表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
初めての異世界探索:頼りの武器はバックパック?  作者: サトウ トール
第一章 迷宮に立つ 第三節 思いがけない出来事
20/129

第十七話 十階層のボス戦

 部屋の中に入りすぐ身体強化をかける。二歩目、目くらまし用に火炎系の生活魔法を準備。三歩目を踏み出してすぐ、熊――もう熊でいいや――は、身体を大きく見せるため、二本足で立ち上がり、大きく咆哮。


「グガォー、オー」


 こちらを見定めて、素早く四つ足で突進してくる。その熊の目と鼻をめがけて、発火、そして爆発を放つ。俺の渾身の生活魔法だ。


 熊は、嗅覚と聴覚が奪われ思ったように動けなくなり、立ち止まる。視覚は元から良くない。これなら、クロエやアンジーでも足止めができそうだ。


 自分の身体を大きく見せ、俺は大きな声と音をたてて威嚇、挑発する。――これで終わってもらっては困るのだよ。


「かかって来いやー」

 両手、両足に魔力を流しながら、俺も叫ぶ。


 熊の頭蓋骨はかなり硬い。弾がぶつかったときの角度によっては跳弾することがあるくらいなので狙わない。子供たちにも狙わせないようにしよう。下あごから上へと狙う。体毛と脂肪で身体への攻撃もあまり通らないだろう。


 熊が威嚇のため再度二本足で立ち上がり、咆哮。まだ嗅覚、聴覚は回復していないだろうに、俺の咆哮に反応する。




 ――チャンス




 俺は素早く右手に立ち回り、奴の右腕振り回しを盾で受け流し、熊の左足アキレス腱に向けてローキックをヒット。装甲にダマスカス鋼を張り付けてある、耐滑ハイカット安全靴に身体強化を掛けてあるものだ。奴のかかとは粉砕骨折で再起不能だな。まあこの程度の威力ならアンジーさんも繰り出すから、十分に通用するだろう。


 そのまま右足を着地させ右方向にサイドステップ、熊の背中に回り込む。左足を痛がる様子の熊の、今度は右足の後十字靭帯――太ももの骨とすねの骨を繋いでいる腱――にも右ローキック。膝も粉砕骨折させられ、熊は巨大な体躯を支えきれず、右足から倒れこむ。


 熊は思わず、叫び声をあげる。再度チャンス。熊が倒れ込んだ前面に回り込み、右肩のサーベルを抜刀し、おまぬけにぽっかりと開けた口の中に、体重をかけて突き刺す。奴と目が合う、非常に勇気が要るが、サーベルに魔力を流して、最後は雷激。脳内と視神経を破壊できたようだ。雷撃はオーバーキルだったようだ。


 熊の死骸が、迷宮に溶けていく。比較的大きめな魔石と爪、毛皮が残っていた。


 ボス対決が終わると別の扉が現れ、十一階層へと誘導される。その扉をくぐると、ボス部屋には戻れない。十一階層への一方通行だ。何時もの如く、らせん状の緩い坂道を下って十一階層へ到着、ここに転移魔法陣がある。


 ここでも兵士団が出入りをチェックしている。明日から十一階層も解放する予定とのことだ。ここから先は、冒険者ギルドの仕事か。兵士団は迷宮成長による悪影響なしを確認してお役御免。


 さあ、入り口に戻ろう。十階層のボス戦の様子を説明して、部隊を侵攻させなくては。無事にボス攻略してくれるだろうか。




 第一陣は、クロエ、マイク、レイ、アンジーにパウルの五人。ボス前の控室で、身体強化を掛け、俺も含めて六人で突入。俺は見ているだけだ。クロエのファイアーボールで嗅覚と聴覚を奪い、マイクとパウルががっちりと突進を止め、レイとアンジーがそれぞれ膝裏の腱を狙う。倒れたら、眼球に向けてバレットが飛び交い、ソードが口の中から脳髄に止めを刺す。


 第二陣は、オリバー、トミー、ポーラ、メリッサにパウルが再度。ボス前の控室で、身体強化を掛け、俺も含めて六人で突入。俺は準備だけしている。メリッサのウォーターボールで嗅覚と聴覚を奪い、オリバーとパウルががっちりと突進を止め、トミーとポーラがそれぞれ膝裏の腱を狙う。倒れたら、眼球にバレットと矢が飛び交い、ソードが口の中から脳髄に止めを刺す。ポーラ、メリッサはまだ戦闘に慣れていないので、何かあったら介入するつもりで最後まで見守る。


 熊は、聴覚と嗅覚を一時的に奪われ、やたらめったら両腕を振り回してくる。慌てず、相手の動きをよく見て、こちらのペースで攻めることが肝要。慌てない、めくらめっぽうの振り回しなど、当たらなければどうということはない。


 ポーラとメリッサは、アンジーと同じ十歳。ポーラは弓が得意。アンジーと似ている細身で全身バネのような子。目が良いので斥候向き。メリッサは、魔法使い。水属性魔法が使える。あとは魔力量次第か。クロネコ2021をもう一機用意しておこう。二人とも今回の戦闘で経験値が跳ね上がる。


 そして両方の回に参加させたパウル。コンビネーションを確認しながら、経験を重ねていく中で、彼がタンクとしての役割、動き、能力を伸ばしていく。十三歳。体力も筋肉も大分付いてきた。熊相手にひるむことも少なくなってきた。スキルと経験がついてきたし、身体強化を上手く使えるようになってきた。大型の魔物相手でも引けを取らない。カイトシールドの使い方も身について、防御力も向上している。


 器用さに欠ける分、経験を積み重ねていくしかない。工夫が要求されるが実直に対処している。いずれ化けるだろう。


 ボス部屋を後にして、十一階層に進み。転移魔法陣で入り口まで戻ってきた。明日からも、十階層の熊狩りを継続し、安定して成果を上げられるようになるまで頑張ろう。パウルは両方の回に参加ね。


 十階層のボスを攻略できたことで自信を持つ。兵士団といい勝負ができるということか。まあ、辺境の兵士団なので参考程度だろうし、王都のエース格とは違うのだろう。だが、昨年春までゴブリンの相手すら厳しかった部隊である。長足の進歩であろう。


 ――俺は、鬼になる。


 こうして三月中旬にかけて、二部隊に分かれて十階層のボス戦を何度も繰り返していく。時には強引なあおりを喰らったり、けがを負ったりすることもあったが、HP回復薬が役立っている。万が一の備えがあれば、安心だ。身体強化をしっかりとかけていることもあり、一撃即死だけは避けている。俺たちは、大型の魔物相手に回避のタイミングや攻撃の精度をしっかりと仕上げていく。少し大きめな熊の魔石が欲しかったのよ。


 次のステップとしては、冒険者ギルドで十一階層の情報を入手して、攻略を進めて行こうか。次のボス部屋は何階層にあるのだろうか。二十階層かな。




 地震という初めての経験をしたが、程なく子供たちの暮らしはいつもの日常へと戻っていった。熊の魔石は少し大きめで使い勝手が良く、日常生活を向上させるのに十分なエネルギーを備えていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ