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初めての異世界探索:頼りの武器はバックパック?  作者: サトウ トール
第三章 新型 第二節 ダンジョン攻略には
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第五十六話 マルーン帝国入り

 人の手の入っていない黒い森は、奥に進むと緑が少なく、枯れた倒木やツルがはびこる不気味な森となっていた。伸びすぎた草は枯れ、成長しすぎた木は、枝や葉が外からの光を遮る。




 翌日、十一の月の二十一の日、領都ハスランには寄らず、真っ直ぐ黒い森に入った俺は、浅いエリアは駆け抜け、比較的深いエリアに入っていった。


 リトルエイプが、木の上から俺の動きを監視している。キラーバットが飛び交う、薄暗い森の中を進んでいく。時々、バイパーの仲間が、多分毒をもった奴が、襲い掛かってくるが、返り討ちにしていく。


 熱い視線にふと気づくと、木の枝の上に、五メートルはあろうかという体長のジャイアントバイパーが、こちらを睨んでいる。ビッグマンティスが、鋭い鎌をカチカチと打ち鳴らしながら、獲物を探している。ジャイアントスパイダーが、あちこちの木の枝に巣を張り、毒を持つ牙をむき出しにして、ビッグマンティスが掛かるのを待っている。


 キラービーなのかソルジャービーなのかは判別できなかったが、二匹前方を横切って飛んでいく。巣に帰るところなのだろうか。


 巨大な黒い体躯を大木に括り付けたデッドリィダランテュラが、毒液を吐いて、獲物を捕獲している。獲物になっているのはグレイウルフの仲間か。その横をトロールが、大雑把にこん棒を振り回し、食糧となる獲物を駆り立てているようだ。




 薄暗い、黒い森の懐深くは、飽きることのない魔物たちの生存を掛けた狩場だ。


 今、ビッグボアをかじっていたバーサクベアが、オーガから一撃を貰って、ひっくり返っている。




 魔石を狩りながら、進んでいくと、大きな沢、水場に出くわした。魔物にとっても水場は貴重なのだろう。当然キラーアリゲーターがいる。ポイズントードが目だけを水面に出している。


 水場を取り巻きながら、シカの仲間、水牛の仲間が時折、水を飲みに近づいては、アリゲーターに脅かされている。


 そうこうしている間に、ビッグエイプが集団で水飲み場に現れ、キラーアリゲーターと格闘を始める始末。




 ここは、見ていて飽きない。この食物連鎖の頂上には何がいるのだろう。俺は、襲ってくるキラーアリゲーターの首を一刀両断にしながら、ボスの出現を楽しみにしていた。


 首の失ったアリゲーターをフォレストウルフがこっそりとさらっていく。そう言えば、この狼たちが、おこぼれを持っていっては、かじっている。




 キャメリア王国から離れるために黒い森に入ったのもあって、どんどん森の深い部分へと進んでいく。方向的には、真っ直ぐに突き抜けて、マルーン帝国の北側にでも出られればと思っていた。マルーン帝国の北に位置するのは、北方戦線で帝国と争っているスタント共和国か。


 サイクロプスが徘徊し、リザードマンやドラゴニュートがレッドバイソンの狩場としているエリアを抜け、リビングアーマーやリッチがいつ出てきてもおかしくない雰囲気の、もはや森とは言えない朽ちた木々の間を抜けていく。







 急いでいたつもりだが、魔物の魔石を回収しながらでは、それほど奥地には入っていなかったのかも知れない。あれから、五日経過したが、まだ黒い森は先が見えなかった。







 今朝から、二体の飛竜が、偵察飛行を繰り返しているのに気付く。廃墟のような森林を隠れ蓑にしてはいるのだが、何かを探知したのだろう。二体のヴァルキリーと召喚士を乗せた飛竜が着陸してくる。


 俺は覚悟を決めて、隠れ蓑から一歩前に出て、ちょっとした岩場に出る。長ドスは抜刀し警戒したままだ。ヴァルキリーの後ろから二人の召喚士が現れる。ヴァルキリーは、周囲の安全確保に走り出した。




 大小の召喚士二人、うち一人はあの召喚士さんだね。嫌な予感しかしない。



 五分程度、お互いに睨みあっただろうか。



「もう、わかっているとは思うが、我々との同行を求める。マルーン帝国陸軍の誇りにかけて、危害は加えないと約束しよう。」

 年上のお姉さんであろう召喚士がそう宣告してくる。



 ヴァルキリーの一方が俺を睨みつけて、敵意をむき出しにしている。お姉さんのほうの召喚体か。それと、マルーン帝国陸軍の誇りというのも胡散臭い。



 が、まだ魔力が回復していない現状では、まったく歯が立たないだろう。



「了解した。」

 長ドスを納刀し、両手を挙げて、無抵抗の意思を示す。



 二人の召喚士が、こちらに視線を向けながら、話をしているようだ。打ち合わせか。



「ここでは、話し合いもできない。我々の拠点への同行を求める。」

 お姉さんがそう言う間もなく、あの召喚士が駆け寄ってくる。さりげなく、ヴァルキリーが警護に回っている。優秀な個体のようだ。



「あの、お久しぶりです。」

 お嬢さん召喚士が、挨拶をしてくる。



「ド派手な歓迎、感謝する。」

 嫌味は通じないだろうな。



「いろいろとお話をさせて欲しかったのですが、あなたさまの行方が分からなくなってしまい、追いかけてしまいました。」

 顔を赤らめて、そう話すお嬢さん召喚士。



「お名前を教えていただけますでしょうか。」

 少し上目遣いのお嬢さんは、破壊力抜群だなぁ。



「おれは、トール。テーベ大陸にあるサンズ王国の商人だ。」



「わたくしは、エイダと申します。マルーン帝国陸軍参謀少将カール・フォン・ブラウンの三女です。」



 このお嬢さんもエイダさんか。嫌な予感しかしない。



「トールさん……」

 エイダが何か言いかけたが、



「二人で盛り上がっているところ悪いが、直ぐにベルーナに向かう。」

 お姉さん召喚士がおれの長ドスを取り上げ、そうおっしゃる。




 こうして俺は、マルーン帝国首都ベルーナ行きの飛竜上のひととなった。






いよいよストックがなくなり、毎日定時更新が難しくなりました。ご容赦願います。

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