試験が終わった後の夏休みと海でのいつもとちょっと違う日常 その6
その夜、スティフィはぞくぞくとした寒気を感じ目を覚ます。
この地方で、特に夏は酷く蒸し暑くなる地方でそんなことあるのか、と言われればそんなことは基本的にはない。
夜でも掛布団などなくとも快適に、とは言い難く蒸し暑くて寝苦しい程度には暑い。
スティフィが感じた寒気は実際に寒いわけではなく、スティフィの体に深く刻み込まれた心的外傷からくるもので、寒気の元は言うまでもなくミアについている精霊だ。
それを周囲の変化を敏感に感じる様に鍛えられたスティフィが寝ながらにしても感じ取ったのだ。
だが、おかしい。
ミアについている精霊は基本的に一日のうち三分の一程度の時間しかミアについてはいない。
今はミアの使い魔、荷物持ち君の内部に作られているという社にて休息を取っているはずだ。その時間帯のはずだ。
なのにミアに精霊が戻ってきている。
ということは、ミアに危険が迫っているということだ。そのことにスティフィはすぐに気づく。
スティフィはあたりの気配を伺うが、今のところ付近には怪しい気配はない。
不意に窓掛けがひとりでに少しだけ開かれた。しかもそれは開けられたというよりは捲られたというべきか。
重力を無視し、窓掛けは捲れあがっている。
そこからうっすらと月明かりが差し込んでくる。
スティフィはすぐに警戒し身構えるが特に変化はない。
それにスティフィには窓の外にはとりあえず何者の気配も感じられない。
だとすると、ミアの精霊が開けたのだろう、とスティフィは考える。
精霊は基本的には見ることはできない不可視の存在だ。
なぜ精霊が窓掛けを捲ったのかまではわからないが、恐らくはスティフィに外を確認しろ、とでも言っているのだろう。
スティフィは寝台から身を起こし、慎重に、物陰に隠れながら外の様子を伺う。
だが、月が出ているとはいえそこは闇夜の世界だ。何も見えない。
ただただはめ殺しの硝子窓からは黒い闇が見えるだけだ。
そこで、スティフィは天井に少々大きめの回転羽根を回すために常備されている魔力の水薬を手に取り、瓶の蓋を開け、少量だけ口に含む。
本来なら片方の手で瓶をあけ、もう片方の手で魔力の水薬を少しだけ受ければいいだけなのだが、スティフィにはそれができない。
魔力の水薬の蓋を戻し、意識を集中する。
口に含んだ水薬から魔力を感じ取り、それを制御してそれを左眼に流し込む。
左目の網膜に刻まれたいくつかの魔法陣、その中で暗視と望遠視の魔法陣へと魔力を制御し流し込む。
普段はスティフィの強力な魔力制御により、魔力が流れ込むことを阻止している極小の網膜に刻まれた魔法陣だ。狩り手となるものはこういったものをその身体にいくつも隠し持っている。
そして魔法陣に魔力が流れ込むことで意味だけでなく力を持つ。
右手で右目を隠し、左目だけで窓の外の様子を、念のために物陰から伺う。
今度は外の様子をしっかりと見ることができる。
まず目についたのは、この宿の建物からものすごい勢いで飛び出し、浜辺へと向かう荷物持ち君の姿だ。
一直線に、駆ける様に波打ち際を目指している。
そして、荷物持ち君が向かう先には何かがいた。
何かが海から上陸してきている。
それを眼にとらえた瞬間、スティフィは理解しがたく不愉快で気味の悪い酷く嫌な感覚に襲われる。
一見して蛇のように長細い容姿のだが、それは四肢と頭を持つ人型でもある。
相容れない容姿なのだが、一見は確かに、鎌首を擡げた蛇に見え、それでいてちゃんと人型でもあると認識できるのだ。見ているだけで気持ち悪く気分がざざめき立つような、そんな存在だった。
さすがに正確な色まではわからないが、黒くぬめりとした表面にスティフィは感じた。
あれは恐らく外道種だ。スティフィは確信はないのだが、そう理解できた。
ミアの精霊が、休息時間にも関わらずミアの元に戻り、荷物持ち君が対処に出ている。
どんな外道種なのかスティフィにはわからないが、そもそも法の理を外れた外道種は、理解しがたいものが多い、特に人間には理解できる生態をしてはいない、ただわかるのは海よりやってきた外道種は、古老樹や精霊が警戒するような相手だと言うことだ。
スティフィがそれを観察している間にも、荷物持ち君は素早く走り続け、防波堤を飛び越え、浜を駆け、その得体のしれない存在の少し手前で大きく飛び、その体の割合からしてはかなり大きな腕を振り下ろした。
その一撃は得体のしれない存在の頭部を的確に捉え粉砕した。
頭部がはじけ飛んだと言っても良い。ただの物理的な一撃ではなく、おそらくは魔術、人では理解できないほど高度な魔術により強化された一撃だ。
そうでなければ、あれほど鮮やかに、跡形もなく頭部をはじけ飛ばすことなどできやしないはずだ。
その後、頭部を失ったその存在はゆらりとふらめき砂浜へと倒れ込み、そのまま動かなくなる。
荷物持ち君はその死体を両手で持ち上げ、おもむろに夜の海へと投げ込んだ。
そこで開けられていた窓掛けがパサリと音を立てて閉じられた。
背筋を酷く冷やすような、全身がざわめき立つような、そんな寒気のする気配も既になくなっている。
ミアに襲い来る脅威を取り除けたと言うことなのだろうか、ミアから精霊が離れていったのだろう。
精霊がここへ来たのはミアを守るためだろうが、わざわざ窓掛けを開けスティフィにその光景を見せたと言うことは、あの精霊はミアが外道種に狙われていると言うことをスティフィに伝えたかったのかもしれない。
スティフィは改めて辺りの気配を探る。
隣の部屋のマーカスも起きて動いているような僅かな振動と物音を感じ取ることができた。
恐らくマーカスも先ほどの光景を見ていたことだろう。
マーカス本人の目には見れてないのかもしれないが、額に刻まれた刺青の目を通して、少なくともオーケン大神官はその様子を見ていたことだろう。
スティフィは部屋の中の洗面所へ行き、口に含んでいた少し苦みのある魔力の水薬を吐き捨ててから自分の寝台へと戻る。
ミアは何事もなかったかのように、寝息を立てて寝ている。
ジュリーはお行儀よく胸の上に手を組み、まるで死んだように眠っている。寝息だけは立てているが、寝返りなどの動作はまるでしていない。
それに対して、ミアは蒸し暑かったのだろうか、布団はずれておりほとんどミアに掛かっていない。その寝姿もなんでそんな恰好に、という疑問が浮かぶような恰好を取っている。
スティフィは軽くため息をついた後、ミアの布団を整え掛けなおしてやり、自分の寝台へと戻った。
朝、海でまた遊ぼうと、ミア達は水着に着替え宿の一階まで下りてくると、そこで昨日の道化に呼び止められた。
昨夜のことを見ていたスティフィにはある程度予測できていたことだが、今日は海へ入ることはできないとのことだ。
「え? 今日は海禁止なんですか?」
今日も朝から海で遊ぼうと、張り切っていたミアにフェチ神の神官であり道化の恰好をしている者は、申し訳なさそうに伝えて来た。
ミアとは反対にジュリーは肌が赤く腫れあがりあまり元気はない。恐らく日焼けの影響だろうが、それでも水着に着替え海へ行こうとしている辺り、何らかの強い意志は感じる。
「はい、外海との入口に外の大きな魚や海獣を入れないための網があるんですが、それが大きく破かれていまして。巨大な、それこそ人を襲うようなものが入り江に入り込んでいるかもしれないとのことで、本日は全面的に海への立ち入りは禁止とさせて頂いております」
そう言って、道化の恰好の神官は頭を下げた。
そして、神官は頭を上げて、何事もなかったかのように、しゃべり続けるを続ける。
「とはいえ、安全が確認しだい、また開放いたしますので、今日は街の方を堪能してください。ここティンチルでは水着のままで街を歩いても平気ですよ。もうご存じかもしれないですが、水着を着たまま入れる温泉もございます。ああ、ミア様はそう言えば使い魔を連れておいででしたね。使い魔格闘大会などの催し物もございますので参加などされてみてはいかがでしょうか?」
その話を聞いてスティフィはその網を破ったのは昨夜のアレか、とすぐに思い当たる。
そのことを告げるべきかどうか迷う。
仮に、昨夜のアレが外道種だったとして、そんなものが寄って来たともなれば安全確認のために、しばらくは海に入れなくなる事だけは確かだ。
スティフィ的にはさほど問題ないが、ミアは落胆することだろう。
ここは黙っておいた方が良いだろうし、重要な情報は先にダーウィック大神官に伝えるべきとも、スティフィは判断した。ただその伝える方法が今は不安定で実行はできていない。
ミアはがっかりしているし、ジュリーもがっかりはしているが、ほっとした表情も浮かべている。
それだけジュリーはこの旅行を楽しもうとしているのだろうし、貴族でありながら貴族らしいことなど、一度もしてこれなかったことからのあこがれもあるのかもしれない。
スティフィからすると、そこまで無理してまでも楽しもうとする辺りは、ジュリーにもデミアス教徒の資質があるのでは、と思ってしまうほどだ。
「海は入れないですか。残念です。にしても、使い魔格闘大会ですか、荷物持ち君が出れば優勝は間違いないですけど、流石に少しズルが過ぎる気もしますね」
元々規格外ではあった荷物持ち君は朽木様の刻印の最適化により、使い魔というよりは俊敏に動き回れる若き古老樹と言ったような存在になっている。
昨日の外道種らしき存在も一撃で葬り去っている。
使い魔格闘大会がどれほどのものかまではわからないが、今の荷物持ち君の相手になどならないことだけは確かだ。
「おや、自信があるのですか? 賞金も出ますよ?」
そう言われて、ミアは一瞬だけ迷うような表情を浮かべるが、
「いえいえ、荷物持ち君はちょっと特別製で普通の使い魔とは違うので。制作にには魔術学院のグランドン教授も関わってますので通常の使い魔とは違うんですよ」
と、伝える。そうすると道化が少し驚いた表情を見せる。
「ほほぅ! あのグランドン教授ですか!! ここの使い魔のほとんどはグランドン教授がお創りになったと聞いていますよ!」
「そうなんですね」
ミアは返事をして、街中を走り回っている使い魔を思い出す。
綺麗な石畳を傷つけないように走る使い魔が、グランドン教授の作品と聞いて納得もする。
使い魔というよりは進化した馬なしの馬車と言った感じだったが、ほとんど揺れもしないで快適な乗り心地だった。
「そう言えば、今もここに滞在なさっているという話を聞いた気もしますねぇ」
外道は少し自信なさげではあるが、そんなことを話した。
「え? グランドン教授が?」
「はい、元々、定期的に使い魔の整備で来て頂いているらしいですが、それとは別に魔術学院が長期休暇のときはよく来ておられますね」
「それは後で挨拶に行った方がいいですね」
その後少しミアと道化の間でグランドン教授にまつわる話をしていると、ジュリーがその場にへたり込んだ。
ジュリーに視線が自然と集まると、ジュリーは申し訳なさそうに口を開いた。
「あ、あの…… 日焼けに効く薬とか…… ないでしょうか……」
「ミアちゃん印の万能軟膏ならありますよ?」
サリー教授が認めてくれた効能にも記されていて十分に効果はあるはずだ、とばかりにミアが名乗り出る。
ミアは気づいてなかったが、ジュリーの肌、特に肩から背中にかけて、赤く腫れているし、なんだか熱っぽそうにも見える。
「ジュリー様は肌が白かったですからねぇ。日焼けが酷くなりやすかったのかもですね。そんな方の為にも日焼けにも効く薬湯の湯もありますよ、場所もここから歩いていける距離です。どれ地図に印をつけましょうか」
ミアはとりあえず鞄からこの街の地図と、万能軟膏を取り出し、ジュリーとスティフィを交互に見比べ最終的にスティフィに万能軟膏を渡した。
スティフィは一瞬ムッとした表情を浮かべるが、素直に軟膏を手に取り片手で器用にその蓋を開け、軟膏をジュリーの背中に塗り始めた。
ラダナ草のツンとした渋く苦い様な匂いがしだす。
ミアはそれを横目で見つつ、地図を道化へと手渡す。
「お願いします」
「はいはいっと、それと水着で平気とはいえ、上に羽織るものもいるでしょう。こちらでお貸いたしますよ。海遊びがダメとなると、今日は温泉巡りもいいのではないでしょうか。五種類の温泉、まあ、言ってしまうと実は人工温泉ですが、お楽しみになれますよ。今の時期は気候に合わせてぬるま湯温泉となっておりますし」
道化は胸元より筆のような物を取り出し、墨もつけずに地図に注釈を書き込んでいく。
薬湯の湯以外にもいろいろと観光できる場所を地図に書き込んでくれているようだ。
「人工温泉?」
ミアが気になった言葉を繰り返す。
「はい、遥か北の、本場の温泉の地より、岩盤そのものを取り寄せまして、それを湯釜の代わりとして湯を沸かせています。大掛かりな物となっていますが、冬季の間のこの街での娯楽の一つですね。水着を着用したまま入れますので、冬の間もこの街と良き関係を続けていられますねぇ。まあ、それは置いておいて、なかなかどうして、いい湯となっていますよ」
道化の神官はそう言って少し考えるような仕草を見せた後、一度頷いてから、また喋り出した。
「本来温泉は冬季の名物なのですが、海に入れないとなると温泉巡りもいいかもしれませんよ、まあ、海のように遊べはしませんが、夏場の温泉も風情はありますよ」
ぬるま湯温泉と言ってはいたが、北出身のスティフィにとっては温泉という物はかなり熱い湯を意味している。
この身に着けている水着とやらはそんな熱い湯にまで付けて平気なのか不安にはなる。
「温泉もこの水着のまま入れるのよね?」
一応、道化本人が言っていたことだが確認だけはしておく。あとで難癖付けられても面倒だし、なにせ身に着けているものはよくわからないが神から授かって返さなければいけないものだ。
確認だけでもしておいて損はない。
「はい、問題ないですよ。基本的に公衆浴場とは違い、温泉は混浴となっていますので着用して入浴することをお勧めいたします」
その言葉にミアとジュリーが、混浴という言葉にギョっとした表情を見せた。それ以上に反応した人物もいるが少し離れてた位置にいるのでその二人には気がつかれはしない。
スティフィからするとそのあたりは当たり前の話で特に気にはならない。
「ぬるま湯温泉っていうのも良さそうですね。混浴というのはちょっと抵抗がありますが」
とりあえずミアはそう言ってみるが、実は温泉という物をよくわかっていない。
少なくともミアの住んでいたリッケルト村にはないものだ。
「後は街の観光も素晴らしいですよ。とても綺麗な街並みとなっております。それと今日は…… 確か今日だったと思います。先ほども言いましたが、ええ、本日の夕方からですね。使い魔格闘大会が開かれます。飛び入り参加も可能なのでぜひご一考を」
道化は、予定表を確認しながらそう言い、確認が終わると手を揉みながらそう進めて来た。
荷物持ち君が出れば一方的な試合になってしまうことは間違いないが、流石にそこまで強いとは考えていないのだろう。
「賞金も出るなら、ミアも出ればいいじゃない。賞金貰ったようなものよ?」
とりあえず万能軟膏をジュリーの背中に薄くではあるが塗り終えたスティフィが、手に着いた万能軟膏の匂いを確かめながらそんなことを言った。
どうもスティフィはラダナ草の匂いに親近感を持ってしまっているようだ。苦みのあるような少しツンとする嫌な臭いながらもだ。
「荷物持ち君は流石に反則だと思うんですよね…… とりあえずジュリーさんのために薬湯温泉に行きましょうか」
ミアがそう言うとジュリーは申し訳なさそうにしている。
軟膏も今塗らずに薬湯に使った後でもよかったとも、今更ながらに思うが、ミアからすれば軟膏などまた作ればいいだけだ。
弱っているジュリーをそのままにしとく方が、ミアにとっては気が咎める。
そこで、今まで少し離れていて静観していたマーカスが動いた。
「この街の近くにある牧場の見学はできますか?」
道化のところまで近づいてきた、マーカスのその顔は何とも言えない表情を浮かべている。
今この場にいる人間の中でスティフィのみが、混浴と聞いた時から、マーカスがミアやジュリー以上にそわそわしだしたのに気づいている。
エリックとは違い妙に律儀なところもあるマーカスからすると、混浴はやはり気恥ずかしいのかもしれない。
スティフィはからかいたい欲求にかられるが、マーカスはオーケン大神官の使いでもある。それを考えると、やたらとからかうのもたばかられてしまう。
「できることはできますが、お勧めいたしませんね。ミア様の持っている券は一度この街を出ると効果を失ってしまいます。再度この街に入場には入場料がかかりますよ」
「あー、それは無理ですね、とてもじゃないですが払えません」
実のところ、学食で再販されたパンの売り上げを寄付しなければ何とかなる金額ではある。
ただジュダ神の社が完成し、パンの売上金がミアの手元に入ってきたとしてもミアはこのようなことには使わない。
その売り上げの大半はリッケルト村へに送金されることになるし、残りの金はミアが学院でよりよく学ぶ環境を作るために使われることになる。ミアはそういう人間だ。
「それは…… 残念ですね」
マーカスは観念したように、それでいて若干嬉しそうな、そんな曖昧な表情を浮かべた。
金額がどうの、という問題ではなくマーカスの中で理性と欲望が争っているのだろう。
スティフィからすれば滑稽な葛藤をしていると思うが、この男をデミアス教に引き込むのは割と簡単そうだとも判断する。一度欲望に浸してしまえばそのままずるずると引き込める。
それはオーケン大神官との取引に使えるかもしれない、そう考えるが、それと同時にオーケン大神官とは関わらないほうが身のためだということもスティフィには十分に分かっている。
なにせオーケン大神官の行動は全く読めない。マーカスをデミアス教に引き込みたいのかという事すら本当かどうかも疑わしいのだから。
「ふむふむ…… 牧場の見学というのはいかような理由からで?」
道化の方は少し疑問に思ったのか、マーカスに対してその理由を聞いた。
「動物が好きでしてね、どういった飼育をしているのかを近くで観察できればと。恐らくその農場では、珍しくバターやチーズと言った神与権利関連の物も作られているでしょうし、見て見たいと」
マーカスはバツが悪そうにそう答えたが、それはそれで嘘ではない。
本当のところは、嬉しくも気恥ずかしいこの場から一時逃げ出したいだけなのだろう。
そのことをわかってかわからないでか、道化はその化粧通りにニヤリと笑って見せた。
「ならば、海洋館をオススメいたします」
「海洋館?」
そう聞き返したのはマーカスではなくミアだった。
「海の生物の研究施設です。海の生物を近くで見れるようになれば更なる集客に繋がるのでは、と言うことで、その研究のために建てられた、いわば海洋生物の研究施設です。世界でも珍しい研究施設ですので面白いですよ。一般公開はしてないですが、私が一筆書けば見学くらいはできるでしょう」
「それはありがたい! ぜひとも!!」
と、マーカスが目を輝かせてそう言った。
この喜びに嘘が一変もなさそうなのは誰もが一目でわかった。
「えー、嫌よ、生き物を見て何が楽しいって言うのよ」
ただ単純にスティフィはつまらなさそう、と判断した。
人間の欲望を賛美するデミアス教徒であるスティフィからすると、他の生物など食料になるかならないか、利用できるかできないか、さもなくば愛玩用か、それくらいの感覚でしかない。
「なら、一人で行ってきます」
マーカスが強い意志を持ってそう言った。
女三人に男一人、その環境が思ったりも楽しくも大変だと言うことに、マーカスは今更ながらに実感している。
本来自由勝手気ままな性格なマーカスではあるが、この環境ではそれが発揮されることもなくマーカス自身もどうも堅苦しいと感じてはいる。
それとは別に、若く美しい異性がいる環境を楽しめていないわけでもない。その葛藤が更にマーカスを苦しめている。
「あっ、私もちょっと興味あります! 烏賊の生きている姿を見て見たいです」
ミアは昨日の昼食べた烏賊墨サァーナが衝撃的だったらしく烏賊という生物にどうも興味を持っているようだ。
「ミアが行くならついてくしかないけど……」
スティフィは少しつまらなそうにそう言ったが、まあ、ミアがいるのならそれはそれで楽しそうだとは思う。
ミアなら存分に心置きなくからかえるからだ。もちろんロロカカ神のことに触れなければだが。
「とりあえず今日はまず薬湯の湯へ行って、それから海洋館に見学へ行きましょう」
少し具合の悪そうなジュリーを見てミアはそう判断した。
日焼けが原因なら室内の方が良いだろう、という判断もある。
「はい、では一筆したためますね。お昼も海洋館で食べてみるのも面白いでしょう。研究者用の食堂で、まだ一般には出ていない開発中の料理も味わえますよ」
その言葉にミアが目を輝かせる。
そこでスティフィが、昼食を食べた後ずっと歯というか、口の中が真っ黒になっていたミアとジュリーのことを思い浮かべる。
「そう言えばミア、口の中の墨落ちたの?」
「まだ少しだけ残ってますが、もうほとんど落ちましたよ」
ミアはそう言って口を開いて見せた。
多少、黒く残っているが確かにほとんど落ちている。
「烏賊墨サァーナですか。あれは中々美味しい物ですが、確かに口の中が真っ黒になりますねぇ。しかもなかなか落ちないんですよね」
道化もそれに同意するように、頷いて見せる。
そして、書き終わった手紙を丁寧に空中で綺麗に折り、懐から出した封筒の中へと手馴れた手つきで入れた。
「はい、何度も歯を磨いたのに中々落ちませんでした…… 確かに美味しかったですが、食べる度に真っ黒になるのは困りますね」
「ではこれを、エレノアからだと言って海洋館の職員にでもお渡しください、見学できるようになるはずです」
封筒をミアに手渡して道化の姿の神官、エレノアはそう言った。
それ当時に部下に指示を飛ばし、羽織るような柔らかい生地の服を人数分持ってこさせた。
「あ、何から何までありがとうございます!」
それに対してミアは丁寧にお礼をし、頭を下げた。
「いえいえ、では今日もこの街を水着でお楽しみください」
「これが日焼けにも効くという薬湯の湯ですか」
思いのほか簡素、というよりは、海で遊んだあと気軽に入れるように、または海水を洗い流し日焼けなど対策にと、そう作られているのかもしれない。
昨日は気づけなかったが場所も海水浴場からすぐそばで宿からもかなり近い。
開けた作りで砂浜から直接入れるような作りにもなっている。一応周囲には囲いがあり周りからは見えないが、水着前提なのだろうか、囲いはあってないようなものだ。
「この匂い……」
独特のツンとした臭いなのに苦みを感じるような臭いは、薬湯でなにが使われているかすぐにわかる。
「間違いなくラダナ草は使われてますね」
ミアは自信ありげにそう言った。魔力の水薬を作るにも万能軟膏を作るにもお世話になっている雑草、もとい薬草だ。
「はぁ、やっぱり伝承ってあてにならないのね」
スティフィはミアの方を見ながらため息をつき、そんなことを言った。
「どうしたんですか、スティフィ?」
「ラダナ草が精霊を追い払うって話のやつよ。ミアの精霊は今もミアに引っ付いてるし」
そう言って、温泉に浸かりつつも鳥肌になっている右腕をスティフィはミアに見せて来た。
「そうなんですか? 自分ではいつついているのかいないのか、まるで分らないんですよね」
スティフィは周りを見渡す。周りには他の客はいない。
今いるのは、ミアとスティフィ、薬湯の湯に入るのに軟膏を塗られそれを洗い流しているジュリーとバツの悪そうに少し離れて位置でお湯に浸かっているマーカスだけだ。
薬湯の湯は少し白く濁った乳白色の湯で、ラダナ草の匂いをさせている。ラダナ草は雑草でもあるが立派な薬草でもあり、その薬としての効果は下手な薬草よりよっぽど高い。
その薬用成分は熱にも強いとのことで薬湯との相性もいいのだろう。
ただ匂いだけはやはりあまり良くはないが、海から上がった後の、潮の匂いを消すにはうってつけでもある。
「昨日の夜もミアのところに来てたわよ」
周りに誰も居ないのを確認してから、スティフィは昨夜のことをそれとなく伝える。
「え? そうなんですか。夜は基本的に荷物持ち君のところで休んでいるって、カール教授が言ってたんですが」
自分に精霊が憑いているかどうか、それはミアにも分からない。
普段は見えないし、何も感じれない。水晶眼でも持っていない限りはそれが普通だ。
スティフィのように恐怖からではあるが、それを感じとれてしまう方が異常なのだ。
「それと…… ミア、あなた、恐らくは外道種に狙われているんだと思うよ」
言うかどうか迷った挙句、スティフィはそれをミアに伝えた。
恐らく精霊の意図もそれなのだ。本人に外道種に狙われている、とそのことをミアに自覚して欲しかったのだろう。
狙われる理由もわかる。この停滞した世界が再び動き出すには、門の巫女の存在が不可欠で、更に世界が再び動き出す前には外道種の完全排除も必要となってくるという話だ。
その二つに何らかの因果関係があってもおかしくはない。
「な、なんですか、いきなりそんなこと」
しかし、急に言われたミアには、なんのことかわからないでいるようだ。
「昨夜、ミアの精霊が急に戻ってきて起こされたのよ。で、精霊が窓の外を見ろって感じで窓掛けを開けるもんだから、覗いてみたら海から何かが来てたわよ、恐らく、いえ、間違いなくあれは外道種ね」
そう言いながら、スティフィは今思い出してもあんなおかしな生物は外道種以外考えられない、と確信する。
「え? じゃあ、今日海に入れない原因って……」
「恐らくは昨夜のアレが原因ね」
荷物持ち君は死骸を海に投げ捨てていた。もしかするとその死骸が見つかるかもしれない。
そうなれば、滞在中に海で遊ぶことなどできやしないだろう。
騎士隊が呼ばれ調査が始まってしまうことになる。そうなっては海水浴どころの話ではない。
「で、その外道種はどうなったんですか?」
少し心配そうにミアは聞き返す。
外道種は共通の敵だ。恐らく意志を持っていないとされる木曜種の虫種以外、それ以外のすべての敵対者として存在する者達だ。
そんな者に狙われるとなると気分がいいものではないし、心配にもなるだろう。
「荷物持ち君が一撃で処理してたわよ。マーカス、あなたも見てたんでしょう?」
スティフィはそう言って少し離れたマーカスに声をかける。
するとすぐに返事が返ってくる。視線は向けてはないが聞き耳は立てていたのだろう。
「詳しくは見れてませんよ。窓から見ても真っ黒な景色しか見えませんし。逆に真夜中によくそんな鮮明に見えましたね」
それはそうだ。スティフィだって魔術を使い始めて知覚できたことだ。
それも精霊の意図があって初めて窓の外を見たに過ぎない。
さすがに何もない状態から、距離もあり、海から上がってくる存在に気づけるようなものではない。
「まあね、そういう訓練もしているから。じゃあ、あなたはなんで気づけたの?」
なら、なおさらマーカスがその存在に気づけた方が不思議ではあるが、スティフィには見当がついている。
額に刻まれた目の刺青。オーケン大神官のおかげなのだろう。
「額の目が痛んだんですよ、ズキズキと。で、なんとなく脳裏に、外を見ろ、という言葉が浮かんできたのでそれに従っただけですね。なので、俺自体は何も見ていないと言えば何も見てないんですよ。真っ暗でしたので。それでも痛みが引くまで窓際で夜空を見てはいましたが」
マーカスはそのせいで寝不足ですよ、とばかりに大きな欠伸をした。
「なら、オーケン大神官には既に伝わっているのね」
なら早めに耳達を使って、ダーウィック大神官様に伝えないと、とスティフィは思うが本来忠実である耳達もオーケン大神官が相手ではそう言う訳にもいかない。
ダーウィック大神官よりも、オーケン大神官の方が位が一つ上なので、デミアス教としては耳達の所業も正しい。そうなると伝える手段はスティフィ自身が直接伝えるしかない。
今無理に耳という名の連絡役達を使ったところで、オーケン大神官により握りつぶされるだけだろう。
「ジュリー、どうですか? 具合良くなりましたか?」
スティフィが難しい顔をしていると、直前に軟膏を塗ったため体を洗うのに手間取っていたジュリーが湯につかりに来ているところにミアが声をかけた。
「え、ええ、ちょっとしみはするけど、日焼けの痛みは消えたような気がします…… うぅ、すいません、私のために……」
と、ジュリーは相変わらず申し訳なさそうにしている。
どうせ今日は海に入れないのだから、こうやって温泉に浸かっていても何ら問題はない。
「いえ、温泉というのも悪くないですね」
そう言ってミアは両手で温泉をすくって、その匂いを嗅いでいる。
どんな物が使われているのか気になっているのかもしれない。
「こんなぬるま湯は本当の温泉じゃないわよ」
北の出身であるスティフィからすると、温泉は熱いもので、熱ければ熱いほど良い温泉だ、という固定観念がある。
なので、温泉としてはスティフィの評価は低い。
ただ休息と考えると、このぬるま湯もそう悪くはない。日頃の疲れがこの薬湯のぬるま湯に溶け出ていくような、いつまでも浸かっていたい様な、そんな感覚になる。
「だから、ぬるま湯温泉なんじゃないですか。それよりスティフィも肌白いのに全然日焼けしてないんですね」
ミアは温泉の成分を調べることに飽きたのか、今度はスティフィの白い肌を観察し始めた。
ジュリーの肌も白くはあるが、しっとりとして柔らかい感じがある。スティフィの肌は白く滑らかで艶やかだ。
どちらの肌が良いというわけではないが、スティフィの肌にはどこか違和感があるようにミアは感じる。
「まあ、私の肌は特別というか、そういった感じの物だからね」
スティフィは不透明な薬湯に体を沈めミアからの視線を逸らす。
スティフィの肌は作られた肌だ。男を誘惑し、篭絡させるための艶やかで傷一つない綺麗な白い肌。
そのために魔術で作り上げられたものだ。日焼けどころかそう簡単に火傷すら負わない。傷の治りも早く痕も残らない。
その分、体への負荷は高く、ガタが来るのは早い。
スティフィの色々と強化や改造が施された体は、普通の人間のように歳をとる前には寿命が来てしまう程度には無理な処置が色々と施されている。
二十代後半から急激に衰え始め、三十になるころにはスティフィの寿命は完全に尽きてしまうことだろう。
あと十年生きれれば良い方だろう。左手を失ったスティフィからすると今は簡単な任務だけを与えられた老後のようなものなのだ。
そのことをスティフィも理解している。
「そう言えば、狩り手でしたっけ? 危ないことをしてたのに怪我の痕もないですよね」
ミアの疑問はもっともだ。
「私は特に潜入が主な任務だったから。それに怪我しても見た目だけならどうにでもなるからね。傷跡なんて何も残らないわよ」
今は動かないスティフィの左手もそうだ。
一度は肘の辺りまで完全に失われていたものも、形だけは、その見た目だけは、正常に再生されているように見える。
普段は何も感じない左手だが、動かそうとすると耐えがたい激痛が走る。それでもスティフィの左手、特に肘から先は動くことはない。
「え、その腕前で潜入が主なんですが、やっぱり恐ろしいところなんですねぇ」
少し離れて話を聞いていたマーカスが驚いて声を上げた。
剣を交えたどころか、対峙しただけでスティフィの凄みを感じとれたマーカスからすると、突撃部隊か何かにいたと言われても信じられる方だ。
「そうは言うけど、昨日会った姫様の護衛の連中の方が私よりよっぽど強そうよ、何あの連中」
スティフィの見立てでは、この領地有数の、いや、恐らくは最高峰の戦士たちだ。領主の懐刀と言っても申し分ない。しかも七人全員がだ。
流石に領主の娘だとしても、全員がその護衛だとは考えれないほどだ。
何らかの任務があったと考えるのが普通だが、領主の娘もその護衛達もしっかりと水着ではあった。案外休暇中だったのかもしれない。
「そんな強い人達だったんですか?」
ミアが首をかしげて聞いてきた。
「ええ、姫の護衛とはいえおかしいわよ。過剰すぎるんじゃないのかしら? ミアにわかりやすく言うと、学院の教授達が七人ついているようなものよ」
スティフィからすると、ミアに対していい例えだったと思ったがミアにはちゃんと伝わらなかったようだ。
「フーベルト教授七人ですか…… 話し出すと止まりそうにないですね、しかも早口です」
普段ミアがフーベルト教授をどう思っているかわかる発言だ。
いや、仲が良くなったからこそ、言える軽口なのだろうが。
ただジュリーのツボにははまったようだ。
「ちょ、ちょっとミアさん、わ、笑わせないで……」
ジュリーはこらえる様に笑い、湯を波立たせている。
「フーベルトさん、今は教授でしたか、あの人はあれで結構動ける人ですよ。そもそも一人で神に会いに行くような人物ですよ? あれで常人にはない度胸も腕もある人ですよ」
フーベルト教授を擁護するようにマーカスが口を開いた。
「そうね、ミアが想像しているよりは、動ける人間ね」
マーカスの意見にスティフィも同意する。
魔術学院の教授としては確かにまだ頼りない一面はあるが、数々の神に会いに行き、未だに健在であることは、その知識と知恵、そして生存能力は本物であることは間違いはない。
「そうなんですか? 色々物知りなんで学者のような人だと思い込んでました。もちろん、とても優秀でいい人だとは思ってますよ!」
ミアの中では、どちらかというと研究室に篭りっきりで本を読んでいる印象が強い。が、実際は現地での実態に即した調査と研究をフーベルト教授は得意としている。
ただ魔術学院の教授となった今では、そう言った長期間学院から離れることとなる調査などは中々できない環境でこもりがちなだけだ。
「それも間違いじゃないですよ。けれど、その知識は広く、ところどころに深い。教授になれたのも納得です」
マーカスはそう言って、その言葉に間違いはないと頷いて見せた。
「あら、随分と褒めるのね?」
スティフィがそう聞くと、ここ最近、水着姿のスティフィに視線を送らなかったマーカスがしっかりと視線を向けて答えた。
「訓練生の時、助教授のフーベルトさんに神術学を教わっていましたからね。騎士隊のように多種多様な神を信仰している人間の集団となると、フーベルト教授のような人でないと対応しきれないですよ」
騎士隊はいろんな人種の集まりからなる。どの領地の出身で、どの神を信仰していたかなどは些細な問題だ。
騎士隊の目的は、絶対的な敵である外道種の討滅なのだから。
ただそう言った集まりともなると、一言に魔術を教えると言っても簡単なことではない。
神の力を使う神術学ともなると、その神、一柱一柱により作法も様式もまるで異なってくるのだから。
それを教える方ともなると、その知識は膨大な物を要求される。
「まあ、確かに。騎士隊の訓練生相手には適任の人材よね。ほぼ知られていないような神様のこともちゃんと知ってるし」
フーベルト教授が騎士隊の神術学を教えている以前は、ウオールド教授が教鞭をとっていたが、ウオールド教授はリグレスの大いなる海の渦教団の神官長も兼任している。
何かと呼び出されることも多いため、多忙を極めていた。フーベルトが教授の職に就くことは、副学院長でもあるウオールド教授のたってからの願いでもあったほどだ。
「そうなんですね、なんか物知りで人のいい新任教授と思っていました」
正直なところのミアのフーベルト教授への印象だった。
それと口には出さないが、やたらとロロカカ様のことを聞いてくる良い人、という印象だった。ただ感極まると凄い勢いで早口で一方的に語りだす、という印象は持っている。
何かと手助けしてくれているので、ミアからすると悪い印象はまるでない。
ただ親しくなっただけにちょっとした冗談で言ってしまったというところはある。それはミアの気を許している証拠でもある。
「まあ、それも間違いじゃないけどね。今思うと魔術具作成も色々しているみたいだけど、あれはサリー教授の影響だったのね」
購買部にもフーベルト教授が考案した商品がいくつか売られている。
神の研究が主なフーベルト教授からするとおかしな話ではある。それも魔術具造りが得意なサリー教授の影響と考えると不思議ではない。
「ああ、そう言えばそうですね、驚きですね。来年にはあの二人が結婚ですよ」
その言葉にスティフィが鋭く反応し、ニヤリと笑う。
「ミア、あんたよくそんな婚約中のフーベルト教授の家まで押しかけてて何も気づかなかったの? それにそんなことして、サリー教授に睨まれたりだとかしてないの?」
スティフィからすると恐ろしい話だ。サリー教授もサリー教授でスティフィにもその気配を悟られないほどの相手だ。なによりあのオーケン大神官の娘でもある。
怒らせでもしたらただでは済まされないはずだが、なぜかサリー教授はミアに好意的に接している。
度々婚約者の家に押しかけて来る小娘を彼女はどう考えているのだろうか。
とはいえ、フーベルト教授はミアを未知の神の巫女、要は研究対象としか見てはいないので心配もないのだろう。
「サリー教授も私に良くしてくれますよ。よくよく考えると色々と不味かったのかもしれないですね、これからは気を付けるようにします」
今更ながらにミアも気づいたらしくそう言って、薬湯の湯に顔半分まで沈んでいった。
誤字脱字は山のようにあるかと思います。
指摘して頂ければ幸いです。
少なくとも私は助かります。
大体8~10話くらいで一つの話を区切りたかったんですが、この話はもう少し長くなりそう…… かな?
次の更新もおそらくこっちです。
もう一つの方もちょくちょく書き溜め始めてはいるんだけど、中々進んでません……




