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初めての異世界探索:頼りの武器はバックパック?  作者: サトウ トール
第四章 光る要塞 第一節 聖女覚醒
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第八十四話 コザニの町の教会設立

 その夜、再度夢の中にお告げがあった。回復と治癒の女神エイルさまが夢の中に降臨された。しかも、驚いたことにララアさんも同じ夢を見ていた。女神エイルさまが彼女の夢の中にも降臨されたのか、あるいは俺の夢をのぞき見していたのか。多分、後者か。




 さて、お告げの中身は、コザニの町にも教会を建てなさいとのことだ。翌日早々に、コザニ大聖堂の建立に着手する。再度、ゴシック様式のきらびやかな教会をイメージしながらも、荘厳な様式を保ちつつ、教会を組み上げていく。天井の高さと光を追求し、色鮮やかなステンドグラスの入った窓が特徴的。光は神の化身と考えられ、光の属性魔法使いが有用される。二度目なので半日仕事だ。場所はコザニの迷宮の隣。




 大聖堂完成後、俺はララアさんとケイトを伴って、女神エイル像に祈念する。ご神託のあと、眼を開ければ、そこには見目麗しい男性の魔族が一人、俺を見て柔らかい会釈をする。




「俺はトール。この迷宮のダンジョンマスターだ。よろしく。」

 エイルさまが授けてくださった彼に挨拶をする。


「私は、ムゥと申します。ラファエルさまの元で、人々への癒しと正義の美徳を司るお手伝いを致しました。この度は、女神エイルさまの元、コザニ大聖堂の司教を拝命いたしました。宜しくお願い致します。」

 見目麗しい男性の魔族が柔らかい物腰で挨拶を返してくる。


「その手腕、この教会でも発揮してくれることを期待する。」

 おれは、彼の瞳を注視しながら、期待の言葉を掛ける。


「それとサブマスターのストライクとも、よろしくお願いする。」


「また、これだけの大聖堂となると多くの執務者やシスターなどの人員が必要となるだろう。それらについては、つつがなく進めて欲しい。」

 そう発言したところだったが、既に数人のシスターが、役務をこなしていた。




 ――ムゥ司教も仕事が早い。




 俺は、隣のララアさんに顔を合わせる。彼女は、にっこりと微笑みを返してくる。




 ――光属性使いについては、何の心配も要りませんよ。




 とでも言いたげな様子だ。そうか、昨日のことはこの件なのか。俺はその足で、コザニの町の中央にある男爵邸へと向かう。コザニ大聖堂完成の報告を行うのだ。女神エイルさまの降臨も話しをしなくてはならない。北門から中央へはメインストリートの石畳が続く。先日一大セレモニーを行った中央公園を通り抜け、男爵邸に向かう。石門の前で長槍を装備した衛兵が出迎える。




「クロネコ商会のトールだ。約束はないが、カーター男爵へのお目通りを乞う。」

 と、俺はワントーン低い声で名乗る。


「暫し、お待ちを。」

 と、衛兵から一言、返事が返ってくる。


 石門を通り、衛兵の一人が中へ確認に走る。まもなく執事が石門まで出迎えてくれる。


「トール様、ようこそいらっしゃいました。あいにくと男爵様は留守をしております。」

 恭しく、執事が頭を下げる。


「それでは、伝言をお願いしたい。コザニの迷宮横に、教会を作った。女神エイルさまをお祭りする大聖堂だ。それと、いずれは聖女様が誕生なさる予定がある。以上、よろしく頼む。」

 俺は、一礼し、手土産のブランデーとウィスキー樽を置いて石門を後にする。




 迷宮に戻ると、隣のコザニ大聖堂には、既に多くの礼拝者が訪れていた。そして、下働きのものも含めて多くの教会関係者が既に仕事に従事していた。




 ――うん、どこかで既に見た光景だ。




 コザニの迷宮に戻った俺は、クロネコ商会の事務所にケイトを訪ねる。クロネコ商会本部の二階にあるレストランやフードコートは、お客様で適度に賑わっている。コザニの迷宮牧場の主力となったウシ牧場がフル稼働している。ウシ鍋、ウシスキ、ウシしゃぶ、ウシステーキそしてウシシチューにローストビーフ。そして何よりもバターがいい仕事をしている。ソースの種類もさまざま増えている。事務所で紅茶を頂きながら、ケイトとウシ牧場、そして山羊牧場について話しをする。両方ともすでに大規模牧場化している。それぞれ、単独でいち階層を占有している状況だ。




 次に、綿花農場の様子を伺う。綿花の栽培、紡績、製糸、機織り、生地づくり、漂白、染色、デザイン、型紙、縫製など様々な工程を持つ綿花農場。もはや工場か。迷宮内農園の強みを十分に活かし、魔の大森林産の腐葉土を肥料に使い、安定した生産量、品質を産み出している。課題としては、紡績――綿糸を紡ぐ(紡糸)――工程が弱く、織布――綿糸で布を織る――工程が待ち時間が発生しているようだ。今は、人員や数量の調整で凌いでいるが、今後の大量生産、大量流通を考えると、新型の紡績機械の導入が待たれる。




 続いては、三人の山羊魔族カーマ、アーマ、ユーマが仕切っているホテル、レストラン部門。ホテルは以前五階建てだったが増設し十階建てになっている。増設階は全て客室、最上階はインペリアル・スイートが二部屋、プライベート・ジャグジーバス付。地下一階にあった二か所の大浴場は、温泉化。ご婦人方の大好きな効能、『肩こり・疲労回復』、『美肌』、『冷え性改善』に効果がある。また、『傷の回復』は冒険者に支持されている効能だ。さらに、三階層はゲストルームを大改装し、個室のレストランとした。温泉の泉質以外で、充実したグルメを提供できる強み。更に、日頃の喧騒を忘れさせてくれる大自然に囲まれた高層階。これが、人気を呼び、予約三カ月待ちの温泉ホテルと化している。冬場でもお客さまが途切れることはなかった。




 また、冒険者向けには低階層の別館を建設。敷地を広く、大きくとり三階層までのゲストルームと地下一家には大浴場を二か所、シャワールームを十数か所設ける。迷宮の入り口が地下一階にあることから、そこからそれほど移動せずとも、ベッドルームに入れる。こちらも連日にぎわっている。




 この部門は、人員の育成が課題だ。レストランの給仕、下膳、洗い物、厨房の手伝い、芋の皮むき、ゲストルームの清掃、洗濯、廊下・便所の掃除、資材の倉庫管理、さらにはコンシェルジュの手伝いなど仕事は山積みだ。今は、主にストリートチルドレンが働いている。クロネコ商会への合流という形ではなく、仕事を依頼するということで、通いでホテル業務に従事している。ララアさんがリクルートしてくるが、その人数は、どれくらいいるのか俺にはわからない。ケイトが全部仕切っている。




 続いて、最近力を入れている小麦粉の製粉事業について話しをする。品質の良いマルーン帝国産の小麦を入手してからは、最高品質の小麦粉から、多少質の届かないものまで、商品を取りそろえて、卸売市場に供給している。製粉大手工場としての地位を築きつつある状況だ。




 この小麦粉から焼いた白パンは、既に安定した品質のものとなって流通している。山羊やウシのミルクとバターに様々なベリーのジャムを添えて、朝食の主流になれば更に小麦粉の消費は伸びるだろう。他にも、焼きものや麵ものなど需要はさまざまだ。




 ケイトの活躍の場は、多種多様だ。クロネコ商会の中心メンバーは六人。ケイトとマーカスを中心に、男性ではロベルトとジャレット、女性ではベナサールとセニュー。もっと人材が欲しいところだ。今後の課題。


 ケイト:クロネコ商会クランの三人娘の一人。商才スキルに溢れた子。ピンクブラウンの髪、丸みのあるショートカットに、サイドを少し長めに残し、ボーイッシュになりすぎないスタイル。淡いブルーの瞳に長い目尻。小柄で少し丸めの顔。眼鏡が似合う女の子。

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