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初めての異世界探索:頼りの武器はバックパック?  作者: サトウ トール
第四章 光る要塞 第一節 聖女覚醒
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第八十三話 次世代候補のストリートチルドレン

 黒い森の迷宮で、鉱物資源の採掘を行ってきた翌日、俺はローテーションをしっかりと守って、コザニの町へと入る。今はまだ、イルメハの拠点にいるクロエとイーサンの二人が出発するまであと数日あるはず。ここコザニの拠点には俺の錬金釜がある。そして魔道具部屋がある。魔導給湯器や魔導冷蔵庫、保湿チルド庫、魔導調理場、魔導石臼、大型給湯タンク、バストイレ、洗顔洗面台などをバックパックに搭載していく。それと、手作り石けん、シャンプー、リンス、ヘアスタイリング剤などの生活用品。衣類、綿反物、生理用品なども積み込む。彼らが故郷の新居に到着したらお届けにお邪魔するつもりだ。




 ボーキサイトのほかに、亜鉛、マグネシウムなどの鉱物の在庫を使ってジュラルミン合金を錬金していく。クロエの使っていたモクバ・プロトタイプは、今後の彼女の生活には必要ないものだ。置いて行ってもらおう。が、今使っている魔法杖は持たせよう。それと護身用の結界一式をレベルアップした結界二式を持たせよう。光の魔石に結界発動の仕組みを組み込み、万が一の時には、その結界が彼女を守ってくれるように。




 ――クロエ、お幸せに。

 俺は、光の魔石に魔法陣を刻み、周りをジュラルミン合金製の枠で縁取っていく。







 その後、大浴場に向かい、手作り石けん、シャンプー、リンス、ヘアスタイリング剤などを補充。ララアさんの備品置き場に向かい、衣類、綿反物、生理用品などを補充。ララアさんのいるキッチンに回り、冷蔵庫、保管庫の中の食材を補填してまわる。魔石への魔力充填をしてまわる。大食堂にまわり、ララアさんの淹れてくれる紅茶を待つ。




 突然、何かいるはずのないものがいる違和感に戸惑う。大食堂には、次世代候補のストリートチルドレンが十数人、食事を終え、勉強している。彼らに何かを感じたのだろうか? 集中して勉強している子、隣の子にちょっかいを出す子、姦しくお喋りする子、お腹が満ちて眠くなっている子など様々だ。ララアさんの助手であるマルガとマリアが優しい眼差しで、勉強を見ている。




 ――どうもしっくりこない。何かが引っ掛かっている。




「ふふっ。お待たせしました。」

 ララアさんが含み笑いを湛えて、お茶を届けてくれる。


「ララアさん、何かあったの? 」

 俺は直球でララアさんに臨む。彼女との間には、駆け引きはできない。まあ、俺から彼女には、できないというだけなのだが。なにせ、俺の心は彼女に筒抜けなのだ。


「まだお話できません。その時が来ましたら。」

 彼女は、勉強をしているストリートチルドレンを見渡し、俺にヒントをくれる。




 ――そうか、新しい才能か。ララアさんの領分だな。




 俺は、違和感が危険なものではないと理解し、ホッと安心。美味しい紅茶を頂く。


「トール、今日は牛スキにしましょう。薄切り肉を十キロほどお願いね。」

 ララアさんが、晩御飯に腕を振るってくれるらしい。頬がニヤけている。あるいは、俺に内緒ごとが本当に楽しいのだろう。マルガとマリアが手を合わせて、静かに喜んでいる。


「了解した。お茶の後に準備するよ。誰かヘルプをお願い。」

 すかさず、マルガとマリアが、すき焼き用の牛肉スライスをキッチンで準備する段取りに入る。俺は、まだ紅茶を頂きながら、ララアさんとクランメンバーの状況を一人ずつ、話しあっていく。彼女が気になっていることについて話あっていく。







 牛肉の薄切りを十キロ分スライスして、マルガとマリアに後処理をお任せし、俺は拠点の各寝室に設置してあるベッドを見廻る。壊れている箇所はないかチェックしながら、羽毛掛布団、毛皮シーツ、敷布団を殺菌消毒していく。布団の打ち直し等はまだ必要ないようだ。




 続いて、拠点の天井、外壁を見て回る。異常はないようだ。更にその外周を取り囲むように張ってあるテントの間を見て回る。三十張りくらいは、あるだろうか。ジャッジメントのヤマネコたちが留守を巡回している。留守番の子たちは今大食堂で勉強中。なるほど、ララアさんの目が行き届いているようだ。そう言えば、大食堂で勉強していた子達も、やせっぽちの子はいなかったな。




 マイクたちはまだ稼働中のようで、帰還するまでには時間があるようだ。錬金スキルもちのサキも今日は討伐部隊に同行し、レベル上げをしている。様子はどうだろうか。先ほど錬金部屋で彼女の作成したHP回復薬や精油などを見て回ったが、まずまず成長しているようだ。さて、大浴場を独り占めして、のんびりと汗を流そうか。







 晩御飯の後、マイクとレイと今日の討伐の様子を確認する。パウルに妹のエマの様子を話して聞かせる。エマは、モクバ乗りに成長し、イルメハの拠点で活動中だ。兄妹バラバラだが仕方ない。錬金スキル持ちのサキのレベルについて確認しておく。明日からの錬金の準備を手伝う。




 夜、ララアさんと宿舎で、大陸横断鉄道の構想について話しをする。鉄道といってもピンと来ていない様子。コンテナによる大量輸送の可能性について話し合う。




 こうして、俺の何も珍しくない一日が終わる。家族たちとの大切な時間を大いに堪能できた。こうした一日を大切にしていきたい。ララアさんのブルーの瞳に、良い未来が見えていることを祈ろう。


 ララア:クロネコ商会クランの三人娘の一人。ダークブロンド、ブルーとグレーのオッドアイ。小柄で眉尻の少し下がった細面の顔、その身のこなしはしなやかで、猫のような雰囲気を感じさせる女の子。ブルーアイは実は魔眼。

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