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初めての異世界探索:頼りの武器はバックパック?  作者: サトウ トール
第三章 新型 第四節 一年の締めくくり
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第七十二話 三度、産業振興

 十二の月の三十の日、俺は、コザニの拠点で朝食を取りながら、ララアさんの近況報告を聞いていた。ここで作る白パンは、既に安定した品質のものとなっている。山羊やウシのミルクとバターに様々なベリーのジャム。コーヒーが欲しくなる。




 俺が、守るべき平和な朝食のひと時の姿。




 俺が、マルーン帝国に貢献できるとしたら、安定的な食糧供給とエネルギーの供給だろうと思う。質の良い食料品が、明日の人口増加をもたらす。明日の若者の体力、体格向上をもたらす。真冬の暖かい暖炉が、安心をもたらす。生活の安定をもたらす。生活水準の向上をもたらす。才能あふれる若者を育て、特異な才能を伸ばし、帝国の発展に貢献していく。文明の成長、習熟が豊かな文化、生活をもたらしてくれる。



 皆が食うに困らなくなれば、資源やエネルギーが循環し日々の生活に恵まれ安定してくれば、侵略戦争なんて考えない。あとは、腹黒な奴らは俺が成敗してやる。金の亡者は要らない。シリアルキラーは要らない。



 まあ、俺じゃなくて皇帝の仕事だろうけど。あるいは、水戸黄門さまのような立ち位置の人がいれば、少しはいいのかな。



 農地での生産性の向上、貨幣経済の更なる浸透が、土地に縛り付けられた農民の解放につながるのは、前の世界の歴史が証明している。自分で考え、行動できる農民は、農村で独立自営農民となっていける。農村の人口が増えれば、農耕作業が効率化されれば、農民が自ら都市に移動して自由人になることができる。



 コザニの町やイルメハの町での手法がここでも有効だ。まずは品種改良された小麦、大麦の種籾を提供していこう。そのためには。拠点の整備が必要だ。そんなことを考えながら、明日奉納するブランデーとウィスキーをブレンドしていく。テイスティング、この時間が一番楽しみな時間だ。



 神棚の前に、奉納すべき四斗樽を一つずつ配置していく。まずは、コザニの迷宮の神棚、次には、イルメハの迷宮に移動して、神棚の前に、奉納すべき四斗樽を一つずつ配置。そして、大陸をまたいで、黒い森の迷宮へと移動。神棚の前に、奉納すべき四斗樽を一つずつ配置。明日、玉串奉奠――玉串を祭壇に捧げる儀礼――を執り行う予定だ。







 黒い森の拠点は、炭焼き村だ。ここで採れた良質な薪や炭がエネルギーとして利用されている。コザニの町でもひとつの産業として成り立っていることを考えると、ここでも、もっと大規模な炭焼きができるだろう。そこで、炭窯を追加で作り、エネルギー供給を加速させていく。その材料となる丸太も間伐材などを利用することにより、黒い森の手入れ、整備がより出来ることにつながる。



 その丸太や竹材を採取するとともに、炭窯のドームをつくる主原料として火山灰土を採取し、貯蔵しておく。窯の穴掘り、焚火口、煙道、蒸気装置を作る。



 その隣に、迷宮南門を造る。ここは、冒険者を迷宮に誘導するためではなく、迷宮産品を荷馬車に積み込むための門となるだろう。スケルトンやリビングアーマーでは、冒険者たちには魅力的には映らないだろうから。



 ここ炭焼き村がイルメハの町の農村フィッタ村のような、迷宮門前町的な位置付けができないとなると、農地開墾が有効か。とすると土地所有者との交渉も必須だ。胡椒栽培と綿花栽培の両方をやろう。大量の人夫が必要だ。まずは、迷宮南門を完成させて、再度帝都ベルーナへと向かおう。



 要件は二つ。土地所有者との開墾地の私有財産化交渉。そして、南門で門番を任せられる計算スキルを持つものの確保だ。他にも役夫は何人いてもいいだろう。奴隷商人を当たってみよう。帝都にもスカウトできるストリートチルドレンがいるといいな。







 帝都ベルーナに顔を出した俺は、まずは商業ギルドに出向き、奴隷商会からの奴隷の購入の斡旋を依頼する。型紙、裁断、裁縫、栽培、調理そして計算が出来る奴隷の手配を依頼した。



 なんと! 炭焼き村周囲の領主は、ブラウン卿だった。周囲に耕作地の開墾を行うことについては、快諾を得られた。やはりダイヤモンドのネックレスの威力は無視できない。耕作地使用料は、貨幣で納税することで了解を得た。計画が一歩進んでいく。



 その足で、東方山岳戦線で攻略した迷宮跡地へと向かう。この辺り一帯からは鉱山資源が採取できる。鉱山資源の開発、特に鉄鋼石と石炭。他にも、目についたもの手当たり次第に掘削、格納。精錬、インゴット。金や銀、ダイヤモンドも取れる。



 ――ここは良い鉱物仕入場所になるかもしれない。



 そう思いながら、迷宮南門へ戻る。迷わず、黒い森の迷宮でも鉱物精錬業務をやることとした。良質な石炭が採れたことが大きな要因。







 今年の暦も今日で終わる。新年になれば皆一歳年を取る。重戦士マイク、斥候レイ、タンクのオリバー、剣士トミーの男の子四人が十二歳になり冒険者登録ができるタイミングがやって来た。クランやパーティとしてかなり活動範囲が広がる。この一年間、しっかりと準備をしてきたのだ。まずはギルドに登録してDランクを目指す。



 そして、なにより考えなければならないのが、十四歳になる二人。火属性魔法使いのクロエとタンクのパウル。パウルには八歳になる妹、雷属性の魔法使いエマがいるので、あと七年は放してやらない。問題は、クロエだ。十五歳には一人前の大人になる。冒険者として生きていくのかどうかだが、残り一年で仕上げる必要がある。



 クロエはどうしたいのだろうか。彼女と話しをする必要があるだろう。彼女にとっては大切な一年になるだろう。


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