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初めての異世界探索:頼りの武器はバックパック?  作者: サトウ トール
第四章 光る要塞 第一節 聖女覚醒
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第八十五話 イルメハの迷宮のストリートチルドレン

 翌朝、ホテルの三階プライベートレストランでケイトと朝食を取る。卵料理が中心で、野菜たっぷりのスープを頂く。ケイトも、日頃の悩みや心配事を俺に話すことによって、ストレスを解消できたようだ。ケイトは今日も元気だ。




 さて、そろそろ、クロエとイーサンを送り出す準備が整った頃だろう。コザニ大聖堂の女神像に礼拝したあと、俺はイルメハの迷宮に移動して、二人の準備の様子を伺う。アンジーさんが、「あれも持っていきなさい。これも持っていきなさい。」と姦しい。お姉さまをお嫁に送り出す、実家の妹化してしまったようだ。




 イルメハの迷宮内では、胡椒栽培が中心的な産業。大規模農場化している。女性奴隷とストリートチルドレンが働き手として活動している。他には、干し肉・燻製・腸詰加工などの食肉加工、そして、お酒の醸造はビールの醸造がメイン。マルーン帝国北部でホップの栽培が盛んだったのだ。マルーン帝国産は香りが良い。そして、イルメハの迷宮領域内でも発見。こちらは、ビターな味わい。数種類のビール醸造が可能となった。




 そして、イルメハの迷宮前のフィッタの町――もはや、農村という規模ではなくなった――では、ジャガイモ料理が人気だ。ハッシュドポテト、ポテトサラダ、野菜たっぷりのポトフやミネストローネなどのスープ。ジャガイモはチーズ、黒コショウ、そしてひき肉との相性が抜群だ。ポタージュなんかもおいしい。ベーコンとオリーブオイルで炒めてもよし。そして何より、冷えたビールに合う。いつでも冷えた生ビールが味わえるよう、フィッタの町の食堂にはビールサーバーを設置した。




 今回、クロエにはこのビールサーバーも持たせることにしよう。南部でのビール消費拡大にも貢献してもらおう。荷馬車に急遽積み込む荷物を増やしてしまう。マジックバッグの開発が大きな課題か。こうして、四の月の下旬のある日、クロエとイーサンは、イルメハの迷宮南門から、俺とアンジーさんから多くの荷物を詰め込まれた新型馬車と屈強な馬車馬たちを連れて、新居へと向かった。




 その後ろを、イーサンの後任商人のスコットブラザーズ商会セドリックが、大型馬車を引いて続く。辛口白ブドウ酒樽を満載してきた大型馬車は、帰りにはブランデーとウィスキー樽、ビール樽そして魔石を満載して領都セオギンに向かう。







 イルメハの迷宮の産業を支えるのは、奴隷たちとストリートチルドレン。皆迷宮内の宿舎で寝泊まり、食事、入浴をしている。その宿舎の面倒をみているのも奴隷たち。マインアート男爵の領都イルメハの町経由で、アーレフ侯爵の領都セオギンまで、約千二百五十キロの石畳街道が敷設された影響が大きく、街道沿いのストリートチルドレンが大勢集められた。




 奴隷達と違って、スキルを持たないストリートチルドレンは、イルメハの迷宮の産業の下働きが中心だ。胡椒栽培の手伝い、干し肉・燻製・腸詰加工など食肉加工の手伝い、そして、調理、厨房の手伝い、スコットブラザーズ商会との取引窓口業務などがある。が、中にはスキルを取得したり、魔力を使えるようになったりする子たちも出てきた。




 イルメハの迷宮には、十二歳以上の冒険者ギルドに登録できるメンバーはいない。十一歳のメンバーは六人、十歳以下も十数人が活動している。そのため迷宮の浅いところに、コザニの初心者冒険者向けトレーニング地域のように、ゴブリン地帯と魔力の泉地帯を設け、訓練を重ねている。また、地下一階の宿舎では、食事のあとに読み、書き、計算を勉強させている。




 十一歳は、ギルド登録はできないものの、ゴブリン討伐に同行し、その恐怖を克服してきている。泉から魔力水を汲んでくるポーターとして活動中だ。そして討伐経験値の獲得も頑張っている。これがスキル取得や魔力発動のきっかけになったのでは、と推察している。十歳、九歳のメンバーは、迷宮産業のお手伝いができるようになった。




 今回、スキル取得が判明したのは、十一歳の男の子五人、ヴィルヘルム、フリードリヒ、デオドール、クルト、メイナード。皆、計算スキルを取得した。ここに、イルメハ大聖堂が完成し、付帯宿泊施設ができたので、そちらの手伝いが中心となった。そして十一歳の女の子アイラ。火属性使い。クロエの後任として育成したいものだ。




 十一歳の六人に限らず、ストリートチルドレンには、身体強化を取得させようとしている。既に十一歳の六人は取得済み。やはり、身体強化がキーポイントなのだろう。さて、アイラには、反発板を準備し、飛行の準備を始める。器用にバランスを取り、程なくして安定して乗りこなす姿は、航空魔導部隊のメンバーに引けをとらない育ち方だろう。あと、一カ月もすれば、大空を飛び回っているのだろうな。




 そうなれば、アンジーさんに預けて、育成をお任せしてしまおう。後から慌てないように、モクバ高機動型の準備をしておこうか。あるいは、クロエの使っていた愛機、モクバ・プロトタイプを改修しておこうか。




 夜には、イルメハの迷宮にいるクランメンバーたちと晩御飯を食べて、アンジーさんと部隊の様子について確認しておく。先日ようやく合流した新メンバーたち四人、土属性使いのアマリア、水属性使いのローランド、風属性使いのマルティン、水属性使いのカルメロの様子を伺う。皆と一緒に食事を採る様子は、もう部隊に溶け込んでいる模様。まだ、飛行訓練が中心のようだが、まもなく実弾射撃訓練にも加わらせるようだ。クロエの抜けた穴はしっかりと埋まるようで何よりだ。


 アンジー:クロネコ商会クランの三人娘の一人。ホワイトベージュの髪色、ゆるパーロングの髪型。細面で瞳は薄いブルー。切れ長の目元。将来クールビューティになるであろう涼しげな雰囲気をもつ顔立ち。武器は、魔法杖とモクバ・プロトタイプ。

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