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初めての異世界探索:頼りの武器はバックパック?  作者: サトウ トール
第四章 光る要塞 第二節 様々な思惑
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第九十二話 彼を知り己を知れば百戦殆からず

 その夜、居酒屋の軒先で酔っ払いたちにビールを奢りながら、情報収集する。ある居酒屋の軒先を借りて、客席として円卓を三つほど広げ、即席カウンターには、二酸化炭素ボンベ、生ビール樽、ビールサーバーを準備する。


 見慣れないビールサーバーに興味をもった客が、冷えたビールに魅せられて、寄ってくる。サーバーに取り付けられたサーバーコックを開くと、冷えたビールが出てくる。つまみは、中の居酒屋で買ってきてね。




 さあ、キンキンに冷えた旨い生ビールができた。ビターホップ味とアロマホップ味の二種類だ。どちらも自慢の味だ、飲み比べてみなって。




「まあまあ、飲みねえ。ほら、ぐっと一息で。お姉さん、いぃ飲みっぷりだねえ。セオギンの生まれかい? ところで、アーレフ侯爵のところの衛兵たちは、優秀なのが多いのかい? 」


「いやいや、私たちより強いのはいないよ。そもそも、アーレフ侯爵領で戦闘のあるのは、北地域の魔の大森林と接している地域だけだし、練度もそれほどではないしさ。根性きめているの、いないしぃ。ところで、これ美味いね。冷えてるのがいいし、苦みがあるけど、後味がすごくいい。」


「お姉さん、情報通だねぇ。どうだい? もう一杯。今度のは、香りが売りのビールだよ。はぃどうぞ。ところで、衛兵の数はどれくらいいるのかぃ。」


「人数は、結構いるよ。領都守護隊に千人、衛兵隊に千人、あと侯爵の騎士隊で百人くらいかなぁ。でも、強いのはいないし。ところでこれも美味しいし、いい香りだねえ。お姉さん酔っちゃったよ。どうしてくれるのぉ。」


「おや? お姉さん出来上がっちゃったの? では、お休みなさいね。気をつけてお帰りください。今後とも、ビールをご贔屓に。」


「そう言えば、領都守護隊長と衛兵隊長は、ライバル同士らしくてさぁ、………。」




 こうして、数十人の客から情報を得た結果、衛兵隊は、大したことはないとの結論を得た。さて、どうしてくれようか。ちなみに、領都守護隊長は、独身イケメンらしい。




 翌朝、今度は早朝の市で情報収集する。塩や魚の干物など海産物も朝市に並ぶ。


「お姉さん、そのニシンの塩漬けをひと樽、お願い。」


「あいよ。まいどありがとうね。」


「ところで、お姉さん。領都守護隊ってどこにいるの? 」


「なんだい、領都守護隊に興味があるのかい。まあ、この辺にはいないよ。時々巡回しているくらいかなぁ。はい、お待ち。」


「あと、塩もひと樽お願いね。 ところで、領都守護隊って、何を装備しているのかなぁ」


「まいどね。彼らは剣が標準かな。都の治安維持みたいなことをやってるよ。あと、衛兵隊は槍だね。門の外のいざこざ解消は、衛兵隊の仕事さ。はい、おまち。」


「あと、そこの浜ゆでカニも美味しそうだぁ、ひと樽………。」




 こうして、早朝の露店を冷やかしながら情報を得た結果、領都守護隊は、大したことはないとの結論を得た。さて、どうしてくれようか。ちなみに、衛兵隊長は、恐妻家らしい。




 早朝の露店で、魚の蒸し焼きを食べたあと、商業ギルドへと向かう。カウンターの受付のお姉さんに、話しを振ってみる。


「初めまして、クロネコ商会のトールと申します。今日は、アーレフ侯爵の領地での活動を希望しております。主に武器と防具を取り扱いたいのですが、領都守護隊や衛兵隊の武器や防具の種類を知ることはできますか? 」


「はい初めまして。ようこそ領都セオギンへ。領都守護隊や衛兵隊の武器や防具の種類ですか? 商業ギルドメンバーでしたら、納入記録を閲覧できますよ。」


「いや、そこは是非美人のお姉さんの口から直接聞きたいです。あっ、これどうぞ。王都で流行りのネックレスです。お姉さんのゴージャスな胸元に良くお似合いですよ。」


「そうなの? ではちょっとだけね。領都守護隊の武装は、………。」




 こうして、商業ギルドの受付美人なお姉さんと内緒で話しをしながら情報を得た結果、侯爵の騎士隊は精鋭部隊だとの結論を得た。さて、どうしてくれようか。ちなみに、侯爵の騎士隊は、イケメンぞろいらしい。




 その後、領都の街並みを散策し、カフェで紅茶を頂き、魔道具店を冷やかし、冒険者ギルドで依頼の内容を精査し、付帯の食堂でランチを取りながら、冒険者にビールを振舞い、また情報を得て、四の鐘と同時にスコットブラザーズ商会へと顔を出す。




 セドリックも、出来る担当者のようだ。三十六人の奴隷が集められていた。そのうち戦闘奴隷が六人。様子を聞くと、それぞれどこかに欠損があるようだ。他の奴隷は、おいおいスキル持ちなど調べてみよう。中には、十把一絡げ(じっぱひとからげ)の扱いの者たちもいた。




 奴隷売買の精算を終え、三十六人の隷属契約を済ます。キュウの駅舎に戻る荷馬車を二台待たせてある。三十六人全員は乗せられないが、駅舎業務に従事できそうな能力のありそうな者十六人にエリアヒールを施し、先に出発。俺は、戦闘奴隷の六人と具合の悪そうな子たちなど残った二十人を連れて、門を出る。




 少し離れたところで、マザーシップに乗せる。まずは診察、治療と欠損個所の確認、再生を行う。スコットブラザーズ商会のセドリックにも、まだこの能力は見せられない。欠損再生業務を商売にするつもりはない。それはいずれ大聖堂の仕事となるだろう。




 六人の戦闘奴隷の回復具合を確認し、それぞれ得意武器について話し合う。一人、部隊を任せられそうなタンクがいる。大盾と槍を与えると一人前の前衛タンクの誕生だった。よし、行ける。六人には軽くフォーメーションの打ち合わせを済ませ、キュウの駅舎での業務内容を説明し、直ぐに従事することになる旨を説明していく。そして、ひとっ飛び。




 キュウの駅に到着すると、皆元気が出てきたのか、食欲が戻ったようだ。駅前の食堂を貸し切り、食事を取り、大浴場に案内する。そうしている間に、二台の駅馬車も戻ってきたようだ。同様に食事、入浴を取らせる。その間に、ハリントンと今後の業務や防衛体制について打ち合わせをしていく。当面、戦闘奴隷の六人で、二人組三交代勤務の街道警備、巡視から始めようか。衛兵隊の様子など仕入れた情報も説明し、共有しておく。




 アーレフ侯爵領の衛兵隊は、実力不足だと判断はするが油断するわけではない。取り急ぎ、キュウの駅舎に被害が及ばないよう準備をすすめる。こうして、六人の防衛部隊と追加の従業員四人を配備し、俺は、マザーシップで新人奴隷二十六人を乗せて、迷宮の塔へと移動した。フィッタの町やイルメハの町には明日だな。


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