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閑話十三 服飾革命前夜
羊毛を原料として毛織物をつくる生産技術。羊毛生産、毛織物製造はここサンズ王国の主要手工業産業として繁栄し、羊毛貿易も盛んに行われた。
一方、木綿工業には、紡績――綿糸を紡ぐ(紡糸)――工程と、織布――綿糸で布を織る――工程とがある。
前の世界の世界史で学んだ知識では、織布機械――織機――が改良されると、綿糸が不足し、より大量に強い糸が必要となって紡績機の改良をうながし、紡績機の改良で造られた糸を大量に織る必要から織機の改良がなされる、というように、この両者は相乗効果で発達していった。
紡糸と織布との能率の不均衡は、ここコザニの迷宮の木綿工場でも存在していた。紡糸車は手織機よりもはるかに生産性の低い装置であり、綿糸を織布工たちに迅速に供給することはできなかった。
まずは、木綿反物で供給、縫製や服飾関係の産業育成を図ってきて、ここにきてその努力が実を結び始めて来ている。
紡績機の開発が待たれる。
システィ大陸にあるマルーン帝国の紡績技術が導入されるまで、あと少し。




