描く様に風が吹く。

「あの回転─秘密─?一体どんな形─しているんだ?」

 オージとケイナリは同じ所に疑問を持ったのか鉄の塊を観察している。


 鉄の塊がゆっくり地面に着き、頭の上で回っている物の回転が段々遅くなっていく。

 視認できるほど遅くなり、やがて回転が完全に停止する。

「ワイバーン、羽、上下、羽ばたく、事、空、飛んでます。他、魔物、一緒です」

「あぁ、だがあの鉄はあんな細い羽であれ程の速さで飛んでいた事にな……」


「鉄、塊、ワイバーン、魔物、比べ、軽い、かも、しれ、ません」

「………………………………………………」

 鉄の塊の騒音が止み始めたのにオージの声が全く聞こえなく無くなったと考えるケイナリだが、オージの口は動いては居なかった。

 それだけでは無くオージの口は閉じたままケイナリを見つめている。

 あの空飛ぶ鉄の塊の影響か何かなのか考える。

 が、魔法術式も詠唱も何一つ感じ取れない。


「気、付けて、下さい、古代兵器、可能、あります。魔法、詠唱、無効、化、して、来ます」

「確かにあの鉄自体が軽い可能性や鉄で無い別の物質である可能性も考えられるね。でも、あれに人間が乗っているとするとその時点で軽過ぎるなんて事は無くなる。やはり頭の回ってる物の速さが関係するのか……それとそのカタコトは何のマネなのかな?」


「すみません!!気がついたらオージ王子と同じ喋り方を!?決して馬鹿にしている訳ではありません!本当に!!」

「……騒音で聞き取れなかっただけだよね?普段から僕がカタコトで話してるなんて事無いよね?」


「はい!すみませんでした!!以後気をつけます!!」

 すぐに顎をクイっと上げ勘違いさせてしまった事と怒らせてしまった事への謝罪をおこなう。


「…………普段かr───」

「全然違います!!大丈夫です!!僕の勘違いでした!!!」

 顎先を天に向け心から謝った。


「否定が速いと不安にあるのだけど───」


『君達ぃ!!千賀地君が1人、男の子なんだけどヘリでワイバーンになってウィーテネへ来て───』

 鉄の塊から凄い勢いでおじさんが外へ出てくる。


『総理!慌てて出ていかれたら大変です!!』

『総理!急いで外に行かれては困ります!!』

 さらにその後を目元を黒く覆った黒服の男が2人続いて出てくる。


『っっっはぁ~~~~~ぁ、自動運転でホンット良かったぁ~~~~~~』

 そして最後に足をふらつかせた男が続けて出て来た。


 そして出て来た人達の言葉は誰一人として分からなかった。

「安心してください。ワイバーンと一緒に1人保護したとの報告を受けてます」

 オージを除いて。


『総理止まって下さい!!』

『総理停止して下さい!!』

 オージが先に飛び出して来た男に手を差し出そうとするのを黒服の男達が制する。


 何故かオージは彼らの言葉を理解している様だ。

進みが遅くてすみません。


もっとテンポ良く進めるべきなのか、丁寧に書いてくべきなのかどっちが良いんでしょう?

ストックが無く常に描き続けて居るのでちょっと考え中です。


ここまで読んで頂いてありがとうございます。


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