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初めての異世界探索:頼りの武器はバックパック?  作者: サトウ トール
第三章 新型 第四節 一年の締めくくり
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第七十四話 新年の十二歳

 十二歳。前の世界ならば小学校六年生か。日暮れまで遊んでいた記憶しかない。クロネコ商会では、この新年に十二歳になったストリートチルドレンは、十二人。重戦士マイク、斥候レイ、タンクのオリバー、剣士トミーの期待の四人。マイクやオリバーは大分しっかりとした体躯、骨格となっている。この四人は既に一人前の冒険者だ。



 土属性魔法使いのアマリア、水属性魔法使いのローランド。二人ともモクバ使いだ。特に土属性魔法使いのアマリアには、これから石畳舗装で尽力してもらおう。アンジーさんが、早くイルメハの迷宮に連れて来いと、催促が五月蠅い。



 ハンマー使いのエレオノール、槍使いのバルテル。二人もDランクの実力は備えている。特にハンマー使いの女の子、エレオノールは、うちのギルドでは初めてのハンマー使いだ。編制をどうしたらよいのだろうか。



 あとの四人は、生活魔法の使えるマルガ、錬金術のスキルをもつサキ、商会向きのロベルト、そして鍛冶師のアレクシス。マルガは、ララアのお手伝いで、ロベルトは、ケイトのお手伝いだ。アレクシスは、鍛冶スキルを持つ奴隷たちのもとで見習い中。



 そして、ようやくスキルが生えたサキ。待望の錬金術スキルだ。まずはHP回復薬から訓練中。なんとか仕上がって欲しい。魔力把握、循環そして身体強化からだ。俺は彼女の両手をもち、魔力を流して、体中を循環させていく。魔力はスムーズに流れているだろうか。どこか引っ掛かるところはないか。滞って澱んでいるところはないだろうか。



 魔力水、薬草、キノコを準備する。以前通った既に身に染みている道だ。並行してガラス瓶の製造も進めていこう。こうして数をこなして促成栽培を進めていく。ほかにも洗濯石鹸とか、ミント、ラベンダー、レモングラスの精油から始めようか。鉄鉱石のインゴットなどもね。



 冒険者登録しない四人も魔物狩りには連れて行っている。魔力水準や量の確保には、レベル上げが必要だ。




 こうしてこの日は、上記十二人の様子を確認しながら、うち八人を冒険者ギルド登録のためにコザニの町に出かける。途中、露店市場で、材料や資材の仕入れ、仕込みに励む。衣服の出店が増えたように感じる。麻、亜麻、木綿など様々な素材の衣服が流通しだしたようだ。また、染料などの技術が伸びてくれば、色とりどりの衣服が市場を彩ることだろう。




 コザニの拠点がまた狭くなってきている。どうしても、ストリートチルドレンが増える。もう、名前と顔が一致しない。全てはララアさんに任せてあるが、部屋数を増やせないので、一人部屋を使っていた俺は、ララアさんとの相部屋となってしまった。




 何故だろう。




 そんなことはお構いなしに、ララアさんから爆弾発言が投下される。小麦の製粉業務に目途が立って、ホクホクとして帰宅した俺を、ララアさんが部屋で待っていた。



「クロエが、トールに大事な話しがあるそうです。」

 暖かいお茶を差し入れながら、そう声を掛けてくる。



「えっ?何だろうか。この前、お腹の具合はアマンダにも診てもらったが、正常に機能していたよ。何ら問題はないって。」

 ララアさんの淹れてくれるお茶は、ホッとする味わいだ。一日の疲れが取れる。



「そのことではないです。」

 自分の茶碗に淹れたお茶を彼女も飲みながら、そう答える。



「はい。」

 何か、深刻そうな内容に俺は背筋を伸ばす。



「クロエの将来についてです。私に相談がありました。クロエも十四歳になりました。来年には十五歳、一人前になって独立する年齢です。」

 ストリートチルドレンの母親代わりのララアさんの真剣な眼差しが痛い。



「そうなんだよなあ。クロエはどうしたいのだろうか。俺としては、航空魔導部隊の主力の一人なので、引き続き期待しているのだが。まあ、本人に聞いても、子供たちのことを第一にって言うんだろうなぁ。」

 ここのところ、リハビリも順調に進んでいるクロエの様子に想いを馳せる。



「クロエ自身の希望があるようです。あちらの町で直接聞いてください。」

 お母さんは、クロエの相談に乗っていたようだ。まあ、ララアさんが話しを聞いているのなら話しは早い。



「えぇ?! 何?! 話しを聞いたんでしょ。内容を教えてよ。」

 俺は、ララアさんから予備知識を得ようと試みる。



「ダメです。本人のくちから直接確認してください。」

 お母さんは、くちが固い。流石、俺の信頼するララアさんだ。



「はい。で、ララアさんは賛成なの?反対なの?」

 が、俺もそう簡単には引き下がらない。



「それは、あとでお教えいたします。」

 うん、安定の固さだ。



「はい。」



 女同志の結託は固いようだ。




 先日、我がクランの課題として挙げた十四歳の二人。来年十五歳になったら、クロエはどうしたいのだろうか。一度彼女と直接話しをすることが必要だろう。まあ、冒険者として生計を立てるのに十分な実力はあるだろう。そして、そんな荒事で生計を維持する必要もないくらい、クロネコ商会は成長している。十分に平和で落ち着いた生活を与えられると自負もしている。






 もう一人の十四歳のパウル。お前は八歳になる妹エマが十五歳になるまで、あと七年は放してやらないぞ。


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