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初めての異世界探索:頼りの武器はバックパック?  作者: サトウ トール
第三章 新型 第四節 一年の締めくくり
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第七十六話 その機会は、ある日突然

 次の日、コザニの拠点で朝食を終え、俺はイルメハの拠点へと向かった。三か所の拠点をコザニは二日間、イルメハと黒い森の拠点は一日ずつと、四日間で一周する行程がほぼ繰り返されている。




 何を言いたいかというと、俺の休日はどこにいった?




 違った! イルメハの拠点で、スコットブラザーズ商会のイーサンとクロエが俺を待っていた。ララアさんから、ダンジョンコア間通信が入っていたかも知れない。




 クロエはもう待ちくたびれた様子で、ニコニコしている。ショートカットから少し髪を伸ばし始めたのかな? イーサンは緊張気味だ。




 用件は直ぐに分かった。クロエとの結婚の申し込みだ。そう言えば、以前からアンジーさんが二人の様子を教えてくれていたっけ。イルメハの迷宮南門で、仲睦まじい様子だそうで。ララアさんはこれを知っていたか。




 まあ、魔眼持ちだしね。ララアさんに隠し事はできません。




 クロエが同席なので、商売の話しは抜きにして、

「さあ、どうぞ。お二人そろって、今日のお話は? 」

 二人とも緊張しているだろうから、こちらから誘導してあげよう。俺の頭の中では、B〇uno M〇rs の “M〇rry You”が鳴り始めた。




「お父さん、クロエさんを俺にください。」

 イーサンが、一生懸命クロエを褒める。クロエは顔を真っ赤にして、でもニコニコしてその話しを聞いているし。そうか、俺はクロエの父という立ち位置か。俺の許可が必要なのだな。




「はい、よろしくお願いします。俺もイーサンを家族に迎えられてうれしいよ。それで、イーサン。今後の生活は、どう考えているの? 」

 はい、お父さんは賛成ですよ。でも、生活基盤はしっかりと確認させて下さいね。




「スコットブラザーズ商会からは独立して、故郷の町で商人として生計を立てるつもりです。故郷の町は王都の南部方面にあります。」

 遠い目をして、イーサンがしっかりと自分の考えを伝えてくる。




「そうか。クロネコ商会に入って、その手腕を振るってみるつもりはないかい?」

 俺は、甘い罠を見せて、揺さぶってみる。意地悪だったかな? でも、これはケイトの分!




「いえ、故郷に戻るのが自分の目標ですので。それに自分の力を試してみたいのです。」

 うん、意思は固いようだね。何よりだ。




「それで、自分の目標のためにクロエを連れていくと。」

 更に、意地悪を重ねてみる。クロエが少し目を見開き、睨んだ。でもこれはララアの分!




「一緒に商人の妻として歩んでほしい。クロエさんと二人ならどんな困難も乗り越えられます。」

 イーサン、イケメンだね。クロエが惚れる訳だわ。




「クロエは、獄炎の魔導士なんだけど……。」

 これは、アンジーの分!




「申し訳ございません。」

 うん、素直な好青年だ。気持ちよいくらいだね。この辺で解放してあげよう。




 ――というか、最初に認めているじゃん!




「クロエは、どうしたいのかな? 」

 ヒロインさんのご機嫌も伺う。




 ――クロエは、ニコニコ笑顔に戻ってるし




「はい、聞くまでもなかったかな。」




「では、最初に戻って、お二人さんおめでどう。イーサン、クロエのことをよろしくお願いします。」




「はい。」

 イーサンも落ち着いたようで何よりです。




「が、直ぐにはお嫁には出せません。」




「えぇ~」

 ついさっきまでニコニコ笑顔のクロエが、今日初めて声を出す。




「クロエさん? お母さんが、花嫁修業を切望されております。三カ月間、ララアさんとケイトさんのところで修行です。」




「なに、ほんの少しの間です。離れ離れにはなりますが、頑張りましょう。」




「四月の季節の良い頃に、花嫁披露をしましょう。みんなにクロエのキレイな花嫁姿を見てもらいたいからね。」

 クロエの顔がパッと華やぎ、眼をキラキラさせている。さて、それまで準備が間に合うのかな?







 ――どこの馬の骨か分からん奴に、大事な娘はやれない。



 一度行ってみたかったセリフはお預けとなった。







 ――夢みたいな毎日、二人でいれば上手くいくよ


 ――手と手を取り合って、暖かい家庭を築いていこう


 ――君の素敵な笑顔があれば、頑張れるさ


 ――君と二人で描く未来図、この世界で一つだけの愛を誓うよ


 ――僕と、結婚してくれるかい?




 さあ、エンゲージリングを作ってあげましょう。あとみんな! ダンスの練習あるからね。




 Surprise Proposalと結婚披露はこの世界でも流行らせよう!







 この日、俺はイーサンと今後三カ月間の予定を打ち合わせ、甘い二人をアンジーさんに任せて、エンゲージリングの構想に入る。




 初めて出会った頃は、十四人のストリートチルドレンをまとめていたクロエ。ただ一人十二歳ということで、冒険者ギルドで三カ月間の基礎訓練を受け、ダンジョンに向かおうとしていたクロエ。みんな君の背中を見てきたんだよ。




 空腹が恐ろしかっただろう。魔物が怖かっただろう。みんなにご飯を手渡せて、ほっとしていた君の笑顔が忘れられない。柔らかいパン、温かい食事、やわらかいベッド、みんなが一緒に暮らせることを、とても喜んでいたね。




 たった二年前のことなのに、もう君はお嫁に行ってしまうんだね。俺は、本当の君のお父さんになれただろうか。最年長の君に甘えていただけかもしれない。




 あの悪夢を乗り越えたクロエには、本当に幸せになって欲しい。そしてサプライズに驚いてくれ!




 材質はプラチナそして四Cのダイヤモンド。デザインは、一番輝きを導きだしてくれるティファニー六本爪セッティングでいこう。オートメンテナンスとオートジャストフィットを掛けておこう。




 そして、大事なことだが、五本作るのだよ。クロエの分と、俺が使う分とね。


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