表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
初めての異世界探索:頼りの武器はバックパック?  作者: サトウ トール
第四章 光る要塞 第二節 様々な思惑
107/129

第九十三話 フィッタの町のジャッジメント

 翌日、俺はイルメハの迷宮の塔六階の厨房キッチンで、皆と賄い朝食を取りながら、隣の大食堂で朝食を取る新人さんたち二十六人の様子を見ている。特に、疾病や欠損が酷かった四人は、アナベルにも念入りに診てもらう。それにフィッタの町やイルメハの町に防衛隊を配置するのは早計だろ。せめて、自警団ジャッジメント程度かな。侯爵の動きを見ながら対処しよう。




 俺は、朝食を終えると直ぐに、フィッタ村の村長宅を訪問した。村長宅はその立地を町の南部に移し、豪農と称しても良い程度の大邸宅と化していた。その客間にお邪魔し、村長と一緒に、朝茶を頂戴している。




 フィッタの町は、当初は、簡易的なお掘りの内側に平屋の家屋が建ち並ぶ村の規模で、人口は三百人ほど、直径三百メートル程度の農村だった。産業は大麦、ライ麦の栽培。




 その後、駅舎が出来、街道が整備され石畳舗装となり、商会の荷馬車が行き交い、山賊が一掃され、冒険者ギルドや商業ギルドの出張所が出来、多くの冒険者たちが宿屋、食堂、居酒屋、鍛冶屋、武器屋、防具屋、薬屋、道具屋、カフェ、大規模市場を求め、商会の手伝いもあり、以前は農家の住居あるいは農作業小屋や倉庫だったところが、大規模に更地になり、さまざまな店舗があっという間に建設され、領都から多くの人が流れ込んできて、住宅街が建設され、町内の通りも拡幅、石畳舗装されていった。村のお濠は作りなおされ、町の規模の大きさになり、町の中央が遥か南側に移動し、中央公園が造成された。水路がしっかりと設計され、魔の大森林からの泉の恵みを満々と届けてくれる。水車が導入され、小麦を挽く石臼が設置されている。下水道が完備され、大型の下水処理場が造成された。




 そのため、村の南側に広がっていた大麦畑、ライ麦畑は埋め立てられ、はるか南側に、大型農場がいくつも増設され、魔の大森林の腐葉土を導入し、農作業ゴーレム導入により大規模作付けが可能となり、農家の人々は以前の住居を放棄し、町の南側に豪邸を建て、農作業倉庫を建て、収穫量の多い大麦、ライ麦の栽培に成功し、皆が豪農化した。みんなの笑顔が広がっている。




 更に、十キロ先の迷宮南門には、イルメハ大聖堂とネオ・ゴシック様式の大ホテルが完成し、目ざとい観光客が参拝、宿泊をしている。彼らが、地元に帰れば、これ以上ない宣伝広告を繰り広げてくれるだろう。




 フィッタの町は、ますます大きくなるだろう。そこで、村長が心配している。




 ――もう、フィッタ村はわたしの手に負えるものではなくなりました。トールさま、ジーンさまにお返しいたします。




 ここまで町を育成したのは、俺ではない。が、その切っ掛けを作り、主に土木作業面で成長発展を支えたのも事実。この町経由の商業取引は、農村だった頃の百倍を超えただろう。数百人の冒険者がもたらす経済効果により、この村は、農村の機能を更に強化拡張した迷宮門前町へと変貌した。大規模なエネルギー供給基地へと変貌した。それに今後は、大聖堂門前町としての機能も加わる。夜遅くまで、冒険者たちの歓声が響き、女性たちの歓喜の声が町の景気を刺激していく。昼夜問わず富を産み出し、隣町のイルメハや領都セオギン、さらには王都フェニックスにまで流れ込んでいく。町のあちこちで、魔導照明具が、人々の生活を照らしている。




 ここまで急拡大した町の治安が維持されているのは、サブマスターのジーンが目を光らせているから。彼の采配がまだ届いている。この治安状態が崩れる前になんとかしたい。村長では荷が重いだろうな。




 ――了解した。村長、今後は農家の皆の取りまとめをお願いしたい。




 俺はすぐさま自警団ジャッジメントを編成し、町のあちらこちらに駐在所を設置、駐在員を配置する。イルメハの迷宮の産業を支えている奴隷たち、普段は皆迷宮内の宿舎で業務につき、寝泊まり、食事、入浴をしているが、今後は交替でイルメハの駐在所勤務を担う。なぁに、力仕事は必要ない。トラブルが起こったら、迷宮の塔のジーンに一報を入れてくれればよい。さらに駐在員のサポートとして連れてきたのは、イルメハヤマネコ十数匹。野性味あふれる大型のワイルドキャットたちだ。




 そして、中央公園の南側に大邸宅を構え、イルメハ警察署の看板を掲げる。ここは、フィッタの町の領主館兼警察署だ。俺が居住しよう。ほとんど留守にするが。侯爵への納税額計算は、商業ギルドや冒険者ギルド経由だ。それ以外のもともと村として納税していた部分も含めて、計算スキル持ちを配置し、報告書を作ることとしよう。迷宮南門に配属されている計算スキル持ちに、手伝ってもらおう。




 押さえるべき税金は、


 ・人頭税:農民町民一人ひとりから徴収する税金。高額ではないが、人民が王に支配されているという象徴


 ・地代:土地は王様のもの。農民は農地代を、町民は地代を支払う。


 ・十分の一税:農民町民が、領主に生産活動の成果の十パーセントを納める。


 ・公共施設利用料:水車の粉挽き、下水道などを利用する際の利用料金


 ・その他:入町税、市場参加税など


 最初の四つは、ここフィッタでも徴税している。最後のその他はここでは該当しない。まずは、人口調査、世帯調査などの国勢調査台帳の整備からか。子供がある程度いるのなら、寺子屋も作ってしまおう。




 そう言えば、今回連れて来た中に、執事向き、メイド向きの子たちがいたなあ。アトラスを執事長に、ロージーをメイド長に、エイミーとミラをメイドに任命しよう。ショーンとサーシャを調理師に、ザックとマットをフィッタの町の徴税官に任命しよう。アトラスとロージーは、同じ貴族館で勤務していたが、その貴族の逆鱗に触れ、惨劇に巻き込まれ瀕死の状態だったようだ。何故、奴隷商館にいたのかは不明。誰かに生贄、おもちゃとしてもてあそばれ、瀕死の状態で売却されたのだろう。奴隷商人もたまったもんじゃないな。そいつは、どこの貴族崩れだ。




 ――今度、聞いておこうか。




 今はすっかり治癒した二人に、領主館の管理を任せる。二人には忙しくしてもらった方が、気が紛れて良いかもしれない。自警団の取りまとめとネコの面倒見もお願いする。時々メンタルフォローをしよう。ネコに癒されてくれるといいな。若いメイド二人は、立ち上がるに少し時間がかかるかもしれない。ザックとマットは文官としても働いてもらおう。そんなことを考えて、イルメハの迷宮の塔に戻る。八人に出撃命令を出し、フィッタの町に連れていく。




「アトラス。今日からこの領主館の管理を任せる。どこに出しても恥ずかしくない気品のある領主館に仕立てよ。華美になる必要はないが。当面の費用を授ける。必要なもの、人員があれば、セドリックに調達させるように。」


「俺は、七日に一度ここに来る。楽しませてくれ。」

 ようやく後方で楽ができる日が来るのか?



 スプリングマットレス、ベッドパット、羽毛布団を、領主館のベッドルーム、使用人居住区分、ゲストルーム分製造。先日ケイトさんに扱かれた成果が現れた。この領主館で働きたいという希望者が、後を絶たない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ